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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

大阪市立美術館コレクション展「洋画と日本の風土」

うかつなことにこの展示も終わっていた。
しかし終わっていたといってもなかったわけではないので、やっぱりこうして感想を書く。
大阪市立美術館コレクション展「洋画と日本の風土」

先日ツイッターで近代日本洋画の人気のなさについて上がっていて、この30年近い間の展示の推移について自分でも思い当たることがあった。
バブル崩壊後もミュージアム機能のないところで良い展覧会があり、そこで多くの近代日本画、近代日本洋画を見て育った。
わたしは近代日本洋画ファンなので、この現状に改めて衝かれた。
一体いつからこんなにも近代日本洋画の立場が悪くなったのだろう。わたしにはわからない。しかし21世紀に入ってからなのは間違いないのだ。
だから少しでも近代日本洋画のよい展示があれば見に行くようにし、小さい感想を細々と書くことにしている。
 
裸婦 岡田三郎助 (1869‐1939)不詳(明治時代)  背中を向けた裸婦が寝そべる。その背景色には柔らかな鶯餡色とそれを包むように卵色が使われている。ある意味この裸婦は卵の中の裸婦だともいえる。

風神 長原孝太郎 (1864‐1930)1910年  この絵の現物を見るのは初めてだが、絵ハガキを随分前にここで購入しているので、なんだかなじみ深い気がする。
イメージ (976)

明治の洋画を学んだ人がフレスコが風な表現で裸体の風の神様を描く。琳派の風の神様とは全く違う、人型の神様。

素焼 満谷国四郎 (1874‐1936)1916年(大正5)  サボテンがニョキニョキ生えるくらいの乾燥したところ。地も空も乾燥している。暑いのでか半裸の人々がいる。麦わら帽子もかぶっているので古代ではない。素焼き、テラコッタ。赤子を抱っこする人もいる。
ああ、満谷の回顧展が見たいなあ。大原美術館で見たが、もっともっと…

水泳選手M・I 嬢 田川寛一 (1900‐88)1931年  この絵はしばしば見ている。階段の踊り場にいて下を見る長身の娘さん。スカートは赤白の縞々。ショートカットの元気そうな人。

武者小路実篤像 椿貞雄 (1896‐1957)1922年  師匠譲りの「首狩り族」。手に花を一輪持つ武者小路実篤。

辻愛造 (1895-1964)の対になるいい絵がある。
京祇園祭所見 1928年  中央の提灯には「ひだり入」の文字が。舞妓さんも見ている。紺色の夜空。ああ、行きたくなるね。

道頓堀薄暮 1929年  輸入たばこの看板がある。森永のネオンも。賑やかな道頓堀。ミント色の夜。楽しそうやなあ。

辻愛造は大阪の風景画というか情景を情緒豊かに描く画家で、この人の描いた関西あちこちを見るのは楽しくてならない。

野と子供 中川紀元 (1892‐1972)1932年  大きい絵で左側に虫網を持つ少年を描き、右手にはカラーの白い花も咲く。

行水 鍋井克之 (1888-1969) 1936年  花にあふれた庭でたらいを出した丸髷のおかみさんが気持ちよさそう。アジサイのころ。蒸し暑いものねえ。

海岸にて(香住)林重義 (1896‐1944)1932年  香住といえばカニですがな。三人の漁師さんが立ち話。その足元にはカニ蟹かにカニ蟹かに…ああ、冬になれば香住に行きたくなるのは大阪人の宿命。

婦人像 国枝金三 (1886-1943) 1932年(昭和7)  素敵な椅子に赤シマの半襟のモダンな女が座る。この時代のことだから羽織は長い。かっこいい女。

東安市場(北京)島村三七雄 (1904-78)1941年(昭和16)   釣った眼の女が店番をするのだが、その伸ばした腕の置き方などがマネの描いた「フォリ-・ベルジェ-ルのバー」にそっくりなので、それを引用したのかもしれない。

牡丹園(当麻)辻愛造 (1895-1964)1936年(昭和11)  一面牡丹である。右奥に塔がみえる。白い空の下。いい色合い。
当麻寺へ遊んだことを思い出す。

場末の町の夕暮(十三附近)鍋井克之 (1888-1969)1961年  怒られますよ、このタイトル。…昭和の真ん中頃の空気感がリアル。
めし屋、電柱、橋、長い建物…今はだいぶ変わったんだが…

ざぼん 曽宮一念 (1893-1994)1936年(昭和11)  左のが半分カット、断面図。右は丸々している。皮は黄色く中身は朱色。種がリアル。
曽宮の絵を見るといつも鈴木信太郎の言葉が蘇る。ある種のグロ好みの話である。たとえばここではタネの描写などにそうした鈴木の言う指摘したものを見ることができる。

芍薬 林重義 (1896‐1944)不詳(昭和前期)  綺麗な花を文人画の染付瓶に。昭和の日本人の好む一枚だと思う。わたしも好きだ。

いい絵が多く、楽しかった。


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