美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

2月の東京ハイカイ録

さてわたくしは前日の京都歩き疲れの身をそのままに東京へ向かいました。
いつものロッカーの一つ上に荷物を放り込んだが、ここにはダウンジャケットもしまいます。なんしか金曜は20度くらいというのに土日は10度やというのでコートじゃアカンかも、と思ったのですね←用意周到な遊行さん。
例によって展覧会の詳しい感想はまた後日。

EXICで大阪から東京に来るものは特典がありまして、地下鉄全線(メトロも都営も)の24,48,72時間共通チケットが割引になるのですよ。
丸ノ内か日本橋で販売。それで今回は日本橋駅へ。
72時間1500円のチケットを使い倒すわけです。

で、いきなり最初にコケた。三井記念美術館は翌18日からでしたわー。
仕方ない、そのまま新橋へ。

新橋停車場で蒸気機関車展。D51などのプレートを見る。
999、トーマス、やえもん。
映画「ボルサリーノ」2のラストでは敵を機関車の石炭のところに…
そうそう「北国の帝王」は蒸気機関車の上で戦ってたなー。

汐留ミュージアムに入る。「マティスとルオー」展。
これがまたとてもよかった。絵は圧倒的にマティスの方が好きなのだが、二人の往復書簡がとてもいい。仲良しなのだね。モロー教室には後に大変立派な画家になる人々が多い。

ランチの選択に失敗する。名うての新橋でなぜこんな目に遭うかね。
わたしは冷えた天ぷらもやたら太い堅いうどんもイヤです。
ああ、えらい目に遭うた。
これならやはり無理をしてでも手仕事SAKURAでクジラ食べるとか、三田で焼き魚の大根おろしお代わりするとかすればよかった。

その三田で乗り換えて白金台へ。予定は来月だったがまあええかで松岡美術館へ。
古いやきもの、素敵な日本画を堪能して、カメラあるのでパチパチ撮って、それで次は庭園美術館へ、の予定がまた狂た。
元の道に戻ればいいものを坂を下って行き、高速道路の横を延々。しかもまた選択ミスしてついには恵比寿との間にある血豆ビルが見える位置にまで。
うううー。ホーチキが見えたので先に区立美へ。

目黒区美では小川千甕などをみる。いいスケッチや。
それでようやく納得して坂を上り、庭園へ。
ここでは京都の並河康之展。単眼鏡は借りず自眼で見る。
見えるのだが疲れた。しかし単眼鏡はシワが出来そうでなあ。

梅が綺麗だぜ、庭園美術館。

よろよろしながら次はサントリー美術館へ。
こちらもコレクターの眼といういい展覧会でしてな。
なんと撮影OK、SNSに挙げるのも宣伝効果になるからゼヒゼヒということで、わたしなんかも喜んでコロコンでパチパチ。
色々挙げてゆくとけっこう喜んでいただけたようでよかった。

それにしてもさすがサントリー。わたしはサントリーが好きなのだよ。企業としても、働く人々の応対も。
ただ、もう少しおいしくなればなあとは思う。

次は上野。都美で「ティツィアーノとヴェネツィア派」展。
申し訳ない、近年ますます泰西名画にどう反応していいかわからなくなってきたよ。
とはいえ女の肌は艶めかしいし、聖女たちのまとう赤い布は各人により違い、その質感まで感じさせるのはいいとは思った。また宴席の絵で、犬は期待をし、猫は自分からチャンスを狙っているのがあって、それが面白かった。

眼からビームは出ないけど手から電波は出ていたようで、ロッカーが開かず、そのせいで送迎バスを目の前でムザムザと見送ることになった。
更にはホテルでカード払いしようとしたらこれまた何かトラブルが起こりアウト。
こんな日はあるもんさ。

レトロなというか、本当に古い古いお風呂屋さんに行く。場所が分かりにくそうだったが、人の後を追うとついた。
ほんまに古いな。
しかしその分ひとに親切で話しかけてくれたり色々。
が、たまらなく熱い。熱いのはわかっていたが、それでも熱い。
浸かるだけのお風呂なので、ジェットバスや電気湯がないのは残念。あれば体の痛みもマシになってたかな。

