FC2ブログ

美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

江戸の誘惑

神戸市立博物館で開催中の「江戸の誘惑」展を見に行く。
友人二人と行くのだが、一人の返事が面白かった。
「ぜひ行くわ!めっちゃ楽しみ 江戸の疑惑」
疑惑、魅惑、誘惑・・・
八丁堀の七人か大岡越前か。

ボストン美術館のビゲロー・コレクションの初公開らしい。
今年は海外の素敵なコレクション展が多い。
ビゲロー氏の写真がある。股旅なかっこをしておられる。
なんとなく、納得。
フェノロサの知己を得て、渋る彼を押して浮世絵を蒐集したおし、ボストン美術館で百年の眠りにつかせた。
今回の展示品は全て肉筆浮世絵なので、その百年の眠りがいかに重要だったことかがよくわかる。
まるでつい先ごろ完成したばかりのような鮮やかな作品ばかりなのである。
ありがとう、ビゲロー殿。

展覧会のコンセプトは以下の通り。

1. 江戸の四季 雪月花をめで、四季の風物を楽しんだ江戸人の暮らしぶりを紹介。
2. 浮世の華 吉原を筆頭とする遊里ではぐくまれた、独特のあでやかな文化。
3. 歌舞礼讃 江戸の大スターである歌舞伎役者を描いた姿絵や、芝居小屋の絵看板。
4. 古典への憧れ 有名な古典を当世風パロディとして置きかえた機知的な「見立て絵」。

http://www.city.kobe.jp/cityoffice/57/museum/tokuten/2006_01_boston.html

今回、あんまりよかったので、延々と書くことになる。

『江戸四季風俗図巻』菱川派 正月の情景が出ている。お年始で会う武家同士、向こうの橋上では万歳と才蔵がいる。子どもらはついてゆきたそう。白梅も咲いている。のどかな新年。
花見は上がり藤の紋を入れた幔幕に囲まれたエエ氏一行の花見の他に、色んな場がある。いいものです。
川遊びの屋形船、邸内遊楽図、キッチンの様子(料理人はみんな男)、離れの草庵で女とうじゃじゃけている男、湯屋の様子。ふふふ。

『四季風俗図巻』西川祐信 この人の着物の柄の細かさは凄いと思う。浮世絵と言うより近世風俗画の域にあるような絵だ。花見に千鳥柄の幔幕を巡らした中で、唐草模様の敷物もある。衣裳史の観点から見て行けば、これはまた一段と興趣が深まると思う。月見を楽しむ女たち、雪うさぎを拵える冬の景、コタツ周りでふざける男女。
なんとも楽しげに見える。

『縁台美人図』宮川長春 これは縁台に座る女が髪を梳いているのだが、その帯のブルーがとてもきれいなのだ。絣らしいが、こんな帯、ほしいな。

『朝顔を採る美人』宮川春永 女の伸ばした腕の白さ、蹴出しからのぞく脛の白さ。ええ女ですなぁ。

『隅田河畔春遊図』鈴木春信 摘草してます。皆さんで。菅笠に花を入れている。向こうに見える鳥居は三囲か真崎のどちらか。遊ぶこと多くて、江戸時代はまことに楽しそうだ。(時期によるが)

『雪景美人図』鈴木春重 司馬江漢の浮世絵は先週大和文華館で見たばかりだったか。灯篭も庭の笹ももこもこ真っ白に埋まっている。

『向島行楽図』歌川豊春 煙管で火の貸し借りし合う女たち、酔客のオジサンらは手をつないでます。
向島は江戸の人々の行楽地だったのだ。石川淳『至福千年』にも遊ぶ情景が書かれていたな。
そうだ、谷崎の『お艶殺し』も向島がなかなか重要な地だった。

『春遊緑陰屏風』勝川春章 緑陰。料亭なのかなんなのか、女たちがくつろいでご機嫌さんでそれぞれ遊んでいる。
柳の下風。ええもんです。花ショウブもきれいし、釣れもせんのに糸垂れて・・・笑いあう、楽しい空間。
着物の柄が江戸の女好みのものだと感じた。 
花見の絵の中にいる人々も楽しそうだ。町人文化というやつか。

