美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

「名作誕生 つながる日本美術」に行く その1

東京国立博物館の特別展「名作誕生 つながる日本美術」に行った。
これは美術雑誌「國華」発刊130周年記念ということからの企画だそう。
そして「國華」といえば朝日新聞社から現在も刊行され続ける古美術専門誌なのだ。

先般、フェスティバルタワーの四階に中之島香雪美術館がオープンしたので楽しく訪問した。
そこでは朝日新聞社が文化に貢献した歴史なども紹介されているが、中に「國華」の実物もいくつかあり、改めてこの雑誌が朝日新聞社から刊行され続けていることを思い出した。
中之島香雪美術館の開館記念展の感想はこちら

また京都の便利堂の活躍を紹介する展覧会の第一章「文化財の写真撮影とコロタイプ複製」にも「國華」の展示があり、その美麗な印刷の様子をみた。

十年前には「対決―巨匠たちの日本美術」展があった。当時の感想はこちら
あの展覧会から十年か。山口晃画伯の描いた巨匠たちの栞が懐かしい。

音声ガイドを借りる。壇蜜さんと声優の櫻井孝宏さんのお二人の丁寧なガイドである。
そしてところどころに専門家の方のインタビューが加わる。
よい構成の音声ガイド。わたしは特に壇蜜さんの柔らかくて甘い声に心地良さを感じた。

「國華」表紙絵が並ぶ。その美麗な印刷物を目の当たりにしてから足を踏み入れる。

イメージ (914)

1.祈りをつなぐ
・一木の祈り
ずらりと仏像の群れ。きちんと整列しているが、その前に立った時、正直な話「悪魔くん」の入らずの森の中で、仏像にじわじわと追い詰められたキャラの気持ちになった。
圧倒的な存在感があるからそうなるわけだ。

ほぼ薬師如来と十一面観音菩薩。本当のところはわからない仏も一体。みんな立像。薬師の手には薬壺、これだけの数の薬壺があれば四百四病も皆治せそう。
十一面観音は二体あり、唐代のそれは山口県の寺に、それ以外はすべて関西の寺からのお出まし。
上からのライトもあり、生々しい存在感に圧せられた。

・祈る普賢
普賢菩薩関連。
観普賢経 百済寺  見返しの仏画を見ると、目からビームが…
平家納経のも同じ経巻が出ていた。見返しは例の十羅刹女の一人が剣を抜いてにんまり見上げるあれ。可愛い。
今回の展示で知ったことだが、羅刹女のような存在であろうとも仏の力で往生できる、という意味があるそうな。だから仏画に彼女たちが居並ぶ。

普賢菩薩騎象像 大倉集古館  休館中はここに仮住まいの像。ゾウさんと一緒。
ぐるぐると周囲を歩き、改めてゾウさんの歯並びの良さや、このゾウさんがオスだということを確認したり。

絵では美人な普賢菩薩やユニークな目つきの白象もいる。
そしてその普賢の周囲を楽しそうに歩く十羅刹女。
「黒い十人の女」ならぬ十人の羅刹女。映画同様皆さん美人さん。
わたしが見たのは盧山寺のだった。展示替え後には根津や奈良博のが現れる。

・祖師に祈る
真言八祖行状図 出光美術館 1136 半分ずつの展示。かなり大きい。空海、恵果、善無畏らの肖像。いい絵。
かつて「美麗 院政期の絵画」展を奈良博で見たが、
こうした仏画はやはり「院政期」でないと生まれえないものなのだ。
美麗 院政期の絵画 1
当時の感想はこちら

何点かの聖徳太子絵伝がある。
東博本は6面、四天王寺本は6幅、そして叡福寺は南北朝のが7幅、19世紀のが1幅。
設えの再現がある。コの字型に展示。
絵伝に関しては以前にこのような展覧会があった。
 聖徳太子伝の世界 
当時の感想はこちら

聖徳太子とゆかりの名宝展 
当時の感想はこちら

四天王寺本では朱衣の幼い王子がいたずらの罰を自ら受けようと父上の前で肌脱ぎになり正座する。16歳の凛々しい王子。19歳で元服、守屋との戦争もリアルな筆致である。
わたしの中では「日出処の天子」で時間が止まっているので、それ以後の絵を遠い気持ちで眺めた。


2.巨匠のつながり
・雪舟と中国
贅沢なコーナーだった。
国内の名だたる所蔵先から集めた作品で満ちている。
水墨画の美を堪能出来るようになったのも、この20年程。
それはここにある作品やその所蔵先のおかげだと思っている。
日本の水墨画の発達する様子を見た気がする。
中国の作家に倣って、その学習成果が更に飛躍した様子を見せるのは、素晴らしかった。

四点のカラフルな四季花鳥図がまた魅力的。シックな色彩の次にカラフルなのを持ってくるのがなかなかにくい。
雪舟、狩野元信、明の呂紀、殷宏。
どちらも共に東アジアの美意識を体現している。

宗達の関係した作品が集まる。
扇面散屏風 平治の乱、地獄模様、鬼に掴まれる女、河内越え…
扇面貼交屏風  薊、汀の熊谷と敦盛、群花…
一扇一扇がとても綺麗なものばかり。

そこから展開して平治物語絵巻が現れる。
六波羅合戦の断簡だが、イキイキした様子がいい。

続く。 

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