美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

「白描の美 ―図像・歌仙・物語―」 後期

大和文華館で「白描の美 図像・歌仙・物語」の後期を見た。
前期の感想はこちら

大随求曼荼羅諸尊等図像 鎌倉時代 奈良国立博物館  これは色んな仏さまの画集なのだが、名前がいちいち読み取れない。
ひろげられた最初に現れるのはたぶん兜跋毘沙門天。冠をかぶっているのと足元を支えるのが地天女、そして二鬼がいる。
線は同一の太さで統一されているようで、甲冑も実に濃やかに描かれている。とはいえどうも白身魚のお刺身が並ぶように見える。
左手に宝塔、右手に細い武器を掴む。
地天女は顔も柔和、両手の掌で毘沙門天を支えるが、それ以外は全てキャベツのように見えるアカンサスの葉の中に埋もれている。
そして彼女の両側には鬼が二人。一人は通常の耳、もう一人は布のように長く垂れた耳をしていて、その耳で空くらい飛べそうである。この様子を見ると鬼たちは西域の出身のようでもある。トバツがトルファンという説に乗ると、なるほどご一行さまですねという感じがする。
この描き様が非常に魅力的で、結局何度も行きつ戻りつしてはここへ立ち返り、じっくりと眺めた。
画像はこちらにある。

他にも菩薩の絵がたくさん続く。
西域風な、というよりむしろ天竺の別な宗教の女神を思わせるような艶めかしさを見せる菩薩も幾人もいた。
また馬頭人身もいて、彼らは楽隊を組んでいた。
なかなか楽しそうである。

先徳図像 平安時代 東京国立博物館  禅師たちの姿がずらずら。皆さん坊主頭に半分体の見える装束。誰が誰か区別なんか出来ないが、達磨、慧能らがいて、巻物の奥には聖徳太子もいるそうだ。

十二天図像(珍海本)のうち帝釈天・毘沙門天 鎌倉時代 東京国立博物館  どちらもキリリとした凛々しさがある。
特に帝釈天はハンサムで凛々しかった。

時代不同歌合絵 伊勢・後京極良経 鎌倉時代 五島美術館  今回は伊勢vsというのを集めたのか、伊勢と誰かのが3点出ていた。伊勢はそれぞれ違う仕草・表情を見せる。
対する藤原清輔は顔だちのぼってり大きな人で、伊勢を見るともなしによく見ている。

源氏物語や隆房卿艶詞などは巻替りがあってそれぞれ違う画面になっていたが、意外に大きな違いを感じなかった。
申し訳ないことを言うと、やっぱり源氏の場合、大きな流れはあっても、基本的に光君はどこかで女と仲良くしているので、「えーとこれはどの女かな」という程度で見分けているような気がする。背景で判断するといよいよ「ハイハイ」になる。これでは源氏絵を見ても甲斐がないので、やっぱり申し訳ない。
だが、絵はそれぞれ丁寧で綺麗なので、こんなわたしでも楽しいのだ。

隆房卿艶詞は悲恋ものではあるが、やっぱりサイドストーリー的な立ち位置にあることを感じる。思えば小督は気の毒なヒトである。

白鶴美術館からも源氏物語画帖が来ていた。淡彩の美麗な画帖で1シーンごとに楽しめるのがいい。

根津美術館の伊勢・源氏絵屏風は後期になって源氏絵が出てきた。こちらはまた優れた屏風で、時間の流れを巧い処理で見せている。
話の展開は分かっているから、その処理の巧みさを味わうこともいい。時間の推移には金雲が不可欠なのである。

新嘗祭行幸図 岡田為恭  さらりと愛らしい絵だった。いつもとはタッチが違い、可愛らしさが先に立つ。こういう絵も描くのか。いいなあ。

全期間出ているものは挙げず後期だけのものを中心にした。
白描の良さが身に染みるのは、マンガや挿絵がわたしの中で元気に活きているからだろう。
いい展覧会だった。
2/19まで。

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