美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽

寛永と言えば思い浮かぶことがいくつかある。
・寛永の三馬術 曲垣平九郎が愛宕神社の石段を見事な馬術で上り下りした…
・駿河御前試合 忠長大納言が主催した真剣による試合。南條範夫の小説を山口貴由が翻案した「シグルイ」が凄まじい…
・寛永の三筆  能筆の三人を選んだ名称だが、そのうちの一人・三藐院近衛信伊は既に他界しているので、近年はこの名称は使われない。

ということで「寛永の雅」展をサントリー美術館で堪能した。
イメージ (800)

江戸初期の寛永年間に活躍した芸術家のうちタイトルにある通り小堀遠州、野々村仁清、狩野探幽の三人をクローズアップしての展示だが、当然「江戸の宮廷文化」というだけに後水尾天皇もまた大きくこの展示に姿を見せる。

四階の展示室に入ると最初に待ち受けているのは仁清のこの多孔性茶碗である。
白釉円孔透鉢というのが本当の名称らしい。
さすがサントリー美術館だけにその照明がとてもうまく、本体とその影の美には痺れる。
この器はMIHOさん所蔵分だが、わたしが最初に見たのは湯木美術館のだった。なのでこの器を使ったお料理の写真もみている。
この器にお料理を盛り付けることができるのはさすが湯木貞一さんだと思ったものだ。

一方、今回のチラシ。はまるで月面のように見えた。
銀地にクールなタイポ、その下に真っ黒な空間とぽっかり浮かぶ円孔透鉢。
そしてその下に日本語のタイトルと金屏風にシブイ茶色の茶入と。
なんてうまい配置なのだろう、素晴らしいチラシだ…
このチラシを見ているとデヴィッド・ボウイ「スペース・オディティ」が脳内再生されてくる。
そしてその歌が終わると次は「月の繭」が流れ出す…

歩を進めるとチラシ右下の茶入・飛鳥川が現れ、次いで桐鳳凰図屏風が展開される。
この三点でタイトルロールの三人をまず味わうことになる。

1.寛永のサロン ― 新時代への胎動 
光悦と宗達の組んだ仕事を見る。綺麗な色紙。
近衛信伊の力強く大胆な書、ノンコウの黒樂茶碗・山里の耀き。
素敵なものが多い。木下長嘯子の拵えた茶杓・松緑も素敵だ。

洛中洛外図屏風を見る。三十三間堂から始まるもので金型雲が描かれている。大仏殿、例のあの鐘、祇園祭、清水寺、八坂の塔、芝居小屋。左には二条城行幸も。鳳輦がみえる。堀川通りには川床も。そして東寺まで。

2古典復興―.後水尾院と宮廷文化
この天皇さんは本当に大変だったようだ。
ここにある書を見ても「忍」の一字だったり「一貫」だったりする。
心に秘めた苦いことどもを文化芸術活動に邁進することでなんとか押さえてきたのだ。
谷口ジロー「風の抄―柳生秘帖」では王政復古を狙う後水尾天皇の暗躍が描かれている。
八瀬の童子を手足に使い、柳生十兵衛とももめる。
大和和紀「イシュタルの娘」に至っては春日局の意をくんだ女間者二人がヒ素を天皇に用いもするという…
剛毅であるが故の苦難。

池坊専好立花図巻 陽明文庫  陽明文庫の展覧会の時か、それとも京都文化博物館で見たのかちょっと曖昧だが、立花の設計図と言うか図解。これは技術書でもあるわけだ。

後水尾天皇が人になにか渡す時に使う指人形もあった。「気楽坊」という名なのも色々とお気の毒な…

住吉派の源氏絵、時代不同歌合などのほかにも天皇自身の製作による12か月花鳥和歌がある。
そして優美な小袖をそのまま使用した小袖屏風。
東福門院の使用した愛らしい香合、香木もいい。

ところでこちらは京都の古田織部美術館の以前のチラシ。
イメージ (802)
今回の展覧会に先行しての企画展で、リンクするところも多い。

3.新たなる美意識  1.小堀遠州
遠州好みの茶碗、茶入が並ぶ。
禾目というべき天目茶碗、膳所光悦茶碗、高取焼、オランダの茶碗、祥瑞、紅葉呉器…
青貝布袋香合、松鶴万歳蒔絵香合といった漆器もある。

祥瑞蜜柑水指 明 根津美術館  ぐるりと見回すと、蜂の巣を見る座った猿がいることに気付いた。なかなか面白い。

4.新たな美意識 2.金森宗和と仁清
面白いのは宗和が亡くなった後からの仁清の作風の大きな変化。
シンブルから装飾の美へ向かう仁清。
色絵の作陶を始めるのもそれから。

唐物写数茶入 静嘉堂  久しぶりに見た。様々な形の茶入れを集合させたもの。楽しいわ。
これも京都でみている。

信楽写兎耳付水指 大胆な兎。貼りついてる。耳で押さえるように。目つきも大きく見開いてた。

小さな可愛い色絵香合のオンパレード。
鶴、鴛鴦、鴨、結文…釘隠しも揃う。
わたしが最初に仁清で好きになったのは釘隠しとこれら香合からだった。
やっぱり可愛いがいいなあ。

イメージ (801)

5.新たなる美意識 3.狩野探幽

釈迦・文殊・普賢図 隠元隆琦賛 萬福寺  これが来ていたか。左右の文殊と普賢がとても美人さんで大好きだ。
獅子は俯き加減。その爪は▽▽▽で外に出ている。象は鼻先を@と巻いている。爪は肉の上に△△△と並ぶ。
巻物を見る普賢。

白鷴図  ハッカン図。これは松篁さんが描いていたので覚えた鳥。キジの仲間だそうだ。

学古図帖  他の絵師の絵を自分の絵で描く。これは今の同人界でもあるな。

学ぶところの多い展覧会だった。
寛永年間に絞ったのもよかった。
4/8まで。
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