FC2ブログ

美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

光彩の巧み ―瑠璃・玻璃・七宝―

先日、五島美術館と静嘉堂文庫とを廻り、明代の絵画と工芸品の佳いのを堪能した。
五島美術館のタイトルは「光彩の巧み ―瑠璃・玻璃・七宝―」
静嘉堂文庫のタイトルは「あこがれの明清絵画 日本が愛した中国絵画の名品たち」
ここに後は泉屋博古館分館が加わるべきだが、今回はこの二つを見た。
まず五島美術館から。
タイトルに「瑠璃・玻璃・七宝」とあるが、中心は七宝焼だった。
イメージ (478)
チラシには龍の絵の壺が見えるが、サイズはわからない。
得てして自分の予想を超えるものだ。

ロビーに巨大な壺がある。


…予想以上のサイズだった。

古代の工芸品を愉しむ。

金銀玻璃象嵌大壺 永青文庫  古代の輝きをそのまま保持することは出来ないが、それでも「残んの香」とでも言うべき風情がある。
古代の貴重品と言うだけでない、優美さというものを見出す。

多彩玻璃珠 永青文庫  妙に親しみやすそうな外観で、なんだろうと思っていたが、納得した。妙におばけっぽいのだ。それが可愛い。

玻璃握豚 五島美術館  死者の手に持たせる胴長の豚型の握りもの。石灰のような色だった。これを見ていたカプが、「なんでーなんだろう」と騒ぐので説明してもいいかと思ったが、やめた。後に「遠州好」の解説文に引っ掛かって揃って「ググろう」と言いだしたので、さすがに止めて説明した。

帯鉤 白鶴美術館  見たことがあると思ったら白鶴のだ。まだ撮影可能の頃に白鶴で撮ったことがあり、どう使うのかを当時教わった。

嵌玉一角獣形鎮子 泉屋博古館  これも魔除けになる。言うたらブサカワだが、それが力の源なのかもしれない。

第二部―東洋七宝の萌芽

花文七宝帯金具 白鶴美術館  つくづく可愛い。よい構成。こういうのが本当に好きだ。
簡素なメモをつけながら、下手な絵もちょっと添えた。そうしたくなるくらいこの花文が可愛い。

花文入亀甲形座金具 牽牛子塚古墳出土 明日香村教育委員会  高松塚古墳より上位の人の墓所らしい。それについてはこちら。
そしてこちらの花文がまた可愛くて可愛くて。
ところどころ欠落しているのも逆に魅力になるくらい。

黄金瑠璃鈿背十二稜鏡模造 田中輝和 宮内庁正倉院事務所  技術力の高い人によりこうした素晴らしい模造品が作られるのはいいが、現代の日本は技術保持者を軽視し過ぎる傾向を、なんとか是正しなくてはならない。
とても綺麗で明るいものが出来ていた。三彩風にも見えるがやきものではない。

第三部―茶の湯と七宝
中世になった。まずはここから。
君台観左右帳記 大東急記念文庫  室町時代の美の教科書。

明代の釣り舟型の花入れが並ぶ。
雲文七宝舟形釣花入 泉屋博古館分館
雲文七宝舟形釣花入
花文七宝舟形釣花入 静嘉堂文庫美術館
青海波文七宝舟形釣花入 九代中川淨益 建仁寺堆雲軒
外観を綺麗に七宝焼が侵略している。隙間はない。中の火屋の孔はそれぞれ工夫が凝らされていて、可愛いものが多い。それは日本の茶人好みのものなのか元からなのかは知らない。

荒磯文七宝天目台 永青文庫  鯉が顔を出す。改めてこれが実は「登竜門」なのだということを思いだす。別に空気が欲しくて顔を出したわけではないのだよ、魚も。

海馬文七宝水指 静嘉堂文庫美術館  この海馬はギリシャから来たのかもしれないが、見事に東アジアのそれに代わっている。海馬の顔つきが藤城清治か井上洋介が描いたようなファンキーなものなのも楽しい。
そしてこの海馬文はなかなか人気だったらしい。
ほかにもわりとたくさん見た。明から清代の流行の一つだったのか。

玉取獅子唐草孔雀文七宝水 指滋賀・彦根城博物館  この文様も来たか。
多様化するかと思ったが、絵柄・文様はあまりヴァリエーションを広げなかった。

七宝皆具  茶道具をすべてそれで揃えた。これはこれですごいな。この為に拵えたのか・それとも茶人の感性で取り揃えたのか。

トルコブルーを地の色にして隙間なく展開する明の七宝焼。
この偏執的な文様を見ると、さすがに疲れてきた。

五七桐文七宝釘隠付風炉先屏風 細見美術館  日本製。なんとなくホッとする。つまり他の素材と一緒になることでその圧迫感が減った気がするのだ。

鶴蓮華文七宝面盆 檀王法林寺  「だん王」さんのところのか。あそこには他にも素晴らしいお宝があるが、その前を歩きながらも中へ入ったこともないなあ。
と、そんなことを思いながら盆を眺める関西人。

安藤七宝店の良品がいくつもある。
明治の仕事はどこか不思議な感性を見せる。

唐花文七宝蓋阿古陀形鉄銚子 サントリー美術館  可愛い阿古陀形の銚子を彩る七宝。

イメージ (479)

第四部―琺瑯の香気

孔雀を表現するのに七宝というのはとてもいい方法だ。
立てた羽根を緑で濃やかに表現するのもあれば、後ろへ流れる裳裾のように表現するものもある。いずれもとても魅力的。

第五部―身にまとう耀き

刀鐔の素晴らしいのをいくつも見る。安土桃山から続く平田派の素晴らしい技巧。
「平田七宝」と呼ばれるそうだ。加賀大聖寺で活躍する弟子もいて、彼らの作品がこのように伝世するのはよかった。

花雲形文七宝鐔 伝平田道仁
宝尽文七宝鐔 伝平田道仁 名古屋市博物館
宝尽文七宝鐔 平田彦四郎 東京国立博物館
雪華文七宝鐔 平田春寛 東京国立博物館
雪華文は特に好ましく思った。

七宝十字架 大阪市立美術館  ・・・妄想が次々と生まれだすのが止められない一点。

第六部―机上の巧み

小さくて愛らしいものが色々。文房具は七宝物がけっこう多い。
菊文七宝水滴 東京国立博物館
七宝丸形水滴 東京国立博物館
波兎文七宝水滴 サントリー美術館
愛でたいよ。

小さい印籠の中にさらに小さい宇宙がある。
イメージ (493)
林原で手に入れた絵ハガキがあってよかった。

第七部―調度の光彩
実は好みで言うと、やっぱり七宝焼は江戸時代の和物が好きだ。
明治の二人ナミカワも好きだが。
引手や釘隠し、あれらに七宝焼が使われているのがとても好きなのだ。

名古屋城本丸御殿襖 名古屋城  立派なもの。そうそう、近年になり襖などの修復も終わり、虎の絵なども見たが、引手や釘隠しを見るのもとても楽しみだった。小さくとも葵マークが入っているのもいかにもだ。

細見美術館のコレクションの優品が並ぶ。
わたしが本当に引手や釘隠しが好きになったのは、この細見コレクションのおかげだと思う。
それが昂じて、まだ中山手にあった頃の竹中大工道具館に終了間際に駆け込んで、いろんな引手の映像を見たのも懐かしい。

鳥兜文七宝引手、水仙文七宝引手、流水蛇籠文七宝釘隠、九七桐蛇籠文七宝釘隠手焙、夕顔文七宝釘隠、梅枝文七宝釘隠・・・
これらは実物を見る前にチラシで見て、本当にときめいたなあ。
そして切り抜きをしたりしてね。懐かしい昔話です。
これがそれ。
イメージ (486)

加工品もある。
流水蛇籠文七宝釘隠手焙 火屋をそれにしたり、鈍翁などは五七桐文七宝釘隠を香合にしたり。
こういうところにセンスというものが現れるのだろうね。
櫛松文七宝釘隠香合  可愛いなあ。
雪笹文七宝釘隠衝立 こんな風にも使えるのはいいなあ。

濃いものを堪能したよ。
わたしは中学の最初の二年間を七宝焼づくりに打ち込んでいた。
有線七宝と銀箔・金箔を使ったり、型の上に色を置いたり。透明釉薬が好きだが、不透明釉薬もよかった。
全う出来なかったのは学校側の責任だが、それだけに今も七宝焼のいいのを見ると胸が疼くような何かがある。
またどこかで自分の好みの七宝焼を見てみたい。
12/3まで。
関連記事
スポンサーサイト



最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア