美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **なお現在コメント欄を閉鎖中です。

ガレとドーム展 美しい至高のガラスたち

京都高島屋で1/16までガレとドーム展が開催中である。
ガレとドームの展覧会は数多い。
今回も「親しい作品たちと再会する」つもりで出向いた。
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珍しいことに作品リストを渡された。
5章にわたっての展示に作品名・製作年・技法と材質・サイズが記されている。
作品名については、ガレもドームも実際的な命名が多く、凝りに凝ったようなわざとらしい名はついてはいない。
たとえば「ヒトヨダケランプ」「オダマキ文花器」などだと、その名の通り植物をモチーフにしており、あとは技法がどうかということで、その意味では画像を付けないと文字面だけではどれがどれか混乱を招くこともある。
わたしのように全体ではなく個別の感想をつらつら挙げてゆく者の場合、そこが少しばかり難儀だともいえた。

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第一章 初期―伝統主義と折衷主義エクレクティズムの時代―
ガレの作品が16点並ぶ。

試みに一つリストを記したままを写す。
ドラジュワール 1880 型吹き、アプリカシオン、グラビュール(カット)、エナメル彩、金彩 12.2x8.2x16.8
ドラジュワールとはお菓子入れのことだそうだ。
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文様はジャポニスムではないが、どこか東洋風な更紗の文様を思わせもする。
いや、西洋の影響を受けた東洋の文様を採用した、ような感じもある。
実際に使ったかどうかは知らないが、このガラスの器に金平糖などが収められているとすれば、とても綺麗なのは確かだ。

ところで技法も全て書いてみたが、わたしなどはわかっていないものばかりなので、いちいち調べなくてはならない。
そこでこちらのHPに詳しい説明があるのでそれを参照していただこうと思う。

獅子に百合紋章文ピッチャー 1884 宙吹き、サリシュール、アプリカシオン、グラヴュール、エナメル彩、金彩 14.3x9.0x19.8
琥珀色のガラスにフランスの百合の紋章がいくつも貼りついている。獅子はイングランドのイメージが強い。フランスでの獅子とはどのような存在だろう…そんなことを思うのも楽しい。

貝と海藻文花器 1890-92 型吹き、異色溶かし込み、ビュラージュ、エナメル彩、グリザイユ、金彩 5.8x20.3
筒形でロココ形式と説明があるが、この細巻貝をみて金子國義の絵を思い出した。オシャレな絵だったなあ。
この花器と本当の貝を並べて飾り棚にしまいたい…

唐草文カップ&ソーサー 1870年代 型吹き、アプリカシオン、エナメル彩、金彩 カップ10.2x8.0ソーサー12.6x1.6
とても綺麗。本当に綺麗で綺麗で。

蜻蛉文香水瓶 1900年頃 被せガラス、型吹き、アプリカシオン、グラヴュール 6.5x9.0
周囲にビー玉の半円を嵌め込んでいるかのように見えた。
それはトンボの目玉ではない。とても綺麗な色の反射がある。

他にロレーヌ公夫妻の肖像、「いにしえの貴婦人たちのバラード」と名付けられた古風床しいガラス花器があるのだが、どうも見知らぬものがとても多いことにやっと気づいた。

そしてここで偶然知人に会い、そのことを少し話したところ、大半が一個人の所蔵品で初公開のものも多く含まれていることを教わった。

第二章 ジャポニスムーガラス越しの日本ー
ここでもまた初見の作品が現れる。

飛蝗文双耳花器 1870-80 型吹き、アプリカシオン、グラヴュール、エナメル彩、金彩 13.0x11.2x24.0
アンフォラ型の花器でバッタがバッタバッタと貼り付いておる。

ジャポニスム文花器 1880年代 型吹き、グラヴュール、エナメル彩、金彩 8.0x24.2
月琴と三味線が一丁ずつある。それぞれ秋草らしきものの絵が描かれてもいる。
月琴は1877年頃から日清戦争前までたいへん流行した。
だからこの製作時期はリアルタイムなのかもしれない。

矢車菊文花器 1879 型モール吹き、アンクリュジオン(封入)、エナメル彩、金彩 13.6x20.6
エナメルだと思うがたいへん清々しい空色が飛ぶ。全面ではないのに空に矢車菊が映える。

雪中雀文花器 1890-1900 被せガラス、型吹き、エッチング、エナメル彩、金彩 17.3x34.5
可愛い雀たちがいるがそのくちばしの鋭さは日本の絵師ではなかなかこうは描かないと思うほど。そして雀等がいるのは樅の林の中で、そこが雪にまみれているのだ。

ファイアンス(軟質陶器)作品がずらりと現れた。形も自在に造形できるやきもの。
唐子やトンボ、蛙などが生き生きと形作られている。
同時代の横浜の真葛焼を思い出すが、あのようなリアルさはない。

団扇を三点向かい合わせた形の花器があるが、これなどはもう使うということは最初から考えてなさそうである。
京都の蚕ノ社にある三柱鳥居を思い出す。

このあたりは本当に知らない作品ばかりだった。
本当にガレは奥が深い。

第三章 ガラスを芸術へ
植物モチーフの花器が並ぶ。
ここで初めて「再会」した心持ちになる。

蘭、オダマキ、カクタス、リンドウ、マグノリア、スミレ、クロッカス、プリムラ・・・
被せガラスで表現された、懐かしく慕わしい花々。その植物のまといつく花器。
いずれも見知らぬものではない。

第四章 ドーム兄弟
七宝焼でいえば、ガレを並河靖之、ドーム兄弟を濤川惣助に準えることが出来ると思っている。
たとえ技法は全く違っても。

型吹き、アプリカシオンにエッチング、エナメル彩、金彩で作られたコウノトリ文三手花器がガレの初期作品に似ていると思った。

ドーム兄弟(らしさを感じる)ものは風景画だと思っている。
エッチングで表現された花器を見るとああドーム兄弟だと思うのである。
風雨樹林文、オランダ雪景色、冬木立…

風景文小花器とピッチャーのセットがある。花器がみんな日本の桶にそっくりなのが面白い。
花と風景とがエッチングで刻まれているのもいい。

葡萄とカタツムリという取り合わせの花器がいくつかある。
カタツムリはいずれも立体で表現されている。むにむにした生物がまといついている。
不意に取り外して一つにまとめたくなった。

それにしてもドーム兄弟の描く風景はどうしてあんなにも遠い地にしか見えないのだろう。

第五章 ガレ没後の残照 ―ランプの煌めき―
ここにあるものはすべて被せガラス、型吹きのもので、エッチングもあればグラヴュールもある。
どちらも採用してるものもある。

チベットチルー文花器 1920年代 ハイジの言う「大ツノの旦那」とでもいうべき鹿の仲間のような動物が三匹ばかりいる。
これも見たこともない。

夾竹桃文ランプ、魚文ランプ、石楠花文スフレランプ。
ただただ愛でるばかりになった。

100点を越えるガレとドームの美しい作品をみて、ただただ心地いい。
なおエントランスではガレの小花文花器が撮影可能。



心地よい時間をありがとう。
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