美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

人によりそう ―中山太陽堂にみる販売促進・営業活動―

もう5/31で終了するがクラブコスメチックス文化資料室の今期の展示はやはり面白かった。
既にツイッターでいくつも挙げているのでご覧になった方もおられるかもしれないが、ここでもまとめたいと思う。
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中山太陽堂の創業者・中山太一の偉いところは、人を喜ばせようとしたところにある、と常々思っている。
お客・代理店それぞれに親切をした。
その親切が究極のところで利益になる。
親切、と一概にくくれるものではないが、しかしわかりやすい言葉でいえばやはりそれは「親切」に他ならない。
中山太一の言葉でいえば「共存共栄」である。
製造メーカー・愛用者・代理販売店、三者がみんな喜べるように、中山太一は努力した。

この三方ニコニコのシステムは別に中山太一が思いついたわけではなく、先達に河竹黙阿弥がいる。
狂言作者の彼は「お客に親切・役者に親切・座元に親切」の三親切を心がけ、死後百年以後の今も愛される芝居を数多く残した。
中山太一もその考えを懐き、化粧品業界にそれを持ち込み、「化粧品業界の近代化の父」と謳われるようになった。

さて中山太一の賢いところは、宣伝の力を知り尽くしており、それに力を入れたことだった。
商品の品質はよく、なんら恥じることもない。
そこで近代的な化粧法を広めるにはどうするかを考えて、大がかりなイベントに積極的に参加していった。
今回の展覧会はその中山太陽堂が参加してきたイベントの紹介であり、そこでの存在価値を見せてくれるものだった。

以下の写真は主催者の許可を得たものです。

展示室風景
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上の青い長いのは天神祭を描いた緞帳の再現。
水の都・大大阪の祭。
下部に「クラブ白粉」の文字がある。調整は松坂屋。

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映像コーナーと読める資料もある。

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実業之日本社から出た大正博覧会写真号とそこに掲載された広告。
水面に「クラブ白粉」の文字が浮かび、上部には古代から近世を代表する美人の紹介がある。

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平和記念東京博覧会の会場図。中央に絵と周囲に当時の写真とで構成されている。
噴水像も中山太陽堂が提供している。

この上野公園での博覧会では特設感を設置している。
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ステキな建物…

更にそこで美容部員が、やってきたお客さんにプロの手でメーキャップを施す。
人気は上々。
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建物には応接室もあった。
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公園の噴水の写真と絵。
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カテイ石鹸の文字が見える。

博覧会だけでなく、中山太陽堂は劇場の緞帳を贈ることも多かった。
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大阪歌舞伎座と中央公会堂の緞帳
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松坂屋の調整。

この時代の松坂屋はもしかすると堺筋のだろうか。

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こちらは城崎温泉地蔵湯の前にあった中山太陽堂の名入塔。
地蔵湯、洋風建築だったのか。
貴重な資料である。

他に当時の社員が着用した法被やプレゼントの団扇などがある。
そして当時の新聞もあり、広告に力をいれていたことがよくわかる。

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大事に残されていたのだ。

三者に親切、共存共栄、宣伝効果。
知れば知るほど中山太一と中山太陽堂は面白い。
かれは多くの人とつきあったが、芥川龍之介の随筆にもその名が出てきもする。
いつでも闊達だったようだ。
そのあたりのことも面白い。

展示された優雅な化粧品セットと共にそのあたりのことを大いに楽しませてもらった。

次の企画展示は来春になる。
どんな展覧会が行われるのか待ち遠しい。

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