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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

小野木学 絵本原画展 ―ぼくの中のコドモ―

練馬区立美術館で「小野木学 絵本原画展 ぼくの中のコドモ」が開催中なので喜んで出向いた。
電車の乗り継ぎが良くてスイスイと動けたのは嬉しい。
行ってお金を払おうとすると無料だと言われてびっくりした。
なんでも所蔵品展だからのようだが、公益財団法人 花王 芸術・科学財団が助成してくれているそうだ。
ありがとう、花王。好きな商品多いです。

小野木学は練馬に住んでいて、ここに多くの作品があるそうだ。
わたしは幼稚園の時にかれの創作絵本「かたあしだちょうのエルフ」に感動し、再読不能になるほど心に作品を刻み込んだ。
回り道をするが、わたしはあまりに感銘を受けすぎたり愛しすぎると、その作品を再読することがかなり難しい状態になるのだ。
これまでにもそうした作品がかなりある。忘れることの決してない作品たち。
わたしの愛はいびつなのかもしれないが、心が大きく揺れすぎるとこんなことになるのが止められない。
だが、欠片をみるのなら・・・
ドキドキしながらわたしは向かった。

今回の展示で小野木学が若くして亡くなっていることを知った。1924-1976…52年の生涯。
わたしが「エルフ」を知った時、小野木学は早い晩年を迎えていたのだった。
あの絵本は71年の青少年読書感想文全国コンクールにも選ばれているということだが、幼稚園子のわたしはそんなことは一切知らなかった。
ヒトに勧められた本を読む、というのは今も好きではなく、その場にある本を自分で勝手に読む子供だった。
幼稚園ではほかに同じ出版社の(形が同じなのでそう理解していた)いわさきちひろ「おにたのぼうし」にも感動し、中川李枝子「いやいやえん」に夢中になっていた。そう、「ぐりとぐら」ではないのだ。あと「ももいろのきりん」。
読み物では阿久根治子作・ 瀬川康男挿絵「つる姫」、プロイスラー「小さな魔女」を繰り返し読んでいた。
小さい頃から好きなものは変わらない。

小野木学「かたあしだちょうのエルフ」の原画展示はもう少し後にして、展示されている順から記す。
イメージ (643)

自画像がある。1950年代のもの 自由美術展へ出品していた頃のものだろう。どことなくケーテ・コルヴィッツを思い出した。
画風が似ているわけでもないのに。

シルクスクリーン作品が四点。エンボス紙の効果もあり、シャープな良さがある。これらは司修から学んだそうだ。

1976年、最後の年に描かれたパステル画はいずれもシュールな味わいがある。
ハムサンドノツクリカタ、ニセシンシ、モルフォ、ヒトバンジュウフイタカゼ…
四点ともシンプルで、シュール。

絵本と挿絵、表紙絵の原画を見る。
80日間世界一周 ベルヌ 偕成社 1968  箱絵は司修、口絵と挿絵を担当する。
開かれていたのは、婆羅門の寺院に土足で上がりこんだことで拘束されて裁判を受けている男の様子。ペンによる挿絵。
寺院が土足厳禁なのを知らず、止めようとした現地の人々を殴ったことを誇る阿呆が描かれている。
神坂智子「天竺夜話」にも同じ設定がある。

風立ちぬ・菜穂子 堀辰雄 偕成社ジュニア版日本文学名作選  1968 ああ、これもペン画。

様々な技法を駆使する小野木学。

のんちゃんのけいとだま 緑川紀子 ロンパールームの絵本 1968  コラージュが面白い。巨大な毛糸玉を抱えた子供のんちゃんと猫たちが親しみやすい絵で描かれている。

ダルタニャン物語 全11巻 デュマ・鈴木力衛訳 講談社 1968  全訳の連作本。これは知っていたが、このヒトの挿絵だったのか。

ジェーン・エア ブロンテ 遠藤寿子訳 偕成社ジュニア版世界名作選 1969  びっくりした!わたしが小3の時に知った本で繰り返し再読していた本ではないか。しかも挿絵もたくさんあったのをよく覚えている。これも小野木学だったのか!
びっくりしたよ。大好きな作品。

さよならチフロ こぐま社 1969  完全オリジナル。可愛い少年チフロ。どこからか現れ、老人と暮らし、どこかへ消える。
イメージ (642)
チフロとは何者だったのだろう…

かたあしダチョウのエルフ 1970  前述したとおりでせつない。久しぶりに本を開くと、わたしの所持する本は88年66刷のものだった。今はどれくらいになったろう。とてもいい物語で。無償の愛がくるしい。
最後は本当に豊かな木になるエルフ。だちょうから木になる…
版画をうまく使っている。多様な画風。

幼年版シートン動物記 偕成社 1971  リアリスティックな動物の描写。鉛筆による作品。

ねこの王様 これはあれだ、アイルランドに伝わる伝説もの。爺さんが回想する。
外で偶然みたもの…猫たちが誰かの棺を担ぎ葬列をなしている。トルコブルーの猫たち。
爺さんに気付くと猫が言う。次の王様の名を。
爺さんは慌てて帰宅し、婆さんに一部始終を話すが、その途中から飼い猫がムズムズ動き出そうとしている。
「では俺が次の猫の王様か!と叫んで猫は出て行ってしまう。

もずのこども 講談社 1976  カッコーに托卵された百舌鳥の夫婦の話。

フィルムもある。のぞくと「ちびくろサンボ」と「シンデレラ」が上映されていた。

とてもいいものばかりを見た。小野木学の作品の多様性に驚くばかりだった。
今も達者ならと思うばかりだ。

こちらは彼が拵えた本のリスト。
イメージ (644) イメージ (645)

いつか小野木学の絵本の仕事について語り合える人とあってみたいものだ・・・


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