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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

香合 百花繚乱 その1

「香合 百花繚乱」なんて素敵なタイトルなのだろう。
空目したわたしは「百合」「百香」「香花」とみて、ああ綺麗な字面とうっとりした。
イメージ (783)

これまで香合を集めた展覧会をいくつも楽しんできたが、常に良い記憶ばかりがある。
西宮大谷でのクレマンソー・コレクションといった海外コレクションも思い出深いが、茶道資料館での交趾香合、藤田美術館の大亀香合を中心とした展示、MOA、逸翁、香雪、湯木など茶道具のよいものを多く所蔵する美術館での展覧会・・・
本来は香合ではないが転用することで香合となり、魅力を放つものも少なくない。
その作品の存在自体に付加価値が与えられ、人々の目にさらされることで美が深まり、鍛えられるのだ。

古人も香合を溺愛した人が少なからずいて、番付を拵えるくらいだった。
むろん番付の下位にいたり番外であっても好きなものは好き・可愛いものは可愛い・使いやすいものは愛用、というわけだ。
しかし当然ながら上位にある香合は人気も値段も高く、秘蔵されたりみせびらかしもある。どっちにしろみんな大事にされたから現代も生き延びているのだ。

作品名は全て根津美のリストから引用。

・唐物
大きめのものから始まる。

堆黒屈輪文香合 1合 木胎漆塗 中国・南宋時代 12−13世紀 永田牧子氏寄贈
青磁浮牡丹文大香炉 龍泉窯 1口 施釉陶器 中国・南宋~元時代 13−14世紀
おおお、大きなグリグリといかにも龍泉窯で色の濃い目のもの。
これだけ大きい香合だと大人数の茶会にいいかも。

黒漆楕円香合 1合 木胎漆塗 中国・南宋時代 12−13世紀 永田牧子氏寄贈
ほんと、楕円。

色んなグリグリ文がある。
堆黒屈輪文香合、堆朱屈輪文香合 いずれも木胎漆塗 中国・ 明時代、元時代、南宋~元時代 
時代は違っているが、文様の様式は確定しているので、そんな無縁には見えない。

堆朱梅文香合 1合 木胎漆塗 中国・南宋時代 12−13世紀 個人蔵 
朱が下に。そして梅がそこにひらり。

黒漆花形香合 1合 木胎漆塗 中国・元時代 14世紀
円内に花びら線を巧く収めた形。

堆朱花鳥文重香合 1合 木胎漆塗 中国・明時代 16世紀
四段重ねで、花は椿らしい。

堆朱人物文香合 1合 木胎漆塗 中国・明時代 16世紀
穏やかに人々が木の下にいる。

堆朱梅鳥文香合 1合 木胎漆塗 中国・明時代 16世紀
木に止まる。


堆朱人物文香合 1合 木胎漆塗 中国・明時代 16世紀
亭にいる人々。

技巧に技巧を重ねた本体にこうした構図を与え、刻んでゆく。
花鳥文様の中には後世のモリス商会の仕事を思わせるものもあったりする。
東アジアの美はしなない。

唐物はなにも中国だけのものをさすわけではない。東南アジアの製品もその中に入る。
特有の独楽香合も数個並ぶ。上部にシマシマが入り、中部から下部は一色。
前掲の中国と同じ「木胎漆塗」だということは根が同じなのか、それとも中国からの伝播なのか。

宝珠香合 1合 牙 中国・明~清時代 17−18世紀
堆茶というべきか。しかし実は牙細工なのだ。色がこうなのは褐色化したため。
牙や骨が経年により変色するのは面白い。

・和物
やきものとぬりものが集まる。

黄瀬戸宝珠香合 美濃 1合 施釉陶器 日本・桃山時代 16世紀
グラデーションの綺麗な香合。

志野宝珠香合 美濃 1合 施釉陶器 日本・桃山~江戸時代 17世紀
焼ホタテのように見えて美味しそうである。これは他に兄弟もいる。志野焼、美味しそう・・・

織部もある。形が分銅だったり色々と面白い。

伽藍石香合 信楽 1合 無釉陶器 日本・江戸時代 17世紀
伽藍石香合 伊賀 1合 無釉陶器 日本・江戸時代 17世紀
やきものにおける信楽と伊賀の地域性の違いということを改めて考えたが、他県のわたしにはわからない。
信楽のの赤くて石棺風、伊賀のは石を重ねたものだが、この二つだけで差異を知るのはムリ。

・漆器
丁寧な蒔絵仕事を見る。

秋草蒔絵香合 1合 木胎漆塗 日本・室町時代 15世紀
元は鏡箱だったそうだ。それを転用して香合へ。

室町から江戸半ばまでの菊蒔絵香合がいくつも。同じ菊であっても表現はそれぞれ違う。手毬のような菊もあれば群れるものもある。

桐唐草文蒔絵香合、鶴丸文蒔絵香合、土坡に桜蒔絵香合、菊籬蒔絵香合。
いずれも室町時代の優美な絵柄の蒔絵香合。
日本人の美意識の確立と転換期について考えるのは面白い。

椿蒔絵香合 1合 木胎漆塗 日本・室町~江戸時代 16−17世紀
「木の花」としての椿、その表現。

燕子花開扇文蒔絵香合 1合 木胎漆塗 日本・江戸時代 17世紀
螺鈿である。わたしは螺鈿が好きなので嬉しい。

松鶴蒔絵香合 1合 木胎漆塗 日本・江戸時代 17−18世紀
鶴の爪先の表現がけっこう面白い。何故か水鳥風。白く光る。

・明清の香合
華やかで楽しい。

螺鈿笛吹香合 少年の笛吹き。
螺鈿虫文香合 コオロギ?
螺鈿獏文香合 白いバク。夢喰いですし。
螺鈿蟷螂文香合 鎌を振り上げる。
螺鈿花籠図香合 この花はヒマワリなのかな。
堆朱麻葉繋文香合 たいへん繊細な作り。
螺鈿獅子文香合 おお、唐獅子がいる。

蒟醤鳥唐草文香合 1合 籃胎漆塗 東南アジア 17−18世紀
蒟蒻の蒟に醤油の醤でキンマと読む。そのキンマに鳥唐草文が入る。・・・蒟蒻・醤油・鳥唐揚げ、と空目しても別におかしくないはず。

・和の彫りもの
技術が入ったことで独自の進化を遂げる。室町から江戸。

鎌倉彫牡丹文香合、鎌倉彫寿老人香合など今もよく見る文様。
鎌倉彫猩猩文香合 松の下に大きな酒壺と柄杓。
堆朱蘭文香合 堆朱楊成作 とうとう作家のものが出てきた。

・舶来
大方は明代のもの。日本から発注したり。

景徳鎮窯
古染付兜巾茄子香合 ちゃんと兜巾が立ってる。「額に頂く兜巾はなんと」といいつつ、ふっくらナス。
古染付叭々鳥香合 一羽。縁周りには花柄。
古染付張甲牛香合 絵のままな牛。
古染付犬荘子香合 え?犬・・・なんだろう。
古染付鉄仙香合 八角形で鉄線がその上に。こういうのは形とリンクしていていい。
古染付干網香合 その上にくるっと囲むような。絵柄であり、本体への懸けであり。
古染付隅田川香合 これこそ「見立て」。川に小舟が浮かび、少年が乗せられている。その子が「梅若」である確証はないのだが。
祥瑞蓮花香合 唐子のダンスがある。
祥瑞瑠璃雀香合 綺麗な青色。小さくて可愛らしい。
祥瑞鳥差瓢簞香合 上に鳥が飛び、下にそれを狙う人がいる。弓を構える。
祥瑞豆獅子香合 小さくて可愛い獅子が乗る。

龍泉窯
青磁一葉香合 ふっくら葉っぱ。オリーブグリーン。むまさう・・・なんというか、皮に抹茶粉を混ぜて焼いた「もみじまんじゅう」の親戚風味である。
青磁柿香合 これもやはり本当は見立てなのかもしれない。

漳州窯
呉州染付周茂叔香合 いかにも日本の茶人が好ましく思うもの。舟から水面を眺める様子がいい。
呉州染付菊蟹香合 カニだ!
呉州染付有馬筆香合 上蓋にちょこんと人形が乗ることから、有馬名物の人形筆に見立てられたのだろう。
呉州赤絵四方隅入香合 好ましい形。隅が入り込むので+形にも見えるわけだ。
交趾大亀香合 チラシの亀さん。藤田コレクションのそれとはまた違うが、この亀はご機嫌さんなようす。口がうさこのようにx柄。
交趾ではほかに台牛、柘榴、狸、荒磯、大鴨、大獅子、烏帽子鳥がある。見返り鳥が可愛い。大きい阿古陀形も。
交趾額梅香合 赤目の金、とても綺麗な色だった。

宋胡録柿香合 シーサッチャナーライ窯 1合 施釉陶器 タイ 16世紀
スンコロク。スワンカロークがなまって、この字を与えられた。日本は外国語にうまい音を与えるといつも思う。

長くなりすぎるので続く。
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