美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **なお現在コメント欄を閉鎖中です。

大仙厓展

出光美術館で大仙厓展をみた。
以前の開催の時も「かわいいなあ」が先に立ち、仙厓和尚の言わんとすることを、どうやら本当には読み取れなかった。
今回も正直なところ「かわいい」ばかりで、その奥にあるものを拾えず、相変わらず門の外で騒ぐだけとなった。
イメージ (7)

禅は難しい。
そのイメージを覆らせるのはなかなかに難しい。
博多の禅寺にいた仙厓さんが衆生教化のためにわかりやすい・親しみやすい・愛らしい絵を描き、そこにメッセージを盛り込んだ。
当時の人々がそれに感化され、禅に傾倒したかどうかは知らない。
しかし仙厓の描く絵の魅力にハマり、彼の絵を皆が欲しがったのは確かだ。

今回の特別展は出光コレクションの名品に博多からの応援も加わった。
福岡市美術館と九州大学文学部のコレクションである。
福岡市美は2019年まで工事のために休館中、多くのコレクションがその間に世間を旅するようだ。

展示は漫然と並ぶのではなく、しっかりした考えの下で組み合わされ、観客はいいリードをされる。
それに逆らう必要はなく、わたしたち観客は流れに従って作品の前に佇む。
かなりの混雑の中、それでもいい具合に見て回れたのは、出光美術館の動線が巧いからだと思う。
そして例によってわたしは自分の好きになったものについてばかり書く。

イメージ (8)

第一章 仙厓略伝―作品でつづる生涯
仙厓は長命であったが、主な活躍期は化政期から天保年間で、人生の半ばから描き始めたそうだ。
同時代の絵師と言えば北斎を始めとした浮世絵師のきらきら星たちか。

雪中虚白院画賛 ああ久しぶり。雪中に埋もれる様子が特に好き。

行基菩薩画賛 田の畝に立ち、にこにこと。思えば行基菩薩を絵にしたのを見るのは案外少ない。この絵と長岡良子の作品に出るくらいではないかな。

書簡がある。
煎茶、素麺などをもらったお礼である。八女茶に島原素麺だろうか、とイヤシのわたしなどは想像する。

不動明王図 ロックだぜ!!なんだかもうギタリストに見える。持ってるギターはカート・コバーンのそれにも見えるが、持ち方がビルマの竪琴なのもいい。
…とはいうものの、実際は衣裳の襞がそう錯覚させるだけ。
ただし顔や様子はロックンローラーしてる。



第二章 仙厓の画賛―道釈人物画で画風の変遷をたどる
寛政12年から天保8年の37年間の作品が集まる。

黄初平鞭羊為石画賛 羊飼いの初平少年が姿を消して仙人になり、石を叩けば羊に・羊を叩けば石になる、という技を会得した。で、40年ぶりに兄と再会するのだが、そのとき羊から石へ・石から羊へと技を見せる、その羊たちがにゃんこのようでこれまたほのぼのと可愛い。

仙厓描く寒山拾得は仲良しこよしで、拾得の背中に乗って字を書く寒山とか、ひっついて笑ってる二人とか、いい感じの絵が多い。

しかし布袋さんはアブナイ人だし、出山したばかりの釈迦は渥美清そっくりだし、とやっぱりちょっと引く感じの聖人が多い。

第三章 仙厓禅画の代表作、「指月布袋」「円相」「〇△□」―禅の心、ここに集う

狗子仏性画賛 わんこわんこ、わんこ。
しかし次はつらい。

南泉斬猫画賛 可哀想で仕方ない。そして仙厓の賛ではここで既に殺生戎犯してるやないか、とある。この猫が可哀想で、「だから」わたしは禅僧が嫌なのだよ。
何年前か、この猫をガイド猫として永青文庫が展覧会した時、なんだか救われた気がしたな。
猫を殺すような奴はそれだけで許せない。

群蛙図 川辺にズラーーーーーっなんかすごいぞ。これ、描いてもらった人、楽しかったろうなあ。
わたしもほしい。

そして出光佐三少年の生涯に大きな感動を与えた作品「〇△□」が出てきた。
鈴木大拙による「universe」という英訳のタイトル。
宇宙、世界、全人類、万物という意味だとある。

…ユニバース、と聴けば「ミス・ユニバース」よりなにより先に「ミナミのキャバレーですな」と思ってしまうわたしです…

三酸図があるが、三人の表情の違いが面白い。孔子のスッパマンみたいな顔、釈迦の「…」の顔、老子の@@「んんんんん」な顔、いいなあ。
別な三聖図はみんなでおなべ。

イメージ (9)

第四章 「厓画無法」の世界―この世の森羅万象を描く
本当にいろいろ。

鬼アザミ図 墨絵 ギザギザな感じがいい。

犬図 出ました、「きやふん、きやふん」。
狗子画賛 「きやんきやん」。縛り紐の杭は抜けていても逃げない。

虎画賛 「猫ニ似タモノ」うむ。可愛いわ。その虎の口元に「仙厓」のハンコ入りなのが来たが、虎の鼻先に小判型のハンコ。巧いなあ。
他にも何かよくわからない虎もある。
なお「猫の恋」はほんと、可愛い。

怪しい神農、虎が変すぎる文殊図、あくびの布袋、ゆるすぎる象さんの象図などなどニマニマしながら見て歩く。

章魚図 そう、タコ。東博の「古代ギリシャ展」でタコ柄のお皿をたくさん見たなあ。仙厓唯一の彩色画らしい。けっこうリアルなナマナマしいタコ。

トド画賛 「本名 トド」とあるのが楽しい。

猫に紙袋図 男児がわーいわーい、虎猫などもいい。

鍾馗画賛 …悪そうな。目が怖いわ。鬼が可愛いな。

イメージ (12)

第五章 筑前名所めぐり―友と訪ねた至福の旅をたどる
楽しいツアーだったろうなあ。

博多松囃画賛 楽しそうな三人。

言触画賛 けっこう不思議な感じがするな。

花見画賛 楽しそう、中にどう見てもオバQの弟・O次郎、バケラッタのあれにそっくりなのがいて可愛い。

第六章 愛しき人々に向けたメッセージ―仙厓の残した人生訓を味わう
物思いにふけりながら見ている人々が多かった。
禅の教えをカタチにすると、みんな楽しめるようになるのかもしれない。

わたしは可愛い可愛いばかりだが、本当に観客の皆さん、熱心に見ておられた。
それは絵を通じて仙厓の伝えようとする言葉を懸命に読み取ろうとする態度だった。

尾上心七(新七)七変化画賛 「東西東西」と口上をしているところ。

頭骨画賛 デフォルメも激しい髑髏が野ざらしで草も生えている。
そうやなあ、と妙な納得がいった。

老人六歌仙画賛 これは可愛いおじいちゃんたち。以前、ポストイットになってたなあ。

花の絵もいくつかあるが、いずれも何かしらメッセージがある。
愛でるだけではだめなんだろうなあ。
とはいえわたしは愛でる・愉しむ、そこまでで終わるのだろうが。

遺品の中では筥崎宮の鳥居型の硯がいい。いかにも博多らしい感じがする。
来月にはわたしも久しぶりに博多に行くからちょっとばかり現地で仙厓さんのことを想おう。

11/13まで。
なお永青文庫でも仙厓の展覧会が開催中。
にゃんこにキャッとなってます♪
イメージ (10) イメージ (11)
関連記事
スポンサーサイト
最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア