FC2ブログ

美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

長沢芦雪 京のエンターテイナー その2

昨日の続き。
しょっぱなから可愛いのの紹介。

童子・雀・猫図 三幅 紙本墨画淡彩 天明6年(1786)  雀は三羽(こうなるとついつい「悪魔の手毬唄」を歌いたくなるぞ)、童子の手には可愛い子ネズミ、そしてそれをギラギラした眼で見る猫。凶暴そうなのが可愛い。ややでか耳の斑さん。芭蕉がある。

月竹童子図屏風 二曲一隻 紙本淡彩 天明6-7年(1786-87)  「童子」であっても少年というのでなく寺院などで働くおっちゃん。髭の剃り跡が青黒い。横向きの姿で長渕剛に似ている。満月をみる。

絵替り図屏風 六曲一隻 紙本墨画 天明6年(1786) 禅宗の人々の突飛な行動を描いた一枚絵を貼り付け。例のエビとかアサリ?とかひらって食べてる和尚に、渡し守していて「これぞ」を見つけた途端に入水するのとか(しかも水面から手首だけ出てるのが水木しげる的)、トントでおしり温めてるのとか。なんかもうよくわからんわ。

群猿図屏風 六曲一双 紙本墨画 天明7年(1787) 草堂寺  今回この右の岩場を抽象表現と見立てるのも面白かった。白猿が向うを見ていて、左は毛づくろいするのとか色々。
去年の「溌溂」にも出ていたが、和歌山は本当に芦雪のいい絵が多いな。

寒山拾得図 一幅 紙本墨画 天明7年(1787) 高山寺 めっちゃでっかい顔のアップ。
薄墨で距離感がおかしいくらいの近さ。
これをみて思い出すのがクラウス・キンスキーと画面の関係性。
特異な風貌(わたしには時折たまらなく美貌に見える)が特異な立ち位置から不意に画面に入り込む技術、あれ。
つまり「フィッツカラルド」でいきなり鐘楼に出現するあのシーン。
「この教会は封鎖する」ガンガンガンガンと鐘を鳴らし「オッペラハウッ」と叫ぶあのシーンを知る人には、分かってもらえると思う。

朝顔に蛙図襖 六面 紙本墨画 天明7年(1787) 高山寺  きゅるるるるる・・・と伸びる茎。とうとう京都銀行のコマーシャルのように「長――――――く」伸びて笹に巻きつく。
それを見るともなく見る蛙たち。

第3章 芦雪の気質と奇質
確かにつけたくなるタイトルだ。

師弟の鹿図を見る。
円山応挙 双鹿図屏風 二曲一隻 紙本金地着色 天明3年(1783) 京都国立博物館
双鹿図 一幅 紙本着色金泥 寛政4年(1792)以降 京都国立博物館
鹿ップルを描くが、応挙のはどこか洋風にも見える。
カップルの立ち位置も師弟は違う。弟子の方がやっぱりヒトくさいツラツキで描いている。
オスのドヤ顔がよくわかる。

酔虎図 一幅 紙本墨画淡彩 天明7年(1787)以降 無量寺・串本応挙芦雪館  まあ立派な背中。しかしどう酔っているのかわからない。そもそも虎で酔うといえば大虎=ヨッパライ、酔虎伝という店もあるな、大寅はかまぼこ屋・・・

さてわんこランド。
狗児図 一幅 絹本着色 寛政前期(1789-93)  寝てる奴のツラツキがまた面白い。解説では「オジサンぽい」とあるが、笑ってしまった。きゅっきゅっと両目が吊って寝ている。
起きてる奴はこれまた寝てる奴を観察中の様だし。

円山応挙 狗之子図 一幅 紙本着色 安永年間(1772-81) 一般財団法人高津古文化会館  このわんこたちのキュートさにはいつもいつも胸を締め付けられる。可愛い喃。

薔薇蝶狗子図 一幅 絹本着色 寛政後期(1794-99)頃 愛知県美術館(木村定三コレクション)  もうほんと、可愛い。五匹のわんこがそれぞれ機嫌よくそこにいる。
可愛くてならない。
噛んだろかと思うレベルの可愛らしさ。

