美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

浅井忠の京都遺産 京都工芸繊維大美術工芸コレクション

泉屋博古館で「浅井忠の京都遺産 京都工芸繊維大美術工芸コレクション」展が開催されている。
字面だけ見たときは「これなら機会を待って繊維大で見ても別に…」という気にもなるのだが、このチラシ見たらやっぱり行ってしまうよ、わたしは。
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背景にはなにやら青い夜の林、大きな金色の葉っぱ、中央にはにこにこ笑う大原女、そして最下段には右から浅井忠、東京にも行った人気のお皿、七福神の廻り燈籠みたいなの、綺麗なアールデコ風な壺、そして白地に背中がヒョウ柄の猫像。
やっぱり釣られるよ、こういうチラシには。

というわけで東天王町でバスを降りて鹿ケ谷へ。
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1.はじまりはパリ、万国博覧会と浅井忠
幻燈写真が出ていた。
万博と同時代のパリの様子を写したもの。
エッフェル塔もある。

ミュシャ「椿姫」、舞姫ロイ・フラーなどその時代を代表する人々を紹介するポスターが。
アールヌーヴォーとジャポニスムのいい具合の作品が並ぶ並ぶ。

ジャポニスムの影響を濃く見せるやきものが一堂に会するのをみるのは壮観。
小さくて愛らしいものばかり。

それに対抗するのがハンガリーのジョルナイ工房が生み出したエオシン釉。
1995年の京近美「ドナウの夢と追憶」展で初めて知ったエオシン釉の魅力。
今回も不思議な耀きを見せてくれる。

そして同時代のロックウッド製陶所の釉下彩、エミール・ミュラー社の艶消しマット釉などなど魅力的なものが続く。
ロイヤルコペンハーゲンの水鳥を描いた花瓶もよかった。トリの表情まできちんと捉えている。

猫もいる。イメージ (393)

ティファニーがとても綺麗な頃の作品を見せてくれる。
世紀末から新世紀にかけての頃の作品は、玉虫色に+αの色彩のガラス製品が多かった。
それから少し時間が経つと、全く違う顔を見せるようになる。
どちらも一度に見ることができ、嬉しい。

2.浅井忠と京都洋画の流れ
フランス時代の浅井忠の絵のあとに、京都に腰を落ち着けてからの日本の情景・歴史を洋画で表現した作品をみる。
霜鳥、都鳥、澤部、鹿子木ら京都の第一世代の洋画家たちの絵が並ぶ。
今から思うと不思議な絵も多いが、みんな熱心に描いたのだ。


…鬼が島 右幅には宝を差出し、額を地につけて謝る鬼たち。
しかしこの桃太郎…怖いよなあ。なにかラリッ…げふんげふん。
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3.図案家・浅井忠と京都工芸の流れ
この章がいちばんおもしろかった。
色んな図案を提案して、それを工芸作家たちが3D化してゆく。
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ブヒブヒの猪たち。原画もすっかりブヒブヒ。

菊文様皿は清水六兵衛とのコラボ。
エジプト壁画をモチーフにした図案は湯呑になり、動物たちの下絵もたくさんある。
七福神は菓子器だった。

朝顔蒔絵手箱 ああ、チラシ表の金の葉っぱはこれか。
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螺鈿の朝顔が綺麗。

そして青い夜の林は梅図花生。
浅井忠の原画に沿って、多くの工芸家が新しい作品を生み出していった。

新しい意識を手に入れ、職人であり芸術家であることを作品が示すようになった人もいる。
5代清水六兵衛 草花絵替り蓋付向付  乾山のそれとは違うが、一碗ずつ図を変えたのはよかった。
とても可愛い。

浅井忠だけでなく武田五一も図案家として良い作品が多い。
百合花文様花瓶 アールヌーヴォーの影響が強いが、それがまたいい。

板谷波山の大壺も出て、とても綺麗なものをみたと思った。
そして三浦竹泉の葱翠磁、ミント色の爽やかな釉薬の花瓶も好ましい。

いいものを見て喜んでいたが、次は京都工芸繊維大へ行かねばならない。
そのとき受付さんで204系統で高木町で下車し、道なりに歩いてと教えてくれた。
わたしは違うルートを考えていたが、素直にそれに乗った。
そしててくてくと歩き、ようやく美術館の裏手に出た。
ここではこれ。
「住友春翠の文化遺産 第五回内国勧業博覧会と近代陶芸作家たち」
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清風与平、伊東陶山、錦光山宗兵衛、宮川香山らの作品が…
ああ、何か見たことがあるなと思ったら、そう、これまでにも六本木の分館で見たものが並んでいるのだ。
「板谷波山をめぐる近代陶磁」、それから「近代の京焼と京都ゆかりの絵画 」
懐かしくて嬉しい数々。

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この犬張子などは特に好き。

いいものを見てご機嫌さんになりましたな。
やきものもいいが、博覧会の鳥瞰図、浪速名所図会などなど…も忘れ難い。

なお、このコースで行けば、泉屋の半券を見せると繊維大は無料になります。

工芸繊維大は他に東欧の映画ポスター展をしている。
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この映画がなんでこうなるの?!というようなのもあれば、政治的プロパガンダのつよいものもある。
ポーランド、チェコ、ハンガリー…
非常に強い制約の下で作成されたポスターの中には、本国遥かに及ばす、というものも出来た。
先般、東ドイツの映画ポスターをフィルムセンターで見たが、あれと似ている。

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三か国の違いというものが正直あんまりわからないのだが、それでも本国や日本で作られたポスターとの違いの大きさはわかる。
全く違う内容を想像させるポスター…
なんだか凄いものを見た。

それぞれの展示期間は異なるが、7/8までならこの3つの展覧会を一日で楽しめる。
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