『振袖美人図』北尾重政 よいしょっとばかりに帯の具合を見ている娘。ちょっと上に締めすぎちゃうか、と思いながらも、不意にこの絵が18世紀のものだと思い出した。

『柳下美人図』鳥居清長 これは娘が柳の下の床机に座り、佇む母親と楽しそうにおしゃべりする絵である。
湯屋帰りだから帯をきちんと締めていない。
「わかるわー」と絵を見ていた奥さんがのたもーた。

『花下の若菜摘み』水野盧朝 大身旗本のご当主とは。母娘幼児。母も娘も若くて綺麗なので、なんだか聖アンナとマリアとイエスにも見えるゾ。それにしても江戸の女はよくタバコを吸う。

『隅田川渡舟図』鳥文斎栄之 これは面白いことに真ん中の女客のみ彩色されている。あとは墨絵だ。
歌舞伎の『乗合船恵方万歳』を思い出した。

『鏡面美人図』葛飾北斎 この女の着物の柄はワンピースにしても素敵だと思う。立ちながら髪を触る女。その顔は鏡でしか見ることが出来ない。構図の巧い絵だと思った。

『大原女図』北斎 柴や桜を頭に置いた大原女。衣裳の衣紋線がチリチリチリとなっている。私はこういう線を見ると明治以降の芳年を思い出す。それも『月百姿』などの怪異を描いたものを。
この北斎のチリチリチリは妖艶さの表現だと解説にあるが、どちらにしろチリチリチリは妖しいらしい。

『東都佃ノ漁舟』歌川広重 皓々たる月の下に漁火を焚く漁舟。静かな作品だった。

『柳美人・桜美人・楓美人』鳥文斎栄之 発色の綺麗な作品で、薄紫色に惹かれた。

『朱鍾馗図幟』北斎 杉浦日向子の傑作『百日紅』の中で、北斎が尼寺にあげた末娘なおのために赤絵を描く話がある。描かれるのは鍾馗である。「我は死なない」と念じながら娘のために描く。しかし。
二百年前の幟。鍾馗の目玉がいかにも北斎チックだ。しかしビゲローさん、なんでも集めてんなぁ。
この作品は、実は会場入り口すぐにどーんとかけられているのだ。

さて次のコンセプトへ。

『芝居町・遊里図屏風』菱川師宣 これがもう、いかにも師宣の遊里という作品だ。金色の雲で区切られているのは、その前代までの近世風俗画からの流れなのか。踊り子のデイジー柄の着物が可愛いが、舞台の様子もまだまだ古様を残している。元禄頃か。遊楽してなんぼですわねえ。

『遊女道中図』師宣 師宣は赤い着物が好きなのか、女に赤い着物を着せることが多いように思う。遣手婆と葛篭を背たろうた若い衆を連れてこの遊女はどこへ行くのか。

『縁台美人図』懐月堂安知 座る女は艶っぽい唇と細い指で文を咥えている。妖艶な女。女の着物は字面で出来ている。『朝』『浅舟』『吾妻』うーん、江戸っぽいなぁぁ。

『立姿遊女図』松野親信 この女は懐月堂風なのだが、私は個人的に「あっっ」となった。会社の後輩ユミちゃんそっくり。なんだか妙に親しみが湧いてきた。

『吉原風俗図屏風』宮川長春 髪型で時代がキッチリ推測できるのも、考えれば面白いことだ。二階建ての遊女屋。ひやかしもいるがあがるのもいる。相談しあう男たち。扇子で口許を隠している。大体なにを話しているか想像がつくな。
大きな天水桶がある。助六、隠れたのはこれかな。なにしろ絵の右端には三浦屋の暖簾が見えるし。

