美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

黒川古文化研究所名品展 中国古代の青銅貨幣、円山四条派の絵画、刀剣と刀装具

阪急の苦楽園口前から送迎バスに乗せてもらって黒川古文化研究所へ。
とにかく眺めは素晴らしい。



ここの展覧会は特に古代中国の文物に関して非常に勉強になる。
白鶴美術館同様、眼を開かされることが多い。
今回も中国古代の青銅貨幣について初めて知ることが多くあった。
イメージ (384)

春秋戦国から秦そして前漢までの青銅の貨幣が並ぶがそれらの大半は「刀銭」だった。
何故刀の形をしているのか、その時点で謎なのだが、そのあたりの回答はここにはない。
ないことでわたしの妄想というか推理は無限に巨大化する。
それがまたとても楽しい。そして調べてみよう。

春秋戦国時代の青銅貨幣が中心なので当時の国家地図が壁面に色分けして掲げられていた。
さらにその色分けは展示品にもおよび、どこの国のものかは展示物を見る限り一目瞭然となっている。
方向音痴なわたしの言い方でいくと、左奥が秦、右上に燕、下の中央に韓がある。
国名を見るうちに様々な事件が思い浮かぶ。

燕の太子丹が秦の仕打ちを恨んで暗殺を企てる。
荊軻がその任を負うことになり、彼は悲痛な歌を残す。
風蕭蕭兮易水寒 壮士一去兮不復還

いつ思い出しても瞼が熱くなる。

さてお金の話。
貝銭から青銅になった時代。その青銅自体に価値がある「実物貨幣」として流通する。
とはいえ地域により貨幣の形の違い、重さの違いがある。
始皇帝が度量衡を統一化したのだったかな、しかしこと貨幣は斉の国の方がうまく<統一>したそうで、重量も均一化している。
ただ、ここでわからないのが「四字刀」「三字刀」「六字刀」といったものたちで、それが何を意味するのかがちょっとわかりにくい。
刀銭のことだとすればどのあたりを見るべきなのか。

中原は農業が盛んでそのために鋤形をしたおカネ「布」銭を流通した。
一方黄河流域周辺は農より漁業が盛んで、そのために刀が活きたそうな。
なのでこちらは刀形の銭。
丸くて中心にお金が開いたものも流通。
鋳造して作られた。

これらのことを踏まえて展示物を見るとやはり面白い。
そして泉屋博古館からもお金が来ていた。
これが本当の借入金かな。
いや、あの、すみません。
黒川さんはもともと証券会社だったことを考えるとやはり貨幣コレクションは面白い。

古代中国の貨幣についてわかりやすい説明を書いたサイトがあった。こちら

イメージ (385)

次は刀剣と刀装具。
本体+鞘のセット展示。
あいにくわたしはとうらぶのヒトでないので、刀は刀としてしか見えないので、ある意味残念。

刀の来歴を知るのも面白い。
綱吉が自邸に来るたびになにかと賜っていた吉保。58回も来ている。そのあたりはまた色々ややこしいのでここには挙げない。
それで賜った刀がある。拵えは葵が三つ連続のもの。

刀装具もなかなか凝ったものが多い。粟をモチーフにしたものがなかなかよかった。
萩にうさぎ、おたまじゃくし、追儺図としてイワシの骨に柊が絡まったものなどなど。
遊び心があるものが好きだ。

鉄、銅、真鍮、赤銅、朧銀(四分一)、七宝、蒔絵…さまざまな構造体の刀装具。
七宝の小柄というのは初めて見た。
朧銀は松下幸之助に支援してもらっていた工芸作家の良い仕事を思い出させてくれた。
成分で色が変わる金属というのも面白い。

最後は四条円山派。
渡辺南岳の鯉図屏風がそのまま展示されていて、畳の上からの鑑賞になっていた。
イメージ (380)

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しっかり身が着いた鯉たち。目が案外可愛い。
左はところどころ緑の葉がみえる。松葉も青い。淡彩の良さがある。

山本守礼 美人機織図 円窓美人。窓の外には柳。彼女の髪飾りにもビーズがある。
イメージ (378)

守礼 群鶴図 中は呆然と周囲を見る鶴たち。左右は二頭身サイズの鶴たちが優美に飛ぶ様子。可愛いな。

山口素絢 靭猿 珍しいことにこれは手の込んだ拵え方をされたよう。
無邪気な猿と踊るシーン。どこか幻燈の種板にも似ている。
イメージ (379)

松村景文 桃に白鹿図  青桃の木の下に白鹿。背中にちょっとだけ鹿の子がのこる。カシコソウ。景文は四条派と円山派のいいところを持っていて、ごく穏和に明るい世界が開いていた。

西山芳園 雪中竜安寺  鏡池かな、雪にまみれてシーンとしている。

森徹山 連翹に雀図  細い枝には黄色い花がいっぱい。その隙間に止るスズメと、その木の上下に、おしゃべりに余念のない雀たちがいた。可愛い表情の雀。

森狙仙 雪中上猿猴図 気に掴まる猿たちの様子がいい。

森一鳳 鯉図屏風  岩躑躅の横にいて、何か遠くを見てそうなサル。

最後に面白いものをみた。三幅対のようになされているのだ。
橘公順 夜楓図 「有明のわきてあかきは いくしほのもみぢや月の匂ひ そふらむ」 月に楓のシルエット。
このヒトは大和文華館所蔵の「東山第一楼」にも参加。

鈴木其一 暁桜夜桜図 この対幅を中と右にしているのが巧い。
そしてこの絵は没骨で、それが「琳派」ではなく四条派風だということを記してある。
京都情緒、それを好んだわけだが、実はそのあたりは琳派ではなかった、という面白い話が書かれていた。

実際暁桜の薄墨のシルエットはどうみても四条派風な詩情がある。
夜桜は黒桜で、これらは向い合せると同じ桜だとわかる。
・・・なるほどなあ。

面白い展覧会だった。
最終日に行けてよかった。
次も楽しみ。
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