一笑図 双幅 紙本墨画淡彩 寛政中期 同志社大学文化情報学部  童子とわんこたちの相性の良さってすごいよな。でも中には「捕まえんといてやぁ」なわんこもいる。
そうそう、このわんこは2015年の松涛美術館「いぬ・犬・イヌ」展にも出ていた。
当時の感想はこちら。

ここの師弟のわんこ絵と虎絵だけの展覧会が見たいわ。
出来ると思うね、絶対。
因みに応挙先生は猫は飼うてたが、犬はお隣のをモデルにしていたそう。
そこらが猫大好き国芳とはまたちょっと違う。
白とハチワレ麿眉のコンビで漫才もやれそう。

瀑布登鯉図 一幅 紙本墨画 天明7年(1787)以降  びっりしたのは小さい鯉が八匹もいたこと。幹部候補生の篩い落とし試験の最中みたい。

母子犬図 一幅 紙本着色 天明年間(1781-89) すみだ北斎美術館   斑の麿眉ママがお乳あげてる。なごやか。しかしコロコロの可愛いのも成犬になるとこうなるのだなあ・・・

降雪狗児図 一幅 紙本着色 天明年間(1781-89)逸翁美術館  好きな絵。これまでこのブログで4回ばかり紹介している。
画像も使い廻し。img559.jpg


イメージ (440)

なめくじ図 一幅 紙本着色 寛政後期(1794-99)頃  一筆書きというのもすごい。やっぱり遊び心がないと出来ないよね。
これで思い出すのが佐藤さとる「コロボックルの昔の話」に出てきたなめくじ。
その背中に乗ったコロボックルが小石に「ふくじゅむげん」福寿無限と書かせる、という話があった。

蛙の相撲図 一幅 紙本墨画 寛政前~中期  重量級のトノサマガエルががっぷり四つ相撲している。行司は小さいアマガエル。みんな緊迫感ある。若冲、暁斎とも違う迫力のカエル。むしろ国芳のガマに似ているかも

「みやこのエンターテイナー」の面目躍如な仕事が二つ。

汝陽看麹車図(じょようかんきくしゃ・ず)一幅 紙本墨画(指頭画) 天明後期(1786-88)  これは杜甫「飲中八仙歌」の一部を絵にしたもの。
わたしが覚えているのは冒頭の「知章騎馬似乘船」だが、それから次々と彼ら飲み仲間の酔っぱらう様子を描いてゆく詩。
いいなあ。どこかにペーソスもある。
お座敷芸としてこの絵はまことによろしい。

牧童吹笛図 一幅 紙本墨画(指頭画) 寛政前~中期 久昌院  指だけでこれだけ描けるからやっぱり画力の高さに改めて感銘をうけるね。
芦雪は牧童図を他にも描いているが、十牛図云々を越えて、純粋にいい感じに見える。

円山応挙 元旦図 一幅 紙本着色  これを最初に見たのは去年の府中市美術館春の恒例・江戸絵画まつり「ファンタスティック 江戸絵画の夢と空想」展の前期で。
当時の感想はこちら
裃姿で初日の出を眺める男の後ろ姿、妙に良かったなあ。

第4章 充実と円熟:寛政前・中期
唐美人図 一幅 紙本着色 寛政前期(1789-93)頃  机に向かう美人は菅道昇という詩人。東博には彼女の書簡も所蔵されている。
色っぽい美人。ふわふわの髪がいい。墨竹図がある。艶めかしい美人はこの人の十八番ですな。同門の源琦の唐美人は清楚だが、こちらは妖艶。

唐子睡眠図 一幅 絹本着色 寛政前~中期 宮内庁三の丸尚蔵館   久しぶりに見た。ぽんぽん冷えないように腹掛けをした子供。リアルな一枚。いとしさがある。

蹲虎図 一幅 紙本墨画淡彩 寛政6年(1794)  これまた面白い虎で、う゛わ゛―っと膨らんでいる。

象背戯童図 一幅 紙本墨画淡彩 寛政前~中期  巧い構成力。ああ、そうなんだと気づかせられるとニヤリとなる。

富士越鶴図 一幅 絹本墨画淡彩 寛政6年(1794) これも構図がいい。円錐を巻くように来る。

蓬莱山図 一幅 絹本着色(薄彩色) 寛政6年(1794) 浜辺の三角になったところを中央に、飛んでくる鶴や動かぬ松を配する。異郷でありながらどこかの名勝地にも見える。
ファンスティック江戸絵画

