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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

天理図書館 古典の至宝 中期

天理図書館所蔵の貴重書展示の中期をみた。
前回同様バスのお世話になる。助かりますわ。

前期の感想はこちら

・古典籍
播磨国風土記 三条西家本 平安末期写  ここにある本が「唯一の祖本」だという。
中学の頃に現代語訳されたものをいくつか読んだ筈だがあまり思い出せない。
改めてこの風土記という存在がその地の地誌であるだけでなく伝承、地名由来について、人々の暮らしぶりなどを知ることができるものだということを思う。
解説に「上申書」とあって、そういうことを考えていなかったことにも気づく。
「白犬」が出たとかそんな記述が少しばかり読めた。
白犬は上古の頃からなにかしら予祝を示す存在のような気がする。

古語拾遺 嘉禄元年(1225) 卜部兼直 元は807年に平城帝に命じられ斎部広成が記したもの。現存最古の本。カナのルビが入る。

明月記 今期は嘉禄3年(1227)8、9月の項。66歳。当時の定家は「小右記」が好きで著者・藤原実資と対面する夢まで見ている。
きよげなる人が長押(ナゲシ)に座り、とある。
・・・貴人とか神人が家屋に出現すると何故か長押に座すということがある。
これは一体何なんだろう。いつも不思議で仕方ない。
だってどう考えてもあの位置に座るのは無理でしょう…

類聚名義抄 観智院本 鎌倉末期写  今回は「力」の使われた字を集めている。勅・肋・加などなど。

世俗諺文 観智院本 鎌倉初期写  諺の出典禄。藤原頼通のために作られたそう。とはいえどんな諺なのか見ていてもよくわからない。

池田本 源氏物語 鎌倉末期写  今期は「須磨」「明石」あたり。
正方形に近い本で、読み継がれてきたのだろうなあ。

・奈良絵本
八幡大菩薩御縁起 貞享四年(1531)写  神功皇后の子・応神天皇の出生譚。素朴な筆致で描かれている。竹の笹の所に赤ん坊が座り光を放つ。

じやうるり 室町末期  素朴な絵だが金を大胆に使ったり。浄瑠璃姫と御曹司の恋の始まり。室内で琴を弾く姫と外で笛を吹く御曹司。合奏から恋が始まる。

花鳥風月物語 室町末期写  伝・飛鳥井雅俊、土佐光信  巫女の姉妹のサークリットがキラキラきれい。

小伏見物語 慶長頃写  中将と小伏見とその子が仲良く暮らすのを中将の父が無理やり引き裂き、中将は別な姫に婿入りさせられる。小伏見は死んでしまい、その知らせを聞いた中将も世を捨てる。
出ているシーンは中将が琵琶や笛を演奏する様子。

ひだか川 江戸初期写  「賢学草紙」の方。パネルで発端、清水の出会い、逃亡、大蛇に変身までが出てい。
本物は次の2シーン。
龍のような大蛇が鐘に巻きつく、割砕けた鐘から賢学を取り出し全身を爪で掴みあげて共に日高川へ。
男の恐怖に満ちた顔が素朴な筆致の分、迫力がある。

宝月童子 江戸初期写  今回はこれが見たくて来たのだ。絵は相当うまい。狩野派ぽい感じもあるような。
満月長者はようやく生まれたわが子・宝月童子の病弱なのを治そうと旅をする。北天竺へ来たとき、その財宝を狙う大王に騙されて草を食べさせられ、馬になり、そのまま繋がれる。
童子は父を求めて旅に出て大王を倒し、父を人に戻す。
描かれているのは大王の邸宅から裏庭の辺りで馬に変身してしまった長者の姿。まだ二足歩行の姿だが、既に衣服の下は全身が馬になっている。蹄も見える。
ヒトが馬になる話、と言うのは案外多い。
中国には「三娘子」の話があるし、これを翻案した旅人馬は日本でも流布している。
鏡花も「高野聖」でそのような話を描いている。
「西遊記」では白龍の変身が馬だったか。
これはあれか「意馬心猿」という言葉からのものだろうか…
エリアーデは馬と宇宙を同一視していたが、馬と言う存在は…

常盤の尼 寛文頃写  リアルで面白すぎた。晩年を迎え極楽往生を願う常盤の尼だが、まだまだ現世に欲望いっぱいである。
柿、栗、うどん、まんじゅう、羊羹、ひやむぎ、松茸…食べたいものが延々と繰り出される。更には子らへの不平不満も。
こういうナマナマシサは面白い。

虫妹背物語 享保2年(1717)写  去年も見たが顔をきちんと虫にして描き分けているのがいい。蝉の若さまと玉虫姫の祝言、胡蝶の舞、邪魔な蜂介が台所にやってきたり…

・連歌俳諧
「神の梅」発句画賛 西鶴自画賛  鳥居と梅が描かれている。天満の天神さんで。楽しいのが伝わる。
1678年には300句をみんなでという大イベントも開いている。

「鉢たたき」発句画賛 芭蕉賛 一蝶絵  瓢を叩く鉢たたきが月下で見返り。
句は「長嘯の墓もめぐるか鉢たたき」これは秀吉の甥の歌人の木下長嘯子のことと思う。
調べるとこんな句があるそうな。
「鉢叩き暁方の一声は冬の夜さへも鳴く郭公」
先人へのオマージュと言うか先例があるからこその「世界」ですな。

「みのむしの」発句画賛 芭蕉賛 一蝶絵  太い一本の木とぶら下がるミノムシと。付立の幹の大きさ。うまいな。

「朝顔に」発句画賛 芭蕉賛 一蝶絵  「われはめし食ふおとこかな」か。「つるべとられて」ではないわけだ。
竹の花入れに朝顔一輪。

11/6まで。
これを見た翌日に池田で蕪村展をみたが、いいタイミングだった。

こちらは既に終了した龍谷大学の展覧会。タイミングを逃したが、いいものをたくさん見た。
イメージ (435)
いい図録もいただいたし。

仏教系の読み物、奈良絵本、草紙、ちりめん本、三国志、紅楼夢、金瓶梅、ウイグル語のイソップと言うなんだか凄いものもあった。
ブロンテ姉妹の「嵐が丘」「ジェーン・エア」が並ぶのも壮観。
わたしは「ジェーン・エア」は大好きだが、原本より偕成社からの少女向けに書き改めた三人称の方が好きだ。

天理大学も龍谷大学も素晴らしい蔵書をこうして見せてくれたのはありがたい。
いつか「読む」ことが出来たらなお嬉しいなあ…



  
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