『引手茶屋前の遊女』一筆斎文調 遊女と芸妓の世間話をする図。火鉢の火がいこっている。寒いけれど、遊女は裸足なのだった。

『雪月花図』豊春 三人の女の絵である。三幅対。
雪は辰巳芸者で、襟を上げて口許を覆っている。帯は白描の羊歯か、たいへんモダンである。こんな帯、みたことがない。ゾクッとするようないい女で足の公も指も薄い。珍しい足だ。谷崎の『お艶殺し』のお艶もこんな風だったのだろうか。上村一夫の『凍鶴』で仕込みっ子つるの前に辰巳芸者が現れるが、女将さんは来る前からうっとり憧れている。「粋で蓮葉でお侠で」と言うわけである。確かにこの女にはそんな風情がある。あんまり良くて何度も見直した。
花は吉原の太夫で桜の扇子を開いている。月は秋の七草を活けた花瓶を背に品川の女郎が笑っている。

『三都美人図』勝川春林 立ち姿を描いているが、どうも松岡のそれが思い出されて仕方がない。清水の舞台から傘さして笑いながら満開の花下へ飛ぶ女。どうもそればかり思い出している。

『吉原大門内花魁道中図』歌川豊国 日本堤を跳ぶように駆ける駕籠には嫖客がわくわくしながら在ることだろう。
花魁、かむろ、新造、幇間、客。そりゃこんなところですから佐野次郎左衛門ではねぇ。

『遊女とかむろ図』喜多川歌麿 花魁の内掛けは波濤、かむろの裾には様式的な桜。口紅はピンク。笹紅ではない。

『芸妓と仲居』豊国 コタツの上に座って手紙を読む芸妓の足の爪にびっくりした。ちょっとこれはマンガみたいな感じで、なんだか面白いのだ。着物やコタツ布団の柄の繊細さにも驚いた。立ちながら笑う仲居と芸妓との間の話し声が聞こえてきそうな感じ。

『遊女立姿図』菱川宗理 北斎の弟子だけあって一時の北斎の女のような顔をしている。それから墨の勢いで円く描かれた月は、出光の仙崖和尚のそれを思い出した。

『遊女とかむろ図』宗理 おとなしいような絵柄の人だと思う。師匠から名前を譲られたのに、おとなしい絵を描いている。足袋やこっぽりがちょっと神坂雪佳のようにも見えた。

『芸妓図』渓斎英泉 一点しかなかった英泉。なんかえぐそうな女。いつもえぐいか。がったり崩れた首、握る両手、バックが灰色なのが救いにもならず、不吉なようだ。こんなのに見込まれたらえらいことになりそうである。

『吉原酒宴図』月斎峨眉丸 お客と幇間と主人の三人。この幇間の顔、今の世にもいてそうだ。というか、今風の顔なのかもしれない。

画巻『象の綱』鳥文斎栄之 これは和印なのだが、あっさりしている。室内で、男の方は少年のように若い。開いた本の方がよっぽどあぶない。着物の色も綺麗で丁寧な作りだが、1シーンのみなので残念なような。尤も全部開かれてもそれはそれで困るかもしれない。

画巻『あぶな絵尽くし』勝川春潮 これも出ている分には楽しそうな二人、と言う風にしか見えない。仲良しさん。

『唐獅子図』北斎 袱紗なのである。真四角。真ん中に円を開け、そこに唐獅子がいる。当然周囲は牡丹尽くしである。獅子の目が先ほどの鍾馗同様、「いかにも北斎」な目つきのギロギロッとした目なのである。縮緬の地が見える。めでたいときの、袱紗なのである。

『鳳凰図屏風』北斎 岩松院の天井画もこれによく似ていた気がする。違うか。もしかすると祭りの山車の絵かもしれない。「鳳翼天翔―っ!」と技を掛けれそうな気がした。枕屏風の細長い絵に妖しい鳳凰がでーんと広がっているのだ。こんなの枕元に置けば魘されるぜ。