曾道怡との合作 花鳥蟲獣図巻 一巻 絹本着色 寛政7年(1795) 千葉市美術館   わんこのところは巻かれてしまったが、スズメらがいる。やっぱり可愛い。鸚鵡、文鳥、黄蝶、梅に藤も咲く。

芦雪・呉春 二枚折貼交屏風 二曲一隻 紙本墨画淡彩ほか これは持ってた人のセンスがいい。二人のいい絵をぺたぺた。こういうの楽しいなあ。

第5章 画境の深化:寛政後期
大原女図 一幅 絹本着色 寛政後期(1794-99)頃 静岡県立美術館  これも好きな女。
艶めかしすぎる。img549.jpg

巌上母猿図 一幀 紙本金地着色 寛政後期(1794-99)頃  眼を見開いて座っているだけの母猿。父を含ませてやるべき子供の姿は、ない。
この展覧会で唯一と言っていいくらいのせつない絵。

幽魂の図 一幅 絹本墨画淡彩 寛政後期(1794-99)頃 奈良県立美術館  幽霊になっても怖さ半分色っぽさ半分。これはやっぱり吉川観方のコレクションのかな。
奈良県美には蕭白「狂女」もいるが、こちらには狂気はない。

さてお月様の登場。
芦雪は月光を描くのがとてもいい。
月下雙兎図 一幅 紙本墨画 LING SHENG PTE. LTD(Singapore)  可愛いウサギのカップル。紙の素地をそのまま使った。
師匠のウサギも可愛かったが、弟子のウサギも可愛い。

竹林蝙蝠図 一幅 紙本墨画 寛政前〜中期  満月。
竹に月図 一幅 絹本墨画 寛政年間(1789-99)  長――――い竹と月。
月下水辺藪 一幅 絹本淡彩  いくつもの月が連なる。
朧月図 一幅 絹本墨画 寛政6年(1794)  ああ、こんな色の月ある。
雨中釣燈籠図 一幅 紙本墨画 寛政年間(1789-99)ぼぉぉぉもやぁぁぁ
月夜山水図 一幅 絹本墨画 寛政後期(1794-99)頃 公益財団法人頴川美術館  これも本当にいい絵なんだが、どういうわけか単品で画像を挙げようとすると解析度が悪くなる。
以前の頴川のチラシ

橋杭弘法堂図 一幅 紙本墨画淡彩 寛政後期(1794-99)頃  橋杭岩は今も和歌山の景勝地。
弘法堂か。ここの橋杭岩も弘法と天邪鬼の駆け引きでつくられたという伝説がある。

群牛図 一幅 絹本墨画 寛政後期(1794-99)頃  描くのに技法を変えて仔牛だけモアモアッとさせてるのがいい。
関係ないが荒川弘さんの「百姓貴族」によると、酪農家は牛の出生の時に足首を見るだけで雌雄がわかるそうだ。
この仔牛の性別はわたしにも芦雪にもわからない…

瀧に鶴亀図屏風 六曲一双 紙本墨画淡彩 寛政後期(1794-99)頃  カメラ目線のカメらもいる。

赤壁図屏風 六曲一双 紙本墨画淡彩 寛政後期(1794-99)頃  蘇軾らの赤壁ツアー。エンヤコラと小舟を漕いで赤壁へ到着。怪獣風な狛犬もいればなんかもう意味不なものもいる。
しゅっぱーつ…

久しぶりな三点で締めくくり。
白象黒牛図屏風 六曲一双 紙本墨画 寛政後期(1794-99)頃 エツコ&ジョー・プライスコレクション  おお久しぶり。
山姥図 額一面 絹本着色 寛政9年(1797)頃 嚴島神社  赤い金ちゃんが可愛い。銀より金。
方寸五百羅漢図 一幅 紙本墨画淡彩 寛政10年(1798)  MIHOさんで見て以来か。

ああ、名古屋までがんばって出かけた甲斐がありましたわ。
芦雪、本当にいいなあ。

愛知県美術館はこの後しばらくしてから全面的に工事だそうだ。
そのときにはまたすごいような展覧会があるだろう。
いいタイミングで出かけたなあ…
関連記事
スポンサーサイト
最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア