FC2ブログ

美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

あこがれの明清絵画 日本が愛した中国絵画の名品たち

五島美術館の次に静嘉堂文庫へ向かった。
いい明清絵画が集まっている。
イメージ (481)
大体このチラシを見て「行くぞ!」となった人も多いと思う。
沈南蘋のお猫様である。
行って現物の前に立つと、その可愛さ・優美さにこっちが「にゃあ」となる。
また、それを臨書・模写した谷文晁派の絵が、微妙に和猫になっているのもご愛嬌。
いい絵だ。
全体はこのリーフレットにも使われている。クリックすると拡大する。
イメージ (483)

ところで打ち出せない漢字が少なくない。出たとしても文字化けしそうでもある。
なのでここにリストへのリンクを貼る。pdfだから気を付けてほしい。
こちら

同じ絵が二点並ぶ。
一は元の絵、一は探幽による模本である。
全くそっくりではない。わざとなのか技術の問題なのかはわたしではわからない。
張翬 山水図  垂直に伸びる山、これは中国にしかないのだろうか、とよく思う。そこに微妙な空気が漂う。
探幽の模本は更に空気の流れが大きい感じがある。

・明清の花鳥画
李日華 牡丹図巻  墨絵で牡丹の花の色まで。そう、墨の濃淡が花の色を想像させる。
「墨には五色の色がある」という言葉がよぎる。

呉令・邵弥 椿・梅図扇面  合作。わたしは椿も梅も好きなのでこういうのは本当に楽しい。金箋に描いたそうでキラキラしている。白梅と白椿。どちらもいい。そういえばこの紙は「金潜紙」と同じような種類の存在かな。

徐霖 菊花野兎図  見返り兎の図。菊花を見てるのが可愛いが、エサだと思うのかも。「しろいうさぎとくろいうさぎ」だったか「ピーターラビット」だったか、しろつめくさを食べて幸せでしたとかいう描写があったはずだ。
蒲の穂綿にくるまるのもいれば、共同生活の欺瞞から逃れようとするのもいる。ウサギもなかなか大変なのだ。

余崧 百花図巻 カラフルでなかなか綺麗。こういうのはほっとする。
イメージ (485)

名前のわからない画家たちの絵もある。
虎図 太めのタレ目のトラ。妙に可愛い喃。
花鳥図 白梅、紅椿のところへ小鳥たちが。

思えば「花鳥画」は東アジアで重要な地位を占めるが、西洋絵画の場合、そこまでの地位は与えられなかった。
だが、古代ローマのポンペイ遺跡の壁画などを見ると、そこのフレスコ画が実は花鳥画だったりする。
ややこしい理屈より楽しむべきものとして、花鳥画を愛でるという習いはなかったのだろうか中世の人々は。
・・・ないわな、理由はいくつかあるけど。

堆朱や青磁刻花の様々な花鳥をみる。
景徳鎮の青磁釉裏紅魚介文盤などは楽しくて仕方ない。
カニを中心にエビや赤魚、わかめまで。

イメージ (482)

・明清の道釈人物・山水画
丁雲鵬・盛茂燁 五百羅漢図 1594頃  ロバに乗ったりナンダカンダなのはいつものことながら、この二人の描く羅漢たちは顔もすっきりしている。
あんまりばっちくないのがいい。

趙左 雪景山水図  山がカクカクして凍っているかのよう。この山の構造がなんとなくスゴイ。

李士達 秋景山水図  山上の小さな家、可愛いが、暮らしにくいよなあ。理想とは現実を無視するものである、という感覚かな。
イメージ (484)

この李士達の絵を模写したものもある。
驟雨行客図 原本は1619、模写は高久靄厓で1835年。

藍瑛 秋景山水図 1638
そしてその写しの谷文晁の絵も並ぶ。間違い探しゲームでもしたくなってくる。
空気感が違う、とか言うのも答えになるのかな。

張瑞図 秋景山水図 この絵に至っては柳沢淇園と池大雅の模写がある。
日本の文人画家がどういった絵を手本にしていたかがこうしたところから見えてくる。
先般、大和文華館で柳沢淇園展があった。
当時の感想はこちら

来年には京博で大がかりな池大雅展もある。
方向性をまた確認したい。

・文人の楽しみと明清の書跡
文房具の名品が並ぶ。そして煎茶道具。
文人のたしなみ。
中島敦「山月記」を思い起こす。
役人でいるのが嫌で、詩人として名を挙げたくても叶わず、出世を諦めて山中生活(隠居)して文人暮らしをするには、李徴には俗の関わりが多すぎた。
身勝手さと過剰な自意識とを拗らせた挙句にまさかの虎に変身。
ここに描かれた文人たちは、虎になる不幸を免れただけにすぎないのかもしれない。

絹や絖に絶句や律詩を書くことのできる状況。明の繁栄は面白い。
庭園文化も明代が最高位に達したと思う。

芥子園画伝があった。
いいなあ、どのページを見ても「いいなあ」としか思えない。

姉妹硯と目された二つの硯が並ぶ。
実は産地も違うようだがそれでも「姉妹」になった。
遊び心が横溢する。

やはり文化の頂点に達して、繁栄も最盛期、明日から下り坂という辺りの時代の文物は何を見ても面白い。
唐、宋、明。
日本では院政期、安土桃山、幕末。
みんなばかばかしい位の豪奢さに満ち満ちている。

12/17まで。



関連記事
スポンサーサイト
最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア