FC2ブログ

美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

二つの寺田コレクションを見る

府中市美術館の所蔵品展は寺田コレクションを特集展示している。
そして既に終わってしまったが東京オペラシティでも寺田コレクションの展示をしていた。
寺田小太郎氏と言う篤志の方が集めた膨大な数のコレクションである。
府中市では主に現代の作家の作品が展示され、初台では民家の写真を撮り続けた二川幸夫と川瀬巴水の版画と現代の田舎の風景を描いた作品とが並んでいた。

オペラシティの紹介文を引用する。
寺田コレクションには日本を代表する抽象画家・難波田龍起(1905-97)の油彩、水彩、版画など約300点以上が含まれており、コレクション全体の軸となっています。また、その次男・難波田史男(1941-74)の作品も250点以上が収められており、難波田龍起と史男親子の作品を集めたコレクションとしては、最大級のものと言えましょう。
そのほか寺田コレクションには、相笠昌義、麻田浩、赤塚祐二、伊藤彬、大竹伸朗、大野俊明、奥山民枝、郭仁植、鴨居玲、川口起美雄、桑山忠明、鄭相和、崔恩景、堂本尚郎、堂本右美、奈良美智、西田俊英、西野陽一、野田裕示、野又穫、箱崎睦昌、長谷川潔、舟越桂、舟越保武、保田井智之、村井正誠、村上友晴、山田正亮、山本明比古、吉澤美香、李禹煥などを含む、多彩な顔ぶれの作家達が含まれています。


今回の府中市の展示はまさにかれらの作品が集まったもの。
難波田龍起と史男親子の作品がある。いずれも1969-1992
抽象的ではあるが、神話的な風貌を見せる作品が少なくない。

・東洋的抽象
山口長男、加納光於、李禹煥らの作品があるが、正直なところ見ている物が何であれ、脳が追い付けなかった。

・人のすがた、人の気配
舟越保武 女の顔 1992 木炭  おかっぱ少女をやや斜めからとらえる。少女は少し嬉しそうに見えた。

舟越桂 ドローイングKF8913 木炭  丸めの顔の女。どこを見ているのだろう。もう一枚のKF9889はターバンの女。目元が案外しっかりしている。

小山田二郎 蕩児帰る 1980  髑髏になって杖を突いている。ふふふ。
実際のところ旧約の蕩児の帰還絵を見る度イライラしていた。
それはわたしが長女で、あの物語の長男のキモチにシンクロしてしまっているからだと思う。
そしてこの絵である。なんとなく「ざまぁみろ」なきもちがわいてくる。

相笠昌義 橘果を持つ女 1983  巧妙なパロディだと思う。藤島武二への。彼の描いた「東洋振り」など一連の作品と似ている。
ここにはマヨルカの皿が加えられていた。

・物語の見える絵
藤田修 Abbey 1996 フォトエッチング  様々な窓が集められていた。黒い中、窓だけは白い。

山本麻友香 Blue Pond 2004 この絵、知ってる!作者の名前も絵のタイトルも知らないまま気に入ってチラシをチョキチョキした絵。そうか、14年前の展覧会のか。
イメージ (806)
とても嬉しい。

・しなやかな感性

元田久治 Kaminarimon Gate 2005 石版  ぼろっぼろっの浅草。多分これあれだ、戦争か何かがあって、これだけ残ったとかそんなやつだな。ディストピアな未来。

府中市美ではほかに牛島憲之のシュールすぎる絵を見た。「牛島憲之と昭和」。
何度も見た絵ばかりなのだが、しかしいつみても「ここではないどこかにあるのかもしれない場所」を描いているように思えた。
時間と空間があいまいになり、自他が消え、みんなホンワカホカホカ…

芝居絵だけは別だけど。スケッチ風なところがまたよろし。
5/6まで。

オペラシティでの寺田コレクションは「なつかしき」とタイトルがついている。
以前に汐留で見た二川幸夫の民家写真・川瀬巴水の木版画・田舎を描いた現代日本画…

二川の以前の展示についてはこちら
日本の民家 一九五五年 二川幸夫・建築写真の原点

今回の展示も同じものからの選出。
1953―1959年に撮りためたもの。この時代はまだまだ残っていたのだ。
五年ぶりにみる日本の民家。

イメージ (810)
千葉家住宅の居住部 岩手  つまり南部の曲り家。これで行くと左部分が厩か。
最初に南部の曲り家を知ったのはたがみよしひさのデビュー作「精霊紀行 ルポルタージュ・エルフ」を偶然雑誌で読んだからだった。随分それで曲り家にハマったなあ…
実際に曲り家へ行ったのは92年に橋本八百次美術館で再現されていたもの。曲り家に上がった時にちょっと不思議なことが起こったのを忘れない。


簸川平野の農家 島根
イメージ (808)
この地も旧い。この農家よりずっと古くから知られている地。
空が高く、日差しが民家に降り注いだ午後。

感想は前回のとほぼ同じ。素晴らしい写真をありがとうと言いたい。

数人の現代日本画の作品を見る。
芝康弘の岐阜あたりの風景とそこに暮らす幼い兄弟の姿をみる。
イメージ (809)
チラシでもこの絵の兄弟の様子をトリミングしていた。
イメージ (811)

連作のように幼い男の子がいる。
モデルは彼の身内、そうでない子どもにもやさしさが行きわたる。

無人駅の待合コーナーで物思う子供、ランドセルを放り出して居眠り
郡上八幡の駅も無人だったか…

「ノスタルジー」は感じなかった。わたしは先祖代々大阪住まいなのでこうした絵を見ても入れ込むことはない。

最後に巴水。
36点の作品がならぶ。
連作「東京十二第」「日本風景選集」「東海道風景選集」などなど。
とても好きなだけに喜んで鑑賞するばかりになった。

zen122.jpg

寺田コレクション、よいのを見せて貰えたよかった。
好きなものは好きだと言うだけでなく、購入することで作家を潤し、更にそれを公共へと贈ることで多くの人が知らない作家を知ることになる。
素晴らしい行為をされていたのだ。
またいつかどこかで寺田コレクションを楽しみたい。
   
関連記事
スポンサーサイト
最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア