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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

長沢芦雪 京のエンターテイナー 展 その1

愛知県美術館で長沢芦雪展を見た。
副題は「京のエンターテイナー」である。
京はむろん「みやこ」と読む。
イメージ (438)

これまで見てきた立派な蘆雪または芦雪展のなかでもこの展覧会は無量寺の襖絵の再現が為されているのがとても良かった。
去年の和歌山県博の「蘆雪溌剌」展では草堂寺のが再現されていた。
こういう見せ方は臨場感があるからいい。

これまで見てきた蘆雪展の感想を挙げる。
十年ほど前の奈良県美「応挙と蘆雪」
感想その1

その.2

MIHOさんの「長沢芦雪 奇は新なり」  感想

去年の和歌山県博「蘆雪溌溂」 感想

そして今年のこの展覧会。
皆とてもよかった。その感想をこうしてこの場で挙げることが出来るのも嬉しい。
尚11/5まで展示の作品を見に行くことが目的だったので、既に展示が終わったものも含めての感想になる。

第1章 氷中の魚:応挙門下に龍の片鱗を現す

長沢芦鳳 長沢芦雪像 一幅 絹本着色・描表装 天保年間(1830-44)頃 千葉市美術館  道服を着た芦雪先生。二等辺三角形の眉に黒い切れ長の眼のオジサンである。
ここへ来る前に逸翁美術館で蕪村展を見たが、そこで蕪村は敬愛する芭蕉の肖像に道服を着せていた。それは蕪村によるリスペクトの表れだった。
つまりこの絵を描いた弟子は芦雪に道服を着せることで、彼への敬愛とリスペクトを示している。

若い頃の絵が並ぶ。
蛇図 一幅 紙本墨画淡彩 安永年間(1772-81)  ナマナマしい蛇が幹に巻きついている。写生重視からの絵ではなく、どこか物語性を感じるような構図ではある。

関羽図 一幅 紙本墨画淡彩 天明元年(1781)以前  ゆったりした様子だが、まだまだ修行中。

若竹に蛙図 一幅 紙本墨画淡彩 安永後期~天明初期頃か  後姿のカエルというのが面白い。

東山名所図屏風 六曲一隻 紙本銀雲淡彩 安永7年(1778) ごくご近所の様子を描く。円山家で描いたらしい。銀の雲はまだ酸化していないのか・修復されて銀に見えるのかはわからない。上部に清水寺が浮かび、人々の行き交う賑やかな四条通が開く。
左下には八坂神社。あまり広い距離を描いたわけではない。

師匠の作品と対比する。
円山応挙 牡丹孔雀図 一幅 絹本着色 安永3年(1774) 嵯峨嵐山日本美術研究所
牡丹孔雀図 一幅 絹本着色 天明前期(1781-85)頃 下御霊神社
こちらはよく似ていると思う。構図ではなく絵そのものが。

円山応挙 楚蓮香図 一幅 絹本着色 寛政6年(1794)
楚蓮香図 一幅 絹本着色 天明6年(1786)以前
この辺りから違いが出てくる。
応挙の美人は←向き・芦雪は→向き。蝶々が勝手に寄ってくるのが応挙、蝶々に指を出すのが芦雪。清楚なのが師匠・妖艶なのが弟子。
比較するのは面白い。

虎図 一幅 紙本着色 「芦雪」署名 オオタファインアーツ  「蘆雪」ではなく。この虎は醤油を塗って香ばしく焼いた表面が割れた、そんな文様だった。噛んだろか、こいつ。

花鳥図 一幅 絹本着色 天明前期(1781-85)頃  全体に色が濃い目。白躑躅に雀の一家5羽が寄る、子供らの尾羽はまだ白っぽい。薔薇にはシジュウカラ、岩にはキンケイ。
解説によるとこの頃からキンケイがいるようになったそうだ。
派手な鳥なので異国風な趣が興味を引いたのだろうか。

躑躅群雀図 一幅 絹本着色 天明年間(1781-89)  赤い躑躅が前面にあり、8羽がうろうろ。ふくよかで愛らしい。スミレも生えている。可愛らしい光景が広がる。
スズメの可愛らしさにヤラレるのですよ。

さていよいよ和歌山へ派遣されての仕事も出てくるが、その同時代の作品が現れる。

牡丹雀図 一幅 絹本着色 天明6年(1786)以前 無量寺・串本応挙芦雪館  岩に牡丹という取り合わせは中国風でもあるが、そこに大小の雀を配すると、たちまち日本になる。

七福神図 一幅 紙本淡彩 天明6年(1786)以前  楽しい図。宝船というより小舟に一同が居合わせて、それぞれ海釣りのいい一日を過ごしている様子。得意そうに釣り糸を垂れ、白い鯛を釣るエビスを始め、みんながみんないい休日を過ごしている、そんな感じがある。タコも海から顔を出す。
sun470.jpg

布袋・雀・犬図 三幅 紙本墨画淡彩 天明6年(1786)以前 無量寺・串本応挙芦雪館  これはまたもうみんな可愛い。布袋は木偶人形をあやつり、犬たちは二匹のハチワレと白。なんかもう可愛すぎるじゃないか。

岩上猿・唐子遊図屏風 六曲一双 紙本墨画淡彩 天明6年(1786)以前  可愛いなあ。そうとしか言いようがないな。
何度見てもやっぱり同じ感想が出てしまいそう・

牛図 一幅 紙本着色 天明6年(1786)以前 または寛政前期 有限会社 鐡齋堂  この牛の眼の愛くるしさ。コッテ牛なのに画面からはみ出そうなのに目が可愛くて、ついつい背景のことを忘れてしまう。

イメージ (439)

第2章 大海を得た魚:南紀で筆を揮う

ここで愛知県美お得意の再現展示がきた。
龍図襖 六面 紙本墨画 天明6年(1786) 無量寺・串本応挙芦雪館
虎図襖 六面 紙本墨画 天明6年(1786) 無量寺・串本応挙芦雪館
薔薇に鶏・猫図襖 八面 紙本着色 天明6年(1786) 無量寺・串本応挙芦雪館
唐子遊図襖 八面 紙本墨画淡彩 天明6年(1786) 無量寺・串本応挙芦雪館
本当に素晴らしい。
猫の行動がまたリアルで。虎はもう本当に可愛さ先行してキュン死しそうになるし。
唐子遊びも9割楽しそうなのだが、左端の襖絵は白くなっていった子供らが笑いながらどこかへ消えてゆく姿なのだった。
それをみると様々な妄想が浮かんでくる。子供らは一体どこへ消えて行ったのだろうか。

楊柳観音図 一幅 紙本墨画 天明6年(1786) 無量寺・串本応挙芦雪館  意外な位の美人。

関羽図 一幅 紙本墨画 天明6年(1786) (宗法)徳泉寺  面白いのはゆったりした関羽の傍らに従う従者の表情。吊りあがった眉に吊りあがった眼。いいなあ、おもろいわ。

一旦ここまで。続く。
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