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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ウォルター・クレイン展で見たコールデコット、グリーナウェイの絵本と挿絵本

千葉市美術館のウォルター・クレイン展で途中の第二章に
・カラー絵本の仕掛け人エヴァンズとコールデコット、グリーナウェイの絵本と挿絵本
という章立てがある。
ここではクレイン以外にエドマンド・エヴァンズの木口木版多色刷の仕事をした画家たちの紹介があった。
とにかくエヴァンズの技能の高さがなければ、ここまで素晴らしい本は世に出なかったのだ。

『ありふれた路傍の花』 挿絵:マイルズ・バーケット・フォスター トーマス・ミラー 1860年  蝶々と花が。綺麗な絵。

『英国年代記』挿絵 :ジェームズ・E・ドイル ジェームズ・E・ドイル 1864年  古代からリチャード三世までの1500年間を記す。
ブリテンのアーサー王もあるのかな?
リチャード三世と言えば今連載中の菅野文さんの「薔薇王の葬列」が素晴らしい。ずっとドキドキしている。

『妖精の国で』 挿絵:リチャード・ドイル ウィリアム・アリンガム 1870年   蝶々たちが引く葉っぱ車に乗る妖精。
この絵はとても好き。蝶たちの繊細な表現と色彩が魅力的。

・ランドルフ・コールデコットの全トイ・ブック 
名前を知らない画家だが、絵を見て「あー!」な人だった。
『ヘイ・ディドル・ディドル/ベイビー・バンティング』 1882年
イメージ (361)
猫が機嫌よくバイオリンを弾き、みんなにこにこ踊りだす。

イメージ (360)
お皿とスプーンも。
このお皿を見て「あーっ」となったのですよ、わたくし。
1991年の「子どもの本の黄金時代 1920年代」展。これで見たのだ。
絵はがきは当時購入したもの。

『かえるくん 恋をさがしに』 1883年  猫が出るらしいがここではいない。

『6ペンスの唄をうたおう』 1880年  明るくていいタイトルが多いね。

しかし、けっして明るく楽しいばかりではない。ゴーリー「不幸な子ども」同様、救いのない話があった。

『森の中の子どもたち』 1879年  ストーリーなどについてはこちらのサイトに詳しい。
16世紀には既に成立していたバラードだそうだ。
良心を無くした幼い兄妹が財産目当ての叔父により森の中で殺されかける。
以来を受けたならず者たちのうち一人が子供らを助けようとする。
食べ物を町に取りに行くから待っていろと言われても子供らは動かずにはいられない。
そして男が森へ戻った頃、子供らは迷い込んだ森の奥で餓死する…

滋賀では3点の絵が出ていたが千葉では一点のみだった。

・ケイト・グリーナウェイの創作絵本と挿絵本
彼女の展覧会を見たのは93年の大丸が最初だった。とても可愛らしい絵で、当時も大ヒットし、子どものファッションに大いに影響を与えたということだった。ヴィクトリア朝時代でありながら、そのひとつ前の時代の衣裳をつけた子供らを描く。それが優美だということで、とても好まれたそう。

彼女は絵だけでなく詩も書いた。
なので当時の展覧会のタイトルも「絵本の詩人ケイト・グリーナウェイ」だった。

『窓の下で』 詩:ケイト・グリーナウェイ 1879年  この詩と絵の本が大ヒットした。当時としては爆発的な売れ方をし、10万部出たそうだ。

マザーグースでも巧い絵を付けている。綴り方読本もいい。

『ウィギンズおばさんと七匹のすてきな猫』 編集・詩:ジョン・ラスキン 1885年  コミカルでリズムがいい。モノクロ。

『マリーゴールド・ガーデン』 詩:ケイト・グリーナウェイ 1885年
イメージ (362)
小さな絵がとても愛らしい。

『ハメルンの笛吹き』 ロバート・ブラウニング 1888年 男の笛の音に魅せられて子供らがずらずらとついてゆく。
普通はここか、この後の残されたハメルンの住人たちの嘆きで終わるところだが、彼女は違う。
どこかの草原、大きな木があり、そこで大勢の子供らが楽しそうに遊んでいる。笛吹き男も機嫌よく笛を吹く。
グリーナウェイは子供らが幸せの国に行った、と仮定してその絵を描いたのだ。
この絵本は彼女が尊敬するラスキンに捧げられ、彼から絶賛された。

彼女のバースデイブック、絵暦であるアルマナックはいずれもミニサイズで買い求めやすく、その可愛さ・手軽さがとても好まれた。
わたしもほしいわ。
イメージ (363)


しかし彼女は水彩画家として認められたがり、1890年に絵本作家であることをやめてしまう。
水彩画が二点ばかりここにあるが、やはり絵本をやめたのは勿体ない…
彼女はラスキンの死の痛手から立ち直れず、55歳で亡くなるのだった。

クレイン展の一隅だが、これもまた素晴らしい展示だった。
5/28まで。
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