初日はここまで。

2日目、土曜日。予報通り寒い。ぬくくして金沢文庫へ。京急内ではほぼ寝てましたね。
で、スマホがRTやイイネのお知らせをしてくれたおかげで金沢文庫で無事に下車。
寝ぼけてたので東西を間違え知らん出口に出たのはご愛嬌。

金沢文庫にたどり着くまでに梅の木がたくさんあった。大きな柑橘類、もしかするとハッサクの実る木も。
ここでは5年前にも開催された楠山永雄さんのコレクションが開示されていた、
今回楠山さんが亡くなられてここに寄贈されたのを機に大きなコレクション展が開かれたそうな。
前回の様子はこちら

中に小栗一大略記の一枚もののビラがあり、前回のとは違う分なのを知る。
上野が原の風葬、遊行上人の夢に閻魔が現れたりとか色々。
また、照手姫が六浦の婆さんに松葉燻しされるが、その地が近年まで名所図会に必ず出ていたことも知る。
他にも昔の金沢八景を描いた浮世絵から明治の写真絵はがき、京急以前の湘南電車などの沿線行楽地案内栞、記念切符、鳥瞰図…すごいなあ、楠山コレクション、素晴らしかった。

横浜へ。ちょいと早めにランチしようと崎陽軒へ。
八宝菜定食を頼んだがとても量が多くて昼間からようけ食べたわ。

今度はユーラシア文化館。先に階上の都市発展記念室を回る。
やっぱり都市というものは面白い。

ユーラシアでは増田彰久さんのアジアの近代建築写真展を見る。
実に面白い。中国の北京、上海、天津、奉天などが主要な撮影場所で、これがもう物凄い。
増田さんの視点が途轍もなく面白い。
貰った冊子にはまた別な方の撮ったその建物の遠景写真があるのだが、それだけでは決してわからない場所の面白さを増田さんは教えてくれる。
ああ、写真家・増田さんは永遠に心の師匠。

すごく豊かな気持ちになってから開港資料館へ。
これがまた面白くて。
その中で一つ納得したのがある。
金沢文庫の展示でみたチラシに、震災でぐったりした女がへたりこむ絵の横にカナで「ノウサツ ハマビシレン」とあり、「こんなやつれたヒトで何が悩殺やの、ハマ美人試練?ちがう、花火のミス?」と謎グルグルだったが、「納札 浜菱連」なるビラを発見。あ、そうなんや。ああ、やっぱり出かけて調べないとわからんもんやなあ。
中庭で1935年の横濱復興博覧会の案内図を見る。
これは金沢文庫、都市発展資料室、それとここで一日で3回みました。

乗り継いで都内に戻る予定が色々時間を使いすぎて予定変更。
やっぱり横浜は面白い。
今日は県庁の前でキング、クイーン、ジャックの塔を一度に見ながら昔のパノラマカメラどこに行ったかなと思ったり色々。

今度は鎌倉の長谷寺の展覧会も行かなくては。
なんかね、今昔ものって大好きなのですよ。
泰西名画より好きなのだろうなあ。

ようやっと上野につく。えらく手間取った。
なぜ横浜からこんなに時間かかるかな??
じぶんでもよくわからん状況になる。
まあ途中で体調不良というのが来たのですが。

東博で「春日大社」展を見る。以前に「大神社」展や春日大社宝物殿でも観たりはしているが、これはもう本当に大きな展覧会。
最初に鹿の屏風があるのがいい。鹿も色んな顔つきを見せて、それを追うのも楽しい。
多くの鹿を見るうちに資料や奉納された品々に導かれてゆく。
春日曼荼羅、春日権現験記絵などの絵も多く、全てを見たとしても理解に至る道は遠いことを知る。それでも見入らずにはいられない。
わたしとしては猫が雀を襲う太刀が見れたのは嬉しい。この刀をモチーフにしたポスターを持ってますわ♪

常設展でも春日大社関係のものをみる。
中で金春流伝来品をみたが、これらは脚本家の金春智子さんのご実家に伝わっていたものだと思うと、いよいよ感慨深い。
金春さんも、明治の大変な時期に散逸させないように努力なさった方々に感謝しておられたが、本当にその通りです。



150年後の今、こうして対面できるのは本当に有難いことです。

身体がちょいと言うことを利かなくなったので千葉を諦めて定宿へ帰る。
久しぶりにケーキも買ったが、これがとても美味しくて、本当にケーキの美味しさを味わう。いいなあ。
この日は早寝。


