美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **なお現在コメント欄を閉鎖中です。

御伽草子の世界―奈良絵本・絵巻を中心に― 慶応大でみたもの

御伽草子の世界―奈良絵本・絵巻を中心に― 
同じタイトルを持つ二つの展覧会が同時期に天理大学図書館と慶応大学図書館とで開催されている。
どちらも奈良絵本・絵巻などの美本が展示され、監修は同じく慶応大教授の石川透氏なのだった。
わたしは幸いどちらも見学でき、更に天理大学では石川氏の講演を聴き、続いて肥後琵琶による「小栗判官」を楽しめた。
それらの感想を挙げたいと思う。

先に見たのは慶応大である。こちらは11/5まで開催。

ともなが 江戸前期写 絵巻 2軸  初見であり、またわたしはこの物語そのものを知らない。
身分のある人々が集まって座敷で何やら調べもののようである。
鬼神退治とお家騒動を含んだ武家もの、と解説がある。
孤本のようである。箱根山に住まう四面修羅を退治、などとあるが、諏訪から飛騨には両面宿儺というのもいたなと思い起こす。こちらは更に四面なのだ。
結城兄弟の助力により和田判官ともながらは鬼神退治に成功する。
その退治は夜討曽我風。
後にその結城兄弟の兄が謀反を起こすとあるが、わたしなどは勝手に「結城兄弟」=安王・春王を思い出すが、これはまた別。

是害坊絵巻 江戸前期写 絵巻 1軸  泉屋と曼殊院などにも同題の絵巻が伝わるが、こちらは丁度是害坊がアイタタタで運ばれて行く所が出ていた。
天狗一行の中にはファンキーな奴もいて、ビバ!アミーゴな感じでもある。
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これは以前に神奈川歴博「天狗推参!」展で見ている。

熊野の本地 江戸前期写 絵巻 1軸  五衰殿の女御が他の后たちの悪計により山で殺されるところ。
武士たちの前で出産したばかりの女御が泣いている。その胸には王子。武士たちもつらい。

弁慶物語 室町末江戸初期写 絵巻  なかなかアクの強い絵で、初期の鳥居派にも似た感じがする。勢いのある絵。
これを見ていると、五条橋で初めて出会ったというより、行く先々で顔を見かけた者同士がとうとう五条橋で意気投合した、ような雰囲気がある。
それにしてもこの絵の鴨川、白波が立ってて、落ちたらやばそう。かなり湾曲してますしな。
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小敦盛 室町末期写 絵巻 1軸  出ていたのは熊谷が敦盛を呼ばわるところ。
御伽草子や謡曲でしか敦盛の子どもを知らないのだが、わたしとしては平家の公達の美少年・敦盛さまが亡霊となって我が子と再会、というのはなんとなく関心がないのでした。

宝くらべ 江戸前期写 奈良絵本 一冊  お大尽と子宝さんと。どちらも最後は幸せだという話になる。しかしこれは理想論。こんな絵本になるくらいだから、やっぱり現実は…
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常盤の姥 室町末期写 奈良絵本 一冊  後家さんになった常盤の姥がなんかもう色々と自分の食べたいものを願ったり、光君や業平の話をしたり、とわりと楽しく余生を過ごしているな。実際のところ、ある程度経済が安定しているからこその姥の願望ですなー。

文殊姫 江戸前期写 奈良絵本 2帖  孤本だそうだ。継子いじめに遁世の話。
ただ、舞台がよく知るあたりなので、個人的に惹かれる。
伊丹の昆陽、そこの住人が昆陽野明神に申し子すると、わざわざ切戸の文殊を勧められる。
それで得た子に文殊姫の名をつけた。絵はかなり綺麗。花鳥もいい。

かざしの姫 江戸前期写 奈良絵本 一冊  かざしの姫は夢に現れた菊の精の男と懇ろになり懐妊し、入内の予定がなくなる。菊の精の男を慕って姫は女児を出産後に病死、女児は後に帝の女御となる。
赤子が世話をされているシーンが出ていた。女たちの衣装が綺麗。

玉井の物語 江戸前期写 絵巻 1軸  海幸・山幸の話。絵は龍宮から地上へ帰還するところ。
浦島とは違い、みんな永遠の別れなどとは思っていないし、思わせないところがいい。
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阿弥陀の本地 江戸前期写 奈良絵本 3冊  天竺西上国の太子と東上国の姫の恋を許さず、姫の父は二人を洞に捨てる。
そこで子が生まれると、太子は妻子のために自国へ戻る。後を追った姫は病死し、父子の再会が叶った後、太子は後に阿弥陀となった。絵は剃髪してもらっているところ。
大変な苦しみを受けた後でないと、人は神にはならないし、なれない。

磯崎 江戸前期写 奈良絵本 2冊  うわなり妬みのうわなり討ち。夫(磯崎)が若い女を連れて帰って囲ったことに怒った本妻は鬼に化けてその女を打ち据え、死なせる。そしてそのまま鬼と化す。磯崎との間の子が母を説法し、ようやく人に戻るが、行いを恥じて本妻は出家。事態を招いた磯崎も出家。
赤いしゃぐまをつけた女の暴力がなかなか激しい。
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安珍清姫絵巻 江戸後期写 絵巻 1軸  鐘巻のところ。
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七草ひめ(若菜の草紙) 江戸前期写 奈良絵本 1冊   
五節の舞を披露する姫君を見初める武士。紆余曲折の末に恋愛成就。
舞う姫の絵がいい。
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観音本地 江戸前期写 奈良絵本 2冊  多くの兄弟の中で一人だけ恵まれ・そねまれ、という話で、十一面観音を妻にしたりとこの観音さんの前世はやたらと神仏から守られているな。

数は少ないとはいえ、とても面白かった。


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