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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

「名作誕生 つながる日本美術」後期を見た

東博「名作誕生 つながる日本美術」後期を見たのでそのことを少々。
こちらも展示替えしたものを主に。
とはいえ、例によって自分勝手な妄想で変なことしか書いていないのだが。

始まりが仏様なのもある意味怖いような感じがある。
何がかといえば仏の立ち並ぶ隙間を抜けてゆくわけで、動かないのはわかっているけれど、見られているような感覚がある。
その見られているというのは直に像に見られているのではなく、像を通じて仏の国から監視されている、そんな心持になるのだ。
中途半端な信仰心というか畏怖の念があることでそんなことを考えてしまう。
しかもそこにいるのが薬師如来だから、見られているのなら縋ってもいいだろうかと思いもするのだ。

紺紙金字観普賢経 1巻 平安時代 承安2年(1172)福岡・善導寺  見返しのゾウさんが可愛くてね。

扇面法華経冊子 1帖 平安時代 12世紀 東京国立博物館  女人きらきら。四点がパネル展示されていたがそれぞれいい感じ。

普賢菩薩像 1幅 鎌倉時代 13世紀 東京・静嘉堂文庫美術館  ゾウさんの頭冠に三体の踊る仏が。そして絵の中央に残る截金の美。

普賢十羅刹女像が二点。
根津美術館のには少年も描かれ、奈良博は色鮮やかで、手前の女が赤子をだっこしつつ笑顔を見せているのがよくわかる。

雪舟をみる。
天橋立図 雪舟等楊筆 1幅 室町時代 15世紀 京都国立博物館  途中で途切れているところも描かれている。
室町のころと平成の今とは違うのだが、それでもどこか親しさを感じる。遊覧船ではなくなにやらカトンボのような舟も行き交う。

唐土勝景図巻 伝雪舟等楊筆 1巻 室町時代 15世紀 京都国立博物館  高名な金山龍遊寺がある。島全部がお寺の。調べると面白いことが書いてあるのをみつけた。
「唐の時代に「金山寺」と改称され、明の時代には「龍遊寺」、清代には「江天禅寺」と、寺名は転々とした」
つまりこの絵はやはり明代なのだということか。
それから川はずっと続く。揚子江だからな。

成相寺参詣曼荼羅 1幅 室町時代 16世紀 京都・成相寺  天橋立のところのお寺。
わたしも行きましたよ。ごーーーーんーーー という鐘の音は聴けなかったが。
この全体の稚拙さがよくてね。日月が出ているが、それでどうという感じもあまりない。
だが、なんだかここのお寺の良さというものを感じるのだ。
上手い雪舟の絵とこの素朴な絵とが並ぶのも決して悪くはない。

宗達の扇面散貼付屏風も様々な種類があるが、今期は出光美術館のが出ていた。
白木蓮、白葵、朝顔、白百合…綺麗。
工房のか、もう一点出ていてそちらには桔梗、女郎花、朝顔、平治の乱?兜の緒を締める兵…

物語図屏風 伝・宗達 九博  斑牛が左端にいる。牛車から解かれているらしい。そして牛飼い少年は轅にもたれて眠る。
どこかの屋敷の門前の状況なのだが、何の物語なのだろうか。
調べようとしたが、図録を先に見てしまった。それによると物語が何かは不明なようだ。
ただし構図は西行物語辺りからの転用らしい。

蔦細道図屏風 伝・宗達 烏丸光広賛 相国寺  以前萬野コレクションだったころ、この作品はDMの絵ハガキになってわたしの元へ来たことがある。それを思い出して泣けてきた…シンプルでシャープでしかも豪華な屏風。

蔦細道図屏風 深江芦舟 東博  やたらと槇の木が多い。槇はこの道に多いのか?いや、他の人のここの峠の絵にはなかった気がする。

乾山の色絵龍田川文透彫鉢が岡田美術館から来ていた。やはり綺麗だ。

富士と三保の松原の屏風が三点ある。
雪舟のは清見寺もプラスされている。清見といえばやっぱり清見オレンジだな。しかしこの当時はまだ生まれてないか。
それで雪舟の富士はどうも日本の山というより中国の山に見えるのね。
中国絵画に学んだから当然なのだろうけど、こうしたときにそれを思いもする。

山雪は左に富士、右に三保の松原で、距離感があるのを実感する。何年前かの世界遺産決定の時、富士はすんなりだが、三保の松原の価値を外国は認めなかったよなあ。しかし三保の松原がなくてはやはりあかんのよ。そのことをこうした絵画を見ても強く思うわけです。

最後は蕭白。これはもう殆ど異界・魔界。不穏な白富士。爆発の日も近そう。そう、活火山なのが一時停止中。そして付近の岩や山がみんな「うしおととら」の「字伏」に見えたり、巨人の巨大な歯並びに見えたり。とはいえ左の富士より右のほうがいいのも確か。
虹も出ていて墨絵だが妙に明るく感じるし、もくもくな雲もいい。
こうしたところに「やっぱり蕭白いいよね」という感じが生まれる。

渡辺始興の吉野山図屏風がある。これは初めて見たと思う。けっこうな賑やかさを感じる。
そして今回も乾山と道八のいいお茶碗の競演。

さて今回も蓮池コーナーは本当によかった。全体の中でたぶんここが一番好き。
気持ちいい。見に行った日が暑かったからかもしれないが、しかしそうでなくても蓮はいい。

縁先美人として3点の登場。
住吉如慶の伊勢絵巻には桔梗が良く咲くシーンが。
作者不詳の見立て河内越え図はもう本当に色っぽくて。そこらにいるのもみんなかっこいい。江戸時代のイケてる人々なんだなあ。
そして最後に近世風俗画の縁先美人。瓜実顔で(今「瓜実顔」なんていうてもわかるのかな)髪をたらし、素敵な小袖をまとっている。

さて彦根屏風。今回の図録表紙にも登場。
イメージ (982)
描かれた人々たちにある種の親近感を抱くようになったのは、間違いなく近藤ようこさんのおかげ。
彼女の単行本「美しの首」がなければ、「雨は降るとも」「月は東に昴は西に」を知らないままなら、この近世風俗画に描かれている人々は遠い人々のままだったのだ。
ここにも「名作誕生 つながる日本美術」を実感する。

ところでこの屏風は彦根博物館の中でなら、フラッシュなしで撮影可能。
以前の様子はこちら。
彦根博物館 春の名品

これに合わせて全体の構造がよく似た細見美術館の男女遊楽図屏風も出ている。
締め付けの厳しい体制が始まる前の、ほんの一時の享楽。

好ましい展覧会だった。5/27まで。
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