最終日、ロッカーに放り込んでから(以下略)、今日はまず文京シビックセンターへ。
びーぐるバスに乗るのだ。後楽園駅からなら外へ出た途端にバス停が見える。
これに乗るとうまいこと野間記念館につきました。
乗物はここまで全ていいタイミング。

野間記念館、12か月色紙。もぉ本当にたくさん見たなあ。すごく楽しいがちょっとクラクラしたね。画家それぞれの得意分野で彩管をふるうから、もぉ見応えありすぎる。見落としはないかと凝視したが、それでもまだ足りない。
卓上芸術を堪能。スゴかったなあ。時間はいくらでも必要。
派手な色彩を好む人が抑制をきかせたり、実験したりと千差万別。
美人画家はやっぱり美人画家、田舎が得意な画家は田舎の絵、花鳥風月、楽しいわ。




椿山荘の花をちらりと見て江戸川橋の違う出入り口を使う。ああ、こうなってるのか。
それから飯田橋の大江戸線へ。なんかディストピアな配管を見る。監視されてる気分ですなw
で、わたしは本郷3丁目へ。かねやすがある。
本郷もかねやすまでは江戸のうち
今日は休み。近江屋洋菓子店も休み。神楽坂の紀の善も休み。

久しぶりに文京ふるさと歴史館へ向かう道すがら櫻木神社を通る。
「ドラゴン桜」を思い出すよ。
本郷の今昔をみせる「新撰東京名所図会」をみる。山本松谷(昇雲)らの挿絵。
他に帝大の古い写真、地元商店の広告などが集まり、明治の文京区の賑わいを偲ばせる。
団子坂の昔、菊人形華やかなりし頃の絵もある。
その菊人形のビラが面白い。東海道の名所に講談や芝居を絡めたり、日露戦争の再現があったり。(しかも何故か忠臣蔵の刃傷まで)好きやわ~
あら申し出たら撮影可能なんやわ。パチパチ。

そこから湯島まで歩く。何故歩くのかよくわからんが歩く。本郷3丁目から御徒町まで乗ればいいのに。まあとにかく歩くうちには湯島の白梅も見える。
湯島から千駄木へ。団子坂を上がる。菊人形、D坂の殺人者…

森鴎外記念館。今回は鴎外の死に関する様々。「死してなお」展。
死の床にある鴎外に過る想い。ただの石見人・森林太郎としての死を望む鴎外。
周囲の人々の鴎外への誠実さ、死後の全集に関する様々な思惑。
鴎外という大きな存在だからこそ起こる「事件」であり、また、普遍的な感情のねじれもあり、重く受け止めた。
妻、親友、実弟。絡み合い反目しあう思い。
本当にたいへんなのは死後なのだ。
ビッグコミックで連載中の倉科遼原作・ケン月影作画「荷風になりたい」でも荷風が尊敬する鴎外の死を悲しむ話があった。そのことを思い出す。

湯島から表参道へ。ビリケンギャラリーにたどりつく。
近藤ようこさんの個展に来た。ご本人は治療中のため不在。残念だけど、一刻も早く良くなっていただきたい。無理は禁物。
絵は前日までにすべて完売。めでたいことです。
「海人」の青褪めた瞼、水中に流れる血と同じ色の上唇。彼女は小刀をくわえている。決意はその表情に浮かぶ。
蝉丸と逆髪、吉祥天女と男。
古き世の物語。その一瞬を切り取ることで物語は永遠に時間を止める。
そして近代の女の微笑は、怖い。

ここでタイムアウト。表参道から日本橋へ。そこから東京駅。ちょっとラム酒の強いチョコを買う。30品目のお弁当を買って機嫌よく乗りこんでいざ出発!
・・・いきなり停電。なんでも千葉で震度4。
10分ばかり停車後走り出す。大変やのう。被害がなくてよかった。
新大阪からは例によってタクシーに乗ったが、今日のドライバー運転荒いがな。言葉は丁寧で寡黙なんだけどこれは乗りなれてない人なんちゃうか。あかんあかん。
帰宅した途端千鳥足なのはラム酒のせいか運転のせいか。
いつもゆとりのないわたくしでした。
また来月。
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