美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

谷内六郎「週刊新潮表紙絵」と人形作家・熊谷達子の仕事

久しぶりに横須賀美術館へ行った。
主な目的は浮世絵と近代日本画での「集え!英雄豪傑たち浮世絵、近代日本画にみるヒーローたち 」展だが、ここには谷内六郎の展示室がある。
わたしが子どもの頃の「週刊新潮」の表紙はこの人が担当し、亡くなると甥の谷内こうたが担当していたように思う。
今も昔もこの雑誌は新聞で見出しを見るのが大好きなので、中身にあまり関心はないが、それでも表紙絵の可愛らしさには惹かれていて、作者の名前を憶えていた。

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昭和半ばまでの子どもたちや家族のありふれた様子を描いたようにみせつつ、ファンタジックな情景を描いている。
それも大半は子供の幻想・夢想という形での表現として。
だから見ていて「ああ、そうそう」と同意もする。

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週刊新潮での仕事にはコラムもついていた。
一枚一枚の絵にコラムがあり、その一文は時に追憶を記したものであり、文明批評にもなり、幻想を文字にしたものにもなっていた。

1981年に谷内六郎は亡くなるのだが、ノスタルジックな情景を描くのは晩年まで変わらず、そのために37年後の今これらの作品を見ても、案外古くは感じないのだ。少なくとも70年代半ばからは既にレトロな雰囲気を持っていたように思う。

今回のテーマはこちら「いつも、いっしょ 家族の存在」
家族との様子を子どもを主体にして描いている。
「家族」…
ここには展示されていないが、映画「鬼畜」のポスターが谷内六郎だということを改めて思い出す。
可愛らしい絵なのだが、その絵はこの映画の為に作られたものなのか・それとも以前からの絵を流用したのか。
そのことはわたしにはわからないが、あの無残な映画に谷内の絵を使うところが、たまらなく怖かった。

少し前に谷内六郎ベスト10を選んだそうだ。
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わたしの好きな作品も入っていた。
そう、こちら。
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白狐が電話ボックスで誰かと電話中。
外の暗い道には姉弟。
淋しく不安な夜の道。
しかも雨まで降っている。

童画では夜の絵がとても好きだが、谷内作品も童画の範疇に入れてよいのかどうかはわからない。

特集展示があった。
谷内の妻・熊谷達子の仕事の紹介である。
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彼女は飯沢匡らと共に人形芝居に関わり、可愛らしい人形を制作していた。
中学の頃から人形造りに打ち込んでいた達子は紹介にある通り、凸版印刷の絵本を何冊も手掛けている。
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二次元作品を絵本にするのと、三次元の立体作品を撮影したものを絵本にするのとでは、やはりヴィジュアル的な違いがある。
この人の作品ではないが、松谷みよ子「モモちゃん」シリーズの単行本表紙絵は全て人形によるもので、それがとても好きだった。
質感の確かさが感じられるというのもある。
熊谷達子の人形にもその「質感」があり、この絵本がもし今もすぐに手に入るのなら欲しいと思った。

面白い逸話がいくつか紹介されていた。
「ヘンゼルとグレーテル」のお菓子の家は本当にお菓子で拵えたそうだ。
実際の写真を見て「ああ、おいしそうだな」と思い、某社のビスケットを想起したのだが、どうもそれは間違いではなかったようだ。
しかし強いライトを当てるとチョコは溶けてしまうし…たいへんだったろうなあ。

谷内だけでなく熊谷達子の仕事も見ることが出来てとてもよかった。
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