美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ランス美術館展は続く…関西には来ないが。

「うっかりしていて」とか「例によって」で始まるのは、必ず会期終盤又は会期終了の展覧会の感想を挙げるときの常套句である。(個人の感想です)
そう、この回もそう。
またまたやらかしたわけです、気づいたら終わってしもてた。
「ランス美術館」展ですがな。

この展覧会は全国巡回なんだが、珍しく関西鳥羽市(そんな場所ないわい)ならぬ関西飛ばしされて、わたくしはですね、損保ジャ…美術館(エエ加減に愛称決めてほしい)に見に行ったわけです。
損保ジャ…のチラシ表はこちら。
イメージ (569)

フジタの黒い聖母。黒人の美人聖母で、周りの生首だけの位の高い天使たちもみんな黒人。
実際に展示を見たら解説に『黒いオルフェ』の主演女優をモデルに描いたというようなことが書いてあり、納得。
わたしはあの映画はきちんとは見てないが、音楽は好き。
そうそう、谷崎『瘋癲老人日記』で颯子が『黒いオルフェ』の主演男優ブレノ・メロがカッコイイと言うくだりがある。
「ソウカシラ。マサカ興奮モシナイケド、ブレノ・メロハチョット良カッタワ」
「何ダネ、ソレハ」
「『黒イオルフェ』ノ黒人ノ主役ヨ。ギリシャ神話ノオルフェノ伝説ヲモトニシテ、リオ・デ・ジャネイロノカーニヴァルノ時ノ黒人ヲ主役ニシテ作ッタ映畫ナノ。ミンナ黒人ノ俳優バカリ使ッテアルノ」
「ソレガソンナニイヽノカネ」
「ブレノ・メロッテノハサッカーノ選手上リデ、素人ナンデスッテ。映畫デハ都電ノ運転手ニナッテルノ。運転シナガラトキ/″\往来ノ女ノ子ヲ見テウインクスルノ。ソノウインクガ凄クイカスノヨ」

・・・谷崎の作品が青空文庫に入ってくれて、こういう時に助かりますなあ。
今から思えばちょっとばかり桐谷健太にも似てるような気もする。彼もなかなかだしね。

ところでわたしが最初に手に入れたのはこちらの静岡市美術館のチラシ。
見開きですよ。
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これでまず「行けるところで行こう」と思ったもんです。
長いマクラの後にはちょっとだけ感想。

1.国王たちの時代
ネーデルランドやイタリアなどの絵画から始まる。
マールテン・ブーレマ・デ・ストンメ (1611~1664) レモンのある静物 ワイン、チーズ、食器などを描いた」絵画を軽食画というそうな。今まで知らなかった。こういう中途半端にむかれた果物とかそういうのがある図は、一種のメメント・モリ的なものかとばかり。
コップの首のところがなかなか綺麗な装飾が入ってた。ゴブレット。螺鈿の柄のナイフもあるし。

テオドール・ロンブー(と思われる) (1597~1639) コンサート  いわゆる「カラヴァジェスキ」の一人。影響は確かにあるようで、ギター、マンドリン、歌の三人共に表現がそれぽくある。

ヤーコプ・ヨルダーンス(と思われる)(1593~1678) サテュロス  フルーツの持った籠を持ってニンマリ。なんとなく見たような気がしたのは、ルーベンスの絵の一部を模写したからだそう。なるほど。

ジャック・マルモッテ  (?~c.1770) レダ  背後に二人のクピドがいて、ことの成就を確認しようとしているみたい。指差しているのも色々と思わせぶり。レダ当人はやってきた白鳥に「あらー?なに、この白鳥」だが、白鳥の眼はやらしい。一応挨拶をしている。

作者不明(フランス) ルイ13世  ああ、このヒトは「三銃士」のあの王様ね…目がうすぼんやり。血統はいいんだがなあ。

リエ=ルイ・ぺラン=サルブルー(1753~1817) ソフィー夫人(またの名を小さな王妃)の肖像  綺麗な綺麗な水色のドレス。
ロココな椅子もいい。

イメージ (566)
こちらは福井県美のチラシ。

2.近代の幕開けを告げる革命の中から

ジャック=ルイ・ダヴィッド(および工房)  (1748~1825)マラーの死  
イメージ (442)
これが来るとは思わなかったので大いに喜びましたよ。しっかり殺されてました。
ちなみにこの絵をチラシ表に使ったのは名古屋市美の他は福井県美。

テオドール・ジェリコー(と思われる) (1791~1824)佐官に命令をするナポレオン
イメージ (565)
革命後の絵がやはり多い。

テオドール・シャセリオー (1819~1856)バンクォーの亡霊  嬉しいね、シャセリオーの絵も来ているのは。
こないだの回顧展を見て好きになったなあ、以前よりずっと。

ウジェーヌ・ドラクロワ (1798~1863) ポロニウスの亡骸を前にするハムレット
イメージ (570)
やっちまいましたよ…一番奥で嘆く女はオフィーリアだな…

エドゥアール・デュビュッフ (1820~1883)ルイ・ポメリー夫人  青いドレスの機嫌のよさそうな女性。彼女は社交上手でそれで旦那を出世させたそうな。福々しく、そして元気そうで、いい感じ。

ナルシス=ヴィルジール・ディアズ・ド・ラ・ペーニャやブータンの森の絵も出ていた。
静かで、事件などは起こりそうにない感じ。

3.モデルニテをめぐって

エドゥアール・ヴュイヤール (1820~1883) 試着  赤い背景の中で薄黄色の下着のようなのを着ている女とその傍らの黄土色の服の女と。こういうのを見ると、時代がどんどん流れ移り変わって行ってるのだと感じる。

ポール・ゴーギャン(1848~1903)バラと彫像
イメージ (568)
この彫像もゴーギャンが拵えたそうな。ガラス瓶と花の色がとてもいい。

モーリス・ドニ (1870~1943)魅せられた人々  色彩だけ見てたら児島善三郎のナカーマ。明るい青色の空と海、暖色系の肌の人々。イタリアの陽光に魅せられた人々。
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カミーユ・ピサロ (1830~1903) オペラ座通り、テアトル・フランセ広場
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人々の行き交う様子を鳥瞰する画家。消失点にオペラ座がある。
いい眺めだ。行きたくなってきた。

4.フジタ、ランスの特別コレクション
ここでは本当にフジタの作品が多い。
フジタがいかにこの町で大事にされていたかがよくわかる。

ヴァイオリンを持つこども 1923  少年のような少女のような、可愛い少年。好きな絵。


イメージ (571)
楽しそうじゃないところがまたとにかくいい。

授乳する聖母
イメージ (567)
周囲のどうぶつたちの表情やや仕草が面白くて・・・

小さい聖堂のために身を粉にして働くフジタ…
フランスでは糾弾する人もなく、フジタは思った通りのを絵を描く。
パネルでその様子を見ていていろいろ感心する。

ああ、いい展覧会でした。
・・・それにしてもフジタの晩年のお姉さんはシャープでかっこいい。

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