美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

京焼を楽しむ 茶道資料館と湯木美術館とで

湯木美術館と茶道資料館とがそれぞれ京焼を主体にした展覧会を開催している。
わたしは肥前のやきものが大好きだが、京焼も好きだ。
それでいそいそと二つの展覧会を見て回った。

こちらは茶道資料館「やきもの巡り 京都・滋賀編」前期
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一言で「京焼」というても実は非常にようさんあるものです。
御室焼、古清水焼、粟田焼、御菩薩焼、楽焼…この辺りはわたしかて知ってます。
どんな感じなのかも、学術的な説明は出来なんでも、雰囲気は話せます。
しやけど、修学院焼、一方堂焼というのは今回初めて認識しましたな。
ほんまに知らへんし、今まで見ていたとしても認識できてなかった。
茶道資料館はじぶんところの所蔵品に個人さんのを集めて、「京焼」の色んなんを見せようとしてくれてはるのでした。

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他圏の人々は滋賀が京都の付けたしと思うこともあるようだが、滋賀は滋賀で全く別な文化を保持している。
滋賀の良さというのは京都のそれとは全く別。隣県でありながらもあえて似ようとはしていないし、独自性を保とうとしている。
これは関西だけのことなのかどうか、大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山はみんな本当に全く似ていない。
大阪だけでも摂河泉に浪花の4州、京都も市内だけでも洛中・洛外と分かれ、周囲に山城・丹後などがある。
そしてなによりもやきものの場合、土の違い、ということを考えないとならないのだ。

やきものはその地名をつけることが多い。
なので〇〇焼というのをみて「ああ、あそこで焼かれたのか」という程度の理解が生まれる。
研究者や陶工ならまた別として、鑑賞者はその程度くらいの知識を持っていればいいと思っている。
使い勝手と見た目選びとの断絶があっても構わない。
ただし、これはあくまでもわたしの考えに過ぎない。

可愛らしいやきものを見て、その窯の名を覚えて、それにまつわる話を知る。
やきもの鑑賞の楽しさはその対象たるやきものを見ながら、いかに妄想に耽るかに尽きるのではないか。
時々そんなことを想う。

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仁清の茶入や香炉がある。
白濁釉に黒釉をかけた茶入、色絵金彩で可愛い花唐草をあしらった香炉、一目でわかる仁清らしさのあるやきものたち。

真葛長造の蛤香合との再会も嬉しい。
これはここでの真葛展で見て以来だと思う。手が凝っていて、銹絵でそれらしく蛤の外見を拵え、中には色絵金彩で源氏絵。
こういうものはやはり京焼でないと会えない。

奈良の赤膚焼の素朴な愛らしさとは違う、手の凝った面白さ。
時々やりすぎだと思うものの、しかし技巧に技巧を重ねた面白さというのも堪えられない。

永樂保全、和全のやきものがあると嬉しくなる。
保全 染付動物文水指 これは山水画+動物画。月下、渡河するウサギたち、鹿も行けば鳥も飛ぶ。そしてゾウの上に乗る猿。
・・・何故ゾウの上?

御菩薩焼 花枝折文七宝透手鉢 薄紅色のグラデーションがいい。小さな七宝透かしが可愛く、見込みには椿の絵。
いいなあ。

乾山ブランドのやきものもいくつか。
色絵蛇籠文香合 変形もので面白い。蛇籠の中には岩コロコロ入るのが見える。川岸には芦も。そして縁周りには業平菱。

銹絵染付白彩菊桐文角向付 これはたたらの形打ちによるもの。どういうものかを知ろうとすると、いいサイトがあった。
こちら

乾山得意のセットものもある。
銹絵染付草花文絵替土器皿 またもう可愛らしい。梅・土筆・柳・蒲公英それぞれが皿の表面に横太線と共に描かれる。
本当にほしいのはこういうものですよ。
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ところで一方堂焼というのは嵯峨の角倉別邸で焼かれたものだそうで、なかなか可愛い絵付のものがあった。
角倉さん、仁清に倣うというのを拵えたりしている。
椿やゆずり葉の文様がいい。

道八の16弁の菊を貼り付けた手あぶりもいい。
道八は先人をよく学び、写しもいいしオリジナルもいいからとても好き。

滋賀のやきものを見る。
滋賀と言えば日本6古窯の一つに信楽焼があるように、ゴツゴツ系が多かろう。
その信楽焼の大きめの茶壺、これは宇治の茶師が幕府献上の新茶を入れるためのもの。
なんでも最初は幕府が壺を寄越してたそうだが、1723年にそんなもんムダということで現地調達になったそう。
いかにも吉宗らしい合理精神でいいな。
ここにある腰白茶壺は宇治の上林記念館蔵。
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滋賀も土の色々あるところ。
膳所焼、湖南焼、河濱焼、比良焼、梅林焼、姥が餅焼、湖東焼・・・
色々あるなあ。

膳所焼 鉄釉茄子形香合 これはもう本物かと見まごうリアルさ。「超絶技巧」展に出したら間違いなく…

石部焼 肥前焼をこっち風にしたもの。なかなか綺麗。

湖東焼はけっこう手が凝っている。
色のいいのが多い。ヒスイ色の青磁、丁寧な絵柄のもの、
仁清写しもある。祥瑞に倣ったものもいい。
とてもいいものが集まっている。
遊び心のある絵柄も多い。

染付鯉桜花図手桶形鉢 外回りには満開の桜がひらひら…内側には鯉が悠々と泳ぐ。

井伊直弼ゆかりらしき大香炉もある。なんでも茶の湯の心を漢字3文字.10個で表したのを刻んでいる。
「薬不足」「離人我」「入仙境」…
わかるようでわからん。幕末まで茶の湯は男性だけの楽しみだった、そのことを思う。

可愛い尾垂の釜もある。いいなあ。

ところで姥が餅焼というものの由来を知り、納得。
姥が餅と言えば今も草津辺りにあるあんころ餅だが、それを乗せるお皿を茶店主人があちこちに発注したそうな。
つまり土地が由来・窯が由来というのでなく、姥が餅という店舗が自分所の名物をのせるために発注したものを総じて「姥が餅焼」というのだ。
だから唐津写し、黄釉布目菊押印文、などなど様々なものがある一方でサイズはほぼ同一なのだ。
なるほどなあ。

ふと思い出したが、隅田川のほとりの言問団子。あれはどこの皿なんだろう。近所の今戸焼なのか。

他にも大正の裏千家13代目さんの描いた瀧画賛がよかった。
大きく「瀧」と上部に書き、下部に「柳陰厳石」とある。字だけで充分「瀧」だった。

前期は6/25まで。後期は7/5から9/10。
お茶もいただいたが、お菓子は6月らしく「水無月」だった。

次はこちら。
湯木美術館「一目でわかる京焼300年の歴史 江戸時代のやきもの 仁清・乾山窯と後期京焼の食器を中心に」



湯木美術館は、展示室に入る前の通路の壁に、パネル展示がある。
それは展示される食器類を使って「吉兆」のお料理の盛りつけをした、その写真なのだ。
湯木貞一さんの拵えたものかそうでないのかはわたしにはわからない。
しかしやたらと美味しそうなのは確かである。
ノンコウの緑釉割山椒鉢にお造り、乾山の茶碗に炊き合わせ、呉須赤絵鉢に蟹・オクラ・きくらげに生姜酢。
その残影を脳裏に残し、胃はカラで展示室へ。

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御室焼 仁清窯 色絵武蔵野文茶碗  これは記憶にない茶碗。白濁釉のかかり方が武蔵野に広まる霧のよう。
夜景ではない。

本阿弥光甫(空中斎) 信楽写芋頭水指  「空中信楽」と呼ばれるもののひとつ。小石交じりの土。醤油染み過ぎた感じ。

乾山のいいものがいろいろ出ていた。
銹絵染付春草文蓋茶碗 (10客のうち) 黄土に白化粧。少しずつ位置を変えてそれぞれの皿にスミレや土筆や蕨…可愛いなあ。

銹絵染付絵替筒向付(10客のうち) 
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みんな可愛いなあ。
この画像は随分昔に挙げたものを転用。今回は鶴、帆船、薄、春蘭など。

茶道具と器に見る四季の花展でこのあたりの作品を見ている。2008年の展示。

色絵水仙鉢 08093007.jpg
やっぱり可愛い。

先人に学び、倣い、やがてそこを突き抜けたのが道八。
色絵桜透かし鉢 仁阿弥道八  この土坡の緑がまたよろしい。
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女郎花文蓋茶碗 松村景文画・仁阿弥道八 これも久しぶり。景文はいやみのないよい絵が多くて、やきものの絵付けも品がよくとてもなごむ。
問題提起の絵より、和んだり楽しんだりときめく絵の方が好きなのよ、なんにせよ…

乾山の銹絵雪竹文向付と、それに倣った道八の手鉢がある。前者は雪は降りやんだが、後者はいまだやまず。
そんな違いを見出すのは楽しい。

古清水梅花文銚子  片身替りの可愛い銚子。
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青木木米の小さくて可愛い盃が二つ。いずれも4cmも以下のもの。
青磁蓮華文桝形盃、赤絵写菊文桝形盃。
舌に載せる程度のお酒にはこれがいい。

掛け軸も何点かある。
八幡太郎源義家像 応挙 日の丸扇を開き、床几に坐す。

夜這星 抱一 「もれ出る 籠のほたるや 夜這星」の句と共に、当時の日本での星の表現である「〇」が描かれている。
この夜這星は流星だったかな。
歌舞伎舞踊にもある。亡くなった三津五郎がまだ八十助の頃、当時の中座で嬉々とした表情で演ずるのを思い出す。

烏丸光広の三保の松原を詠んだ短冊、其角の庵で小さいジイサンが傍らに瓢箪徳利置いているのなどもいい。

蕪村 「古寺や 焙烙捨てる 芹の中」 サインは夜半翁。

そして永樂保全の個性的なものがいくつか。
染付雲堂手写茶碗、交趾写串団子文茶巾筒、祥瑞写丸文飯杓子、古備前すり鉢写・、安南蜻蛉文写茶碗…
絵柄の良いもの。形のいびつなもの、なんとなく記憶に残る。そしてそれは楽しい記憶なのだ。

宮川長造(真葛) 色絵藪柑子文茶碗 白地に金で縁取の線。赤いプチプチが藪柑子

刷毛目千鳥透鉢 七羽の千鳥が透かし文様になる。いいなあ、こういうの。

仁清の水玉透かし、ノンコウの割山椒向付、どちらも現在でも気軽に使えそうなよさがある。

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湯木美術館、茶道資料館、どちらもいい展覧会だった。
京焼の味わい深いものを堪能して嬉しい。
湯木は7/30まで。

丁度いい感じのチラシが手元に集まったので紹介する。
・珠玉の香合・香炉展 静嘉堂文庫6/17―8/13
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・食のうつわ サンリツ服部美術館 6/10-9/18
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来年早々には出光美術館でも「色絵 Japan CUTE !」展が開催される。
そちらも楽しみ。

ところでこれは4年ほど前の愛知県陶磁資料館の企画展のチラシ。
あまりにいいので置いていた。
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やっぱりやきものはいいなあ。
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