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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

神戸開港150年・開館25周年記念 ユニマットコレクション フランス近代絵画と珠玉のラリック展 ―やすらぎの美を求めて―

小磯良平記念美術館で12日までこの展覧会が開催されていた。
「神戸開港150年・開館25周年記念 ユニマットコレクション
フランス近代絵画と珠玉のラリック展 ―やすらぎの美を求めて―」
冠と副題付の長い名前の展覧会だが、2009年に閉館した青山ユニマット美術館のコレクションを愉しむよい展覧会だった。

その青山ユニマット美術館終焉の頃に出かけたときの感想を挙げている。
「さよなら青山ユニマット美術館」
あれ以来の再会となる作品もいくつかここにあった。

丁度今は秋恒例の「東灘アートマンス」の時期で、白鶴美術館で用紙にスタンプを押してもらった時点から参加開始となり、割引見学となった。




バルビゾン派からスタートする。

コロー ノートルダム近くの城壁跡 1854  ここでは誰かが風景をスケッチする様子が絵がれている。森の中、城壁と言っても何か建造物があるというより、そこにいるというか、やはり目に残るのは森の風景なのだ。
コローはそれを描く。コローに描かれているのは同じ画家のデュテュウというヒト。

コロー 農家の娘たち 1845-55  向かって左に座す少女と右に大きな錘を持つ若い女がいる。姉妹なのかそうでないのかはわからない。この仕事は二人ですることが多い。
どこか遠くを見る少女と錘を視る若い女。
二人の視線が合うことはない。
なんとなくこの二人の関係性を妄想する。
眠り姫は魔女の呪いで錘を指に刺すと百年の眠りにつかなくてはならない。
魔女は眠り姫をそのように導かねばならない。罠にかけるという形でありながらも魔女は姫を守る存在なのかもしれない。この百年の眠りは姫の破瓜期に相当するからだ。
そのことを少女は想像しているのかもしれない・・・

コロー ジュイコットの想い出 1865-1870  ダンケルクの東の村。大きな十字網を担いで帰る人。ダンケルクが戦場になるのは後の話。

ナルシス・ド・ラ・ペーニャ 森の空き地  遠近感が活きていて、ずーっと向うの赤い帽子または衣装の人が目に残る。
いつかこの画家の展覧会が見たいと常に思っている。
それも出来れば人物が中心の絵を集めたものを。

トロワイヤン 牧羊犬と羊  黒犬が左に位置し、そこから白羊6頭と茶黒いのが1頭。
きりっとした犬。
実はこの直前に白鶴美術館別館で「ペルシアの絨毯」展にいたが、そこでは雌狼に籠絡されて羊をこっそり毎日一頭ずつ差し出しているのがバレた犬が、木に縛られている図柄の絨毯を見た。
えらい違いである。
右端の羊だけこちら向きで、何やら犬の様子をうかがっている。

デュプレ 沼地の牛  ああ、解説にある通り確かにロマン主義風な趣がある。幻想的な印象も強く、意外とロマンティックなよさがあふれている。

テオドール・ルソー フォンテーヌブローの森 1855-1858  灰色の空の下、暗い森が。

ルソー 夕暮れ  森の中、その上に広がる空は一筆一筆色を置いている。それが夕暮れとなっている。

ミレー 洗濯物を干す女 1854-1856  ある一家の様子が描かれている。妻は洗濯物を干し、幼い長男は第四子の幼児を抱っこ。そしてその背景には将棋の駒のような形の先端が三角形の小さな石碑がずらりと。墓のようにも見えがなにかはわからない。

ドービニー 浜辺の牛 1874  ノルマンディーの海岸べりである。そこで牛たちが草を食む食む食む・・・ここの海岸は塩分が濃い。だから牛たちも加工されると、塩分濃度の濃いハムになったりする。
海はやや遠く、小さくヨットが見えている。

アンリ・ジョセフ・アルビニー 川のほとり 1904  紅葉する2本の大木。その下に母子。木々の向こうに夕焼けが広がりつつある。美しい光景。

イポリット・カミーユ・デルピー ヨンヌ近くの岸辺  空を一筆一筆ずつ塗る。重くはない筆致。一定方向に筆をおく。それが空気になる。浮かんで消える雲も同じくその筆で生まれる。
とても魅力的な空だった。

サミュエル・ラヴィエイユ 花咲く木のある風景 1873  空色に映えるピンクの木花。牛もいる。こうした配色を見るとゴッホの絵を思い出す。そしてこの細い木が真ん中にあるのを見ると真山青果「荒川の佐吉」が江戸を出て旅の人になる最後の場を想う。

レオン・ジュベール 城壁都市の眺め  夕暮れの始まり頃。まだ日が差し込んでいる。対岸の白い町が光る。
中欧なのだが、白い町と書いて、頭の中で西脇順三郎の詩が蘇る。

・アカデミスムから印象派へ
セバスティアン・ブルドン スザンヌと長老たち  爺どもめがスザンヌに・・・一人はまたあくどいことにマントを広げてこの情景を覆おうとする。すぐそばに通りかかる女たちにも見えない。そして傍らの噴水が面白い。
クピドかまたはいたずら小僧が白鳥にまたがり、その首を持ち上げると、白鳥は長い首を伸ばして口から水を吐きだし続ける、なにやらとんでもない像である。

