美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝

三井記念美術館からはじまりあべのハルカス美術館へ巡回する「奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝」展を、まず三井記念美術館で拝観した。
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西大寺は近鉄奈良線の奈良西大寺駅から徒歩すぐの地にある。
創建1250年ということだ。このお寺の歴史なその成立の経緯については西大寺のHPに詳しい。
こちら

西大寺は駅としては近鉄奈良線の中でも重要な乗換駅で、わたしもしばしばここで乗り換えたり、エキナカの立ち食いうどんを食べにわざわざ出向いたりもする。
(おいしいのですよ、ここのかすうどんは絶品)

で、その西大寺には実は一度も行ったことがない。
一度だけ西大寺に隣接するガトー・ド・ボワに行ったことはあるが、お寺には入っていない。
ニュースで巨大な茶碗をみんなで回し飲みするのをみて「ああ、西大寺な」くらいしか知識がない。
全く申し訳ない。

1987年から89年までの間に、難波の高島屋で「西大寺」展があったと思う。
チラシを持っているはずなのだが、まだ探しきれていない。
あの当時、高島屋では「唐招提寺」展も開催していたが、「西大寺」の方は見に行かなかった。
つまり、今回の展覧会で初めて西大寺の宝物・仏像を拝観することになるのだ。
とはいえ西大寺だけでなくチラシにある通り他のお寺からも多くの寺宝が来ている。

拝観と書いたが、実際のところ寺社以外の場所では見学・鑑賞と言うべきか。
拝観の場合、そこにある程度の信仰心がある。
しかし美術館・博物館では手を合わせて拝むこともしないし、言えば神仏像をこちらの好みのまま恣意的に凝視することになる。
特に首都圏ではその傾向が強いように思う。
仏像は美の対象であり、信仰心とは切り離される。

わたしは特定の宗教を信じるわけではないものの、古い関西人であることから、やはり神仏像へはある程度の畏怖の心、信仰心といったものが前面に出る。
なので本当を言うと、神仏像を展示した展覧会に行くのはニガテなのである。
だが、大昔からの「出開帳」が何も人々の信仰心のためのものではなく、勧進でもあり、見る側もありがたく思う一方で好奇心を見たし、楽しむ気持ちの方が大きいのは確かだ。

ややこしいことを長々と書いたが、要するにわたしもちょっと困っているのですよ、こういう自分の感情と折り合いをつけるのに。
・・・という感情が底辺に横たわるのを先に記しておいて、簡単な感想を挙げる。

イメージ (403)イメージ (402)

展示室1では密教の仏具などが並ぶ。
五鈷杵とか白銅の法具等々。
中でも目立ったのは鎌倉時代の「白銅打ち鳴らし」。
大小二つありそれぞれ「獅子丸」と「小獅子丸」と呼ばれている。可愛いな

例の一点ものの第二室には「金銅透彫舎利容器」があった。これはもう本当に綺麗な透かし彫りで、牡丹が咲き、獅子が横っ飛びする図柄が刻まれていた。ぐるぐる回る様子は廻り灯籠のよう。

奈良時代の西大寺の瓦や塼もある。緑釉が残る。
如庵には大茶盛式に使う巨大な茶碗がどーん。
そしてその柄を見ればどうやら奈良の赤膚焼。可愛らしい奈良絵が描かれていた。

いよいよ中心へ。
・西大寺の創建から平安時代まで

綺麗な経箱があった。
月輪牡丹蒔絵経箱 鎌倉時代ので蓋とサイドがなかなか凝っている。

塔本四仏坐像 釈迦像・阿弥陀像 奈良時代 お釈迦さんはちょっとトボケ顔、阿弥陀さんはおとなしそう。なんだかいいコンビなのだが、あとの2仏は巡回先で登場らしい。

十二天像のうち前期は帝釈天・火天。にこにこしたゾウさんは目がかまぼこ型、もう一頭のゾウさんは目がクロメがちで鈴のよう。
かまぼこさんが鈴さんをみている。天部は気にしていない。

・叡尊の信仰と鎌倉時代の復興
前期に観たものを記す。

興正菩薩坐像 1280 ああ、あの…と思い出す。以前何かの展覧会で会うている。下がり眉が目立つおじいさん。
その像内納入品も出ていた。

愛染明王坐像 1247 前期のみ
イメージ (400)
ご本体よりアタマの獅子がけっこうコワモテ。お顔はどちらかと言えば端正ではないかな。怒ってはるというより、元気が爆発。

様々なお寺の仏像が現れた。

グループもの。
文殊菩薩騎獅及び四侍者像のうち 文殊菩薩坐像・善財童子立像・最勝老人立像 1302 この文殊は本当に美人さんで、善財童子も可愛い可愛い。獅子がまた立派で大きいのもいい。
像内納入品も少なくなく、曼荼羅まで入っていたよう。

イメージ (401)

大黒さんとその仲間の弁天さんの懸け仏も像内から出てきた。

お地蔵さんもおられる。1514 木造でちょっと茶色いのは木の地の色か。
毘沙門天は力強い。踏まれた邪鬼は歪んでいる。

元興寺さんから聖徳太子孝養像も。1268 元興寺さんの宝物殿でお会いしたようなしなかったような…
みずらがもっちりベーグルに見える。わりに眉は寄っている。

・戒律と舎利信仰
興正菩薩坐像の像内納入品からの舎利関係。
他にも釈迦如来立像、文殊菩薩坐像の像内納入品の舎利塔などなど。
とても小さいがいずれも凝ったもの。
中でも素晴らしいものがあった。

宇治浮嶋十三重石塔納置品のうち 水晶五輪塔13基 放生院  これが小さくてとても綺麗だった。

様々な仏具を見るが、鎌倉仏教のありようのその一端を目の当たりにしたことになる、それに気づいた。
改めてその時代の仏教の存在の重さを考える。

・真言律宗一山の名宝
元興寺、白毫寺などから。

聖徳太子立像(南無佛太子像) 元興寺 二歳の凛々しくも愛らしい太子。

如意輪観音坐像 元興寺 これはまた綺麗な。ゆったりと。そして右から・左から眺めると表情が違った。右は美しさが勝つが、左は物思いにふけっていることに気付かされる。

文殊菩薩坐像 法華寺 右手に剣、左手に蓮などをつまむ。覆肩布に袈裟。凛々しい美人。性質のはっきりしていそうな表情。

普賢菩薩騎象像 岩船寺 合掌。ぱおーなゾウさん。
ああ、久しぶりに岩船寺と浄瑠璃寺のコースに行きたい。
そして6/6から6/11まで浄瑠璃寺の吉祥天立像がここへ来られるそうな。

延命地蔵像 浄瑠璃寺 優しそうなお地蔵さん。朱唇。お地蔵さんの優しそうなところにすがりたくなる。

地蔵菩薩立像 不退寺 民芸調なお顔ですな。

白毫寺から太山王、司命半跏像、司録半跏像がおでまし。剥落しているものの力強さがいいな。コワモテだわ。

多聞天立像 岩船寺 これまた力強い。帯の獣面の歯並びがいいな。

・忍性と東国の真言律宗
こないだの忍性展は行かなかったなあ。ゆく根性がなかった。

釈迦如来坐像 極楽寺 眼が優しくていい。朱唇。なんかほっとする。

文殊菩薩坐像 極楽寺 五髻で可愛い。そう、お顔も美少年。わくわくした。やはりこういう楽しみは必要です。

釈迦如来立像 称名寺 すごいドレープ。丁寧な作り。嵯峨の御釈迦さんとナカーマでしたかな。

十大弟子像もきているが、みんなリアルな造形だった。

イメージ (404)

今度は時間を作って西大寺に拝みにゆこうと思う。
奈良&斑鳩チケットで乗り降り自由なのだし駅からすぐだし。

次はあべのハルカスに巡回。

三井では7/15から9/3「地獄絵ワンダーランド」。
同時期に奈良博では「源信 地獄・極楽への扉」。
東西で地獄めぐりもよさそう。
暑い時期にぴったりかも??
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