美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち

世田谷美術館でボストン美術館所蔵のパリジェンヌを描いた絵画を中心とした展覧会が開催されている。
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パリジェンヌという言葉がいつから使われ出したのかは知らない。
わたしの中でパリジェンヌと言えば、20世紀半ばから20世紀終わりまでパリにいた若い女性たちのことのように思われる。
無論そんなことはないのだろう。
だからこの展覧会では18世紀からの「パリジェンヌ」の紹介がある。
ただし展示の都合でか、それともわたしのイメージと同じなのか、20世紀半ばまでのパリジェンヌまでだった。
現代のパリの若い女性は、ではパリジェンヌではないのか?
そのあたりのことはわたしにはわからない。
たとえばわたしは実際に20世紀までのパリしか知らない。
今のパリの娘がどんな様子かもわからないのだ。
展示もそのことは教えてはくれない。
知りたくばやはり海を渡らねばならないのかもしれない。
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1.パリと言う舞台 ―邸宅と劇場にみる18世紀のエレガンス
文化の中心がパリに移ったことでそこでサロンが開かれる。

フランスの室内装飾 1905 ウォルター・ゲイ  サロンの内部を描いている。円形の白い壁に金塗装枠の綺麗な内装、鏡が数面あり、素敵な花も飾られている。人々はいず、サロンの空間が示されている。

ティーセットがある。組み合わせがなかなか面白い。パリの銀器、伊万里か有田のシュガーポット、「茶箱」は木象嵌の天蓋。
こうしたものも素敵だ。
西洋に日本の磁器が輸出され愛されていたことを改めて想う。

モード誌の復刻物が出ていた。フランス革命前の優雅なロココ時代の衣裳が満載である。
ただ、この手の雑誌がいつまで続いたかが今回は出ていないので、革命時はと゜うなっていたか知りたい。
シトワイエンヌたちが攻撃している一方でも、こうした優雅なものも出ていたのか。さすがに無理か。
「ベルばら」「ラ・セーヌの星」の昔から現代では「第三のギデオン」「イノサン」でフランス革命を<見て>きた者としては、気になる。

この時代のファッションはとんでもなくニガテで、申し訳ないが髪飾り一つ見ても唖然とすることが多い。
実際紹介されている髪型カタログには声も出ない。
フリゲート艦、謎のボンネット眠る犬…ああ、なんなんだろう。
清朝の旗本夫人たちの両把頭も大概だと思うが、このロココの婦人たちの髪型は一体…
そりゃこんなのに血道挙げてたら庶民が怒って革命も起こるわな。

2.日々の生活 ―家庭と仕事、女性の役割
女性の人権はまだまだ低い。揶揄する男どもを倒してしまえ。
このコーナーにくると腹が立ってくる。ぶちのめしてやりたいヤカラが少なくないからだ。

3.「パリジェンヌ」の確立 ―憧れのスタイル
19世紀半ば以降エコール・ド・パリへ。

本物のコルセットがあるがあまりに細くて小さくて、見ていていやになる。
他方素晴らしい布靴を見てほしくもなる。
そう言えばコルセットも纏足も肉体を無理やりに矯正・補正・封印するものだ。閉塞感しか感じない。

ブーダン 海岸の着飾った人々  泳ぐのでなく単に日光浴にノルマンディーの浜へ来る人々。

こちらは次回巡回先の広島県美のチラシ
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女性たちが主張し、動き出す時代。

ジュール・シェレのポスターも現れる。
とても綺麗なイメージでまとめられている。

フェリシアン・ロップス 優雅な生活  またまた皮肉と揶揄と風刺の絵なのだが、部分部分がいいのでそちらを楽しむ。

4.芸術を取り巻く環境 ―制作者、モデル、ミューズ
面白いのはやはりここから。

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カサット、モリゾら女性画家によるパリの婦人たちの絵が続く。
ドガ カサット姉妹をモデルに描く。
マネ 町の歌い手 修復されたばかりの絵。色が良くなったそうだ。

ルノワール アルジェリアの娘  実際にはモスリムではなく西洋人の娘がモデルを務めた。雰囲気があるからそれでいいのだ。

女性たちの肖像画が次々と現れ、やや食傷気味になった時、いきなりこの絵が現れた。
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鮮烈なよさに胸が晴れた。とても綺麗だった。

5.モダン・シーン ―舞台、街角、スタジオ
「パリジェンヌ」の闊歩する時代が来た。

パリ・ステージの女性たち シリーズ  これは面白かった。
6枚あるがいずれも字ばかりのボスターを打ち破り真ん中から顔を出すという趣向だった。

パリ・レアールの市場で働く女たちを描くポストカード。
そういえばフジタにもそんなのがある。子供に寄託して描いたフランス版職人尽くし絵。

ムーランルージュのポストカード
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スタンランのポストカードも面白いものが少なくない。
1910年代はポストカードのブームがあったのか。
日本でも市井の絵ハガキが許可された頃、大々的に絵はがきブームがきていた・・・

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これは好み。アメショーが可愛い。
ムーランルージュの喧騒を描いた絵ハガキもある。

1927年のジョセフィン・ベーカーを描いた連作物もよかった。
こういうのを見たいと思う。
大好き。
バナナスーツに始まり素敵な20年代ファッションに身を包んだジョセフィン。

モンパルナスのキキを写した一枚もある。化粧が1930年代のステキなもの。
ああ、素敵だ…

やっぱり1920―30年代のパリの女がいちばんいいな・・・

三体のマネキンがステージにいた。それぞれの時代のドレスを着せている。ポーズもキメていてかっこいい。
・1925―28年 ジャン・パトゥ シルクサテン、銀のバックル、エナメル、ラインストーン 膝半ば・袖なし。
・1949 バレンシアガ シルクタフタ、モアレ 膝下・袖なし・襟長。
・1965 ピエール・カルダン ウールダブルニット、ビニールの赤いアップリケ 膝上

女優の写真がある。
レスリー・キャロン 1963 帽子にスーツ。「リリー」のイメージが強いので、新鮮な感じがある。
ブリジット・バルドー 1958  ワイルドだなあ、さすが。

チラシの写真がやっぱりわたしのイメージするパリジェンヌだな。
レギーナ・レラング《バルテ、パリ》 1955年 素敵だ…

東アジアの片隅で大してセンスもないわたしが感想を書くにはちょっと苦しかった。
展覧会を見終えたとき、わたしのアタマにパリを描いた映画がいくつも浮かんできた。
「地下鉄のザジ」「大人は判ってくれない」「パリは燃えているか」「ラスト・タンゴ・イン・パリ」「パリの恋人たち」…
そこに映った女たちがわたしの中の「パリジェンヌ」の姿なのだと改めて気づいた。

世田谷では4/1まで。
広島は4/11から。
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