ブーシェ 勝利のクピド  2人のちびがいる。これは天井画のためのものなので顔の向きが真向ではない。

ダヴィッド ベリサリウスと子供 1780年頃  歴史画の大家ダヴィッドによる絵。元将軍のベリサリウスは王に憎まれ両目をつぶされ、物乞いにまでおちぶれる。しかしこの老盲人は決して卑しさを見せぬまま、幼い息子と共に物乞いをしている。
思えば王はそうやって苦しめたつもりだが、「あの」将軍の零落というものは外からはどう見えていたことか。
傍らのわが子はなかなかの美少年だった。

ドラクロワ フォンテーヌブローのクリスティーヌ 1844年頃  デュマの芝居かららしい。寝室で公爵に暗殺指令を出す女がドラマティックに描かれている。
ちょっと調べると1828年の韻文ドラマだとある。ただしwikiには1830年とあり、わたしそこまでは調べきれなかった。
「ナントの勅令破棄」の件というような説明も見たが、どうかは知らない。
「ナントの勅令破棄」というとクロソフスキーの小説があった・・・
ああ、勉強しなくては。

コロー 愛の秘密 1855-1856  緑の中でママ・ヴィナースにくっつくクピド。

ナルシス・ド・ラ・ペーニャ クピドから矢を取り上げるヴィーナス 1855  所構わず恋の矢で人を射ったらあきません、と叱る。

ミレー 犬を抱いた少女 1844-45  久しぶりの再会。
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小さくても女の子はおしゃまだ・・・

ミレー 眠れるニンフとサテュロス 1846-47  森の中こちらに背を向ける女。サテュロスがどこにいるのかはわからない。

クールベ 雪の断崖 1870  四角い断崖がいくつも連なっている。その間に海が見える。
エトルタらしい。そうなのか・・・

ここから裸婦が続く。
みんなとても綺麗である。

ジャン・ジャック・エンネル 横たわる裸婦  緑の布の上に横たわる裸婦。森の中、こちらを見ている。画家を通り抜けて観客を見ている。

エンネル マグダラのマリア  森の中。岩を背に凭れる半裸のマリア。エメラルド色の布を下半身に巻きつけて身を起こしている。その傍らには香油を入れていたらしき壺が。
彼女の眼は閉じつつも、どこかを見ている。

エマニュアル・ミシェル・ベンネル 森の中の裸婦  二人の美少女がいる。一人は立姿を見せ、もう一人は座る。どちらもブルネットのニンフでヘアなし。腰の括れもない。少女のように見える。
この画家は裸婦画の大家だそうで、以前にやはり見ている気がするが、どこでかが思い出せない。

アンリ・ファンタン・ラトゥール オンディーヌ 1880年頃  岩場にいる。こちらに顔ははっきり見えない。艶めかしい水の精。

レオン・リシェ 婦人の肖像  くっきり二重瞼の女。黒目も大きく、エキゾチックな風情もある。決して妖艶ではないが魅力的な女。

イメージ (456)

ドガ 四人の踊り子たち  意外なことに表情がはっきりしている。みんなイマイチ乗っていないし、タイミングも合わないらしい。

ルノワール 母子像 アリーヌとピエール 1886  オレンジの帽子や上着、真珠色の周囲、黄金の染まる木の葉、とても和む。
イメージ (455)
やさしい時間がここにある。

エコール・ド・パリの画家たち
ボンボワ 醸造所の見える風景 1930  大きな池がある。柳が道を少しばかり隔てる。睡蓮はまだ咲いていない。

ドンゲン 婦人の肖像  綺麗で派手な女。パールが首を絞めつけている。髪をかなり強く上げている。社交界で微笑む。

ドラン 肩脱ぎの女 1928-29  ああ、いかにもその時代。胸が一つ露わになっている。すてきだ。

藤田嗣治が数点ある。
ユキ、マドレーヌらの横たわる姿、他にも二人の裸婦の様子、バラなど…裸婦たちはいずれも肉の裂け目を少しばかりのぞかせている。
グランブランの時代の絵ばかりが集まる。いいコレクション。

猫 1939  黒雉vs茶虎のケンカである。どちらも応援したい。

ラリックの作品がずらりと並ぶ。皆とても綺麗。
海をイメージした香水瓶には渦巻が刻まれていたり、昔話を思わせるような「シレーヌとカエル」の凝ったつくり、ガラスに閉じ込められたような苺たち。

立像のダフネは朝香宮邸のカリアチードが顔を挙げるのとは逆にややうつむいている。大きな貝殻の髪留めが素敵だ。
十人のバッカスの巫女たちの舞う様子、八人の祈る天使たち、これらも造形がとても優美。

陶然としながらガラス作品を見て回る。

最後は常設を見たが、特別展に合わせての作品チョイスになっていたようにも思う。
踊り子たち、裸婦たち…

絵もガラスも共に魅力的だった。

 


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