美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

時を映す女性像

岩屋のBBプラザ美術館で日本の洋画家による女性を描いた絵をみた。
日本画と違い洋画で「美人画」と言えるものは案外少ない。
なので今回のコレクション展も日本画における「美人画」と言えるものはあまりない。
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ルノワール 薔薇をつけた少女 バックには薄い群青を拡げ、少女はオレンジ系の暖色で統一している。肌の匂いまでしてきそうな絵。

ローランサンがバレエ・リュスのために描いた「牝鹿」のシリーズが出ていた。いずれもとても愛らしい。
この「牝鹿」はストーリーのないバレエで、「綺麗でおしゃれなバレエ」だったそう。
繊細な線描の可愛らしさが目に残る。とても愛らしい。

ここからは日本の洋画家
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藤島武二 裸婦 まだ少女なのか貧弱なからだつきで、膚の色は土色だから、まるで牛蒡のようにもみえる。
武二のモデルと言えば例の「お葉」こと佐々木カネヨやイタリア美人が思い浮かぶが、こうした明治の普通の女性はモデル慣れしていない人の方が多かった。

梅原龍三郎 中国服の女 1975 150部限定リトグラフの1.クレパスで彩色したのだろうか、いい色合い。
青地がきれい。顔つきにもメリハリがある。

安井曾太郎 黒き髪の女 1924 まだ安井スタイルが完成する以前の黒っぽい背景の中にいる裸婦。
こうして見れば後年の安井らしさもあるわけだが、日本に帰ってきて色々と模索している時期だった、というのもわかる気がする。
彼の描いたこの時期以前の裸婦で好きなものがあるが、それはどこか耽美的だった。
まだ未完成の安井作品というのも魅力がある。当人の苦難をあえて見ずにいう。

鈴木誠 婦人像 水彩 赤い帽子のモガ。グレーに朱線の素敵な服がいい。

東郷青児 モンパルナスの女 これはもう東郷青児スタイルの成立後の絵で、サーモンピンクのネッカチーフを巻いてグレーの服を着た女がどこかを見ているのだが、安定した良さがある。

木下義謙、内田巌、中西利雄らの女性たちがいる。
内田は小磯記念館で見たが、藤田嗣治をレオナルド・フジタにした原因の一人だわな。

今回、初めてある画家を<認識>した。
以前に見ていたのに今回はっきりと覚えた。
網谷義郎
去年の「神戸で奏でる色と形のドラマ」展でも出ていたようだが、思い出せない。
しかし今日は違う。
まず裸婦が出た。
顔ははっきりしないが、体の線はよくわかる。わりと肉付きがいい。
他の裸婦の絵も顔は曖昧である。しかしどこか可愛い。

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白衣の女 1971 赤い背景に白衣の女がいる。顔は曖昧。だが、輪郭線などが可愛い。
立原あゆみ描く女のキュートさを髣髴とさせる。

こちらの女も可愛い。
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手を組んで立つ青い上衣の女 1973 やはり顔は曖昧だが、それでも目鼻はある。
安彦さんのフラウ・ボウがモデルになったような感じもある。

他の絵でも顔は曖昧だが、それでも愛らしさが目立つ。
網谷は個性を持った女を描かず、あえて少女を描いていたそうだ。
どこか遠くを見るような、何を考えているかもわからない少女たち。
同時代のマンガに出てきそうな雰囲気がある。

このヒトの絵を今後は探したいと思った。1982年に没しているが、今生きていたら、と夢想する。

中山忠彦 紅衣小憩 綺麗なカーテンがある。雨蛙色。そして濃い紅色のドレスを身に着けた優雅な婦人。
レース、パール、といった小道具も上品。

横尾、池田満寿夫らの絵があるのもいい。
それに森村泰昌のマリリン・モンローになった姿もある。1995 ちょっと目元が違いすぎるが。

石井一男「女神」三点が並んでいる。一見ルオー風でもある。
2005 赤黒い顔、眼を閉じている。少女マリアとでもいえそうな。
2009 ゆっくりと眼を開ける。
2011 黒い顔がはっきりと眼を開けてこちらをみつめる。
…なんだか凄いような「三部作」だった。この絵も前掲の展覧会で見たが、今回の方が記憶に残る。
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特集展示として「松本宏―エロスの世界」をみる。
チラシの赤いカトレアである。花だと思えば女である絵。
ちょっとドキドキしながら狭い空間に入って行った。

寝そべる女の絵が多いのだが、どうもこちらに官能性が低いのか反応しにくい。
なんだろう、わたしではわからないなあ。 
違う絵を見て反応するのに、これはどうしたことか。
結局わからないままになった。

他にも多くの画家の作品があり、日本洋画の良さを堪能できる。
こうした展覧会はとても貴重だと思うのだ。
6/18まで。
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