美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

近代画家の描く近松作品その3

昨年に引き続き、その3を見に園田学園の近松研究所に出かけた。
平日だけというのでなかなか来れないが、こうして見れてヨカッタヨカッタ。
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今回はこのチラシの通り、「冥途の飛脚」などが出ている。
「大近松全集」のそのページが開かれているので読むと、今更ながらだが、西洋的な完全な脚本ではないことを改めて思う。
これは物語として読むほうが正しいのかもしれない。そしてそれがまた楽しい。

「梅川」は北野恒富による。
これは新ノ口村のあたりの情景。展示には参考として「鷺娘」の絵が展示されていた。
同構図であるが、「鷺娘」は苦しめられることが前提としてあるので、どこか悲痛なものを感じさせられるが、この梅川は男と共に逃げている喜びを口元に示している。

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富田渓仙 「文覚」 「一心五戒魂」 いっしんごかいのたま 文覚上人の滝行を描いている。この文覚はまだだいぶ若い。袈裟御前を殺してしまった直後の若造にみえる。
とはいえありがたくも不動明王とセイタカ・コンガラの2童子が顕現して彼を見守ってくれている。
物語は殺された袈裟御前が観音として現れ、文覚を諭すという幕切れになるそうだ。
この芝居は元禄11年に初演があったそうだ。
「平家物語」は長らく人口に膾炙していたので、近松の芝居でなくとも講談などでも、庶民はみんな文覚を知っていた。

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山村耕花 「関の小万」 「丹波与作待夜小室節」 たんばよさくまつよのこむろぶし 今でもそのうちの一部「重の井の子別れ」が上演されるが、その元の話である。「重の井」は母として子である馬子・三吉を捨てるが、ここで描かれているのは三吉の父・与作の愛人・関の小万である。
彼女が何かを引いているのが描かれている。その描かれていない先には馬に乗せられている与作がいる。
与作は父として子である馬子・三吉をそうと知らず罪に陥れたことを悔い、小万と共に死出の旅に出ようとしている。

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石川寅治「虎御前」 「曽我虎が磨」そがとらがいしうす 曽我もので兄十郎の恋人・大磯の虎御前が工藤祐経の陣屋を確認しに行く所。庵木瓜は工藤祐経の紋。こないだどこかでこの紋を描いたのを見たな…
虎御前の表情にはけなげさを感じる。素敵な着物を着ているな。

さてここまでは美人揃いでしたが、ここからはちょいとコワめ。

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島成園「夕霧」 「夕霧阿波鳴渡」ゆうぎりあわのなると  夕霧伊左衛門の夕霧なんだが、病鉢巻はともかく、目元が怖い。本当に病人の顔ですな。それが見返るのだからちょっとえぐいな。
画像ではわかりにくいが、実は腫れた瞼が薄紫灰色なのがとても怖いのだよ。

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上村松園「雪女」 「雪女五枚羽子板」ゆきおんなごまいはごいた 再演されていない作品だそう。
足利将軍の御台所の腰元中川が悪人に騙されて、恋人のために将軍の太刀を盗む。しかし庭に閉じ込められ、氷雪に責められ命を落とす。そして恐ろしげな雪女となり、恋人を呼び寄せ悪事を知らし、太刀を渡す。
松園さんの怖い絵の一つ。

展示はこの6点だが、関連図録もあり、それで近年の鳥取県立博物館の菅楯彦の図録や福岡での富田渓仙の図録などを知った。
立版古もあり、数十年前の「演劇界」「テアトル」のバックナンバーもあり、とてもいいところだと思った。またなんとかいい企画の時に再訪したいと思う。
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