美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

西宮の狩野派・勝部如春斎

西宮大谷記念美術館で「勝部如春斎」展が開かれている。既に後期になり展示換えも行われている。
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わたしは前期に出かけたが、時期を見誤り、どうやら後期には行けそうにない。
展示は5/7までなのだ。
しかしスルーしなくてよかった。
見れた、そのことだけでも尊い。
そんな風に思うほどに濃い内容だったのだ。

西宮大谷の展示はまず一階の左の大きな部屋から始まる。
受付に背を向けてそちらへ向かうと、視界に金地の大きな絵が入る。
そう、その演出はここの大きな特徴なのだ。
以前見た印象深い展示では山下摩起の屏風がそこにあり、強く打たれたものだ。
今回も目を打つものがあった。
近づくにつれそれが襖絵だとわかる。
描かれているのは花鳥だが、その室内にはほかにも同じく花鳥を描いた襖絵、屏風が何点も展示されていた。
これらは彼の活躍した地元、西宮・池田・尼崎、そして今の豊中市に伝わる作品である。

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松桜に孔雀図、松楓に孔雀図 どちらも池田の弘誓寺の襖絵である。
孔雀たちは絵の中で暮らしていた。
動くことはないが、しかしイキイキとした様子を見せている。
咲く花にも話しかける孔雀たち。
如春斎はそんな絵を描いていたのだ。

秋草に鶴図 養照寺 このお寺は行基菩薩が建立したお寺だそうである。
このお寺のある町は他に若冲のサボテンにトリの襖絵の寺がある。
古い町の多い豊中市の古刹。
さてここに描かれているのは目元に個性の出た鶴たちである。
中にはハート型メイクの鶴もいた。
丹頂鶴もいるが、鼻筋が赤いのもいる。
鶴の個別の柄についてはよくわからないが、ロックバンド・KISSのメイクを思い出したのは確かだ。
この襖絵は鶴の欄間の下に収められている。



花鳥図 浄専寺 雪が乗る竹に梅、白椿、ウグイス、鳳凰、孔雀などがいる。
元は書院の襖絵だったそうだ。
武内宿禰の子孫の尼崎のお寺。

四季草花図/芦雁図 華やかな草花図。ワラビ、山吹、ユリ、白野バラ、菖蒲。秋は女郎花、桔梗、南天、萩などが配置もよく咲き乱れている。

その裏面の芦雁図は水墨画。表裏の派手・枯れの落差の大きさがいい。雁たちは可愛い。

牡丹図 ごくシンプルな絵。白い花びらには緑が薄く潜んでいる。
白梅もそうだが、如春斎の描く白い花びらには緑が潜むことで、白さに儚さが加わる。

この一室だけでかなりの満足がある。

二階へ上がる。
花鳥画の良いのが多い。
季節ごとの木花・草花・木々、それぞれに合う鳥や時季が描かれていた。
中でも良かったのは最後に現れたこの一枚。
月雁図 垂直落下する雁。宗達のとはまた違うが、軽やかな雁の動きがとてもよかった。

仏画・人物画
西宮の茂松寺に伝わる仏画がある。いずれも表具は同じ。描表装らしいがそうは見えない。
三十三観音図 ずらりと12点が並ぶ。天竜夜叉、毘沙門天などなど・・・
美貌の仏が居並ぶ様は壮観。
後になると、この元ネタにあたる明兆の大自在天の絵が出てくる。東福寺蔵。

十八天図 フルカラーの華やかな仏画。対幅に描かれた綺麗な絵。
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他に西王母、神農、琴棋書画図がある。
いずれも華やかな彩色。

牟礼高松図 これだけは日本。義経が松の下、乗馬する姿。凛々しい武者姿。

山水画はどこかの田舎の山の中ばかりではない。
竜田川に紅葉、蓬莱山、秋の富士山など。いずれも静かな風景画。

龍虎図 これが実に面白かった。六曲一双に龍と虎とが半分ずつの持ち場があるのだが、龍がむふーっと気合十分なのに対して、虎たちはみんな猫の親戚筋だけあって、実にええ加減である。
伸びて寝てたり、面倒くさいからええわ、な母虎もいるし、なんだよーこわいよーの小虎にハイハイ大丈夫、な虎もいる。
みんな戯画風な面白さがある。

フルカラーの華やかな屏風があった。
小袖屏風虫干し図巻 これがとても華やいでいて綺麗。
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一つ一つの屏風絵がまたとてもよくて、しつこく何度も見たわ。

画稿もよかった。月さし布袋、李白の滝見、三酸図、小町に蝉丸ら歌仙、猩々など。

同時代の大坂の絵師たちの作品紹介もあった。
大岡春卜、吉村周山、福原五岳といったあたりから、先般神戸で回顧展のあった鶴亭の絵も出ていた。

月岡雪鼎 鯉図 ぴょんっと自由な感じで跳ねている。

弟子の狙仙の絵も色々。
蜀山人の賛つきの後姿のトラがかわいくてならない。

森徹山 月夜白狐図 これはもう文政年間の絵と言うより、とても近代的な意識で描かれたような絵だった。
金泥の中に佇む白狐。静謐の中にいる。そのまなざしの賢そうなところもいい。

大阪の三井南家4世次郎衛門の出した狂歌集「ならひの岡」には挿絵に応挙、蕪村、如春斎らが参加。
なかなか楽しい絵があった。

いくつも興味深い絵があり、交友関係にも関心が湧いた。
とても面白い。

この展覧会が元で如春斎の人気が上がり、研究が進めばいいなあ。 
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