歌舞伎に入る。

絵看板『錦木栄小町』鳥居派 鳥居の絵看板と言えば現在なら歌舞伎座で見ることが出来る。たまたま最新の歌舞伎座メルマガでこの絵看板の裏に何があるのか、と言うのを記事にしていた。南原幹雄『修羅の絵師』が鳥居家初代の話で、かなり面白かったことを思い出す。
この絵は小町が草紙洗いをしていて、大伴黒主がそれに傘をさしかけているように見える。赤っ面もいるし、座敷には江戸時代の別な人々がいる。
復活狂言が最近は増えてきたけれど、これは無理そうに思える。

絵看板『鵺重藤咲分勇者』鳥居清満 二枚あるがどうやら三枚続きらしい。神社の本殿の前か何かで、阿吽の狛犬さんがそれぞれ描かれているが、菰を背たろうた女と茶筅売りの男と幽霊な女がいる。
友達が囁く。「こんな看板が飾られてたら、切符速攻で買うね!」
私も応えた。「うん、オバケの出る芝居は何でも好きよ」・・・夏まで待とう。

絵看板『出世太平記』清満 太閤記でなく太平記なのか。まあお芝居の外題はなんなとあるわね。そう、竹やぶから竹やりが来て、それをにらむ武智の顔は蒼白で目が血走っている。倅の十次郎は鎧櫃からコンニチワ。
絵看板には不条理な面白さがある。

『草摺曳図』鳥居清信 おお、いかにもという感じの芝居絵で、嬉しくなった。瓢箪足・蚯蚓描・ギョロ目。

『二美人図』奥村政信 一人は羽子板と羽根をもち、もう一人は助六の人形を持っている。互いの視線の交差が意味深だ。

『遊楽図巻』長春 正月の風景。獅子舞もいるし白梅も咲いている。(旧暦ですもの)さるお屋敷にて公演。
観客はそこの主人一家と一族郎党。おカネがあるところにはあるもんですね??

『女舞図』長春 おせん、という踊り子の立ち姿。なんとも艶やかな女だ。手に笹を持っている。狂乱物の小物。
着物に「おせん」と入っているが、その上の着物がまた綺麗だ。

『石橋図』春章 この絵はたいへんに綺麗だった。赤の舎熊がまことに綺麗で、胸を衝かれるようだった。顔立ちも上品で、牡丹の描写も繊細で・・・かすかにのぞく歯並びがまたなんとも言えず魅惑的なのだった。

『女万歳図』豊春 万歳も才蔵も青い着物を着ている。綺麗な水色と青と。

『三味線を弾く美人図』歌麿 五つの狂歌が入っている。歌麿らしい眉毛の形。見ていると母娘が「なんか字が書いてある」「なんて書いてるのかなーさみせん?」でしゃばりの私は読めるところだけ、お二人に。

『三曲合奏図』葛飾応為 北斎の娘お栄。私のイメージではどうしても杉浦日向子の『百日紅』のお栄だな。
上村一夫『狂人関係』石森章太郎『北斎』山本昌代『応為坦々録』ではないのだった。
三曲と言うのは三種類の楽器である。その合奏。芝居で三曲と言えば『阿古夜の琴責』である。琴、三味線、胡弓を阿古夜が弾じ、その音色から嘘を測ると言う芝居。
面白い話がある。
またもや八世三津五郎と武智の対談『芸十夜』からだが、浄瑠璃を初めて聞いたさる茶人がぽろぽろ泣くのを二人はいぶかしむ。この段は別に哀しいシーンでもないのに、と。
終演後、それを三味線の道八たちに話すと大いに喜ばれ、ますます二人はいぶかしむ。そこで道八が二人を嗜める。「これはなぁ、重忠がこの三曲を聞いて泣きますねん、感に打たれて(阿古夜を)許してやりますねん、それで感に打たれへんのは岩永だけですがな」(注・畠山重忠は心根の良い武人、岩永は悪役として演じられている)
三津五郎も武智もうぎゃーになる。・・・・・・好きやなあ、こぉいう話。
琴を弾く女の裾には赤と青の蝶が群れを成している。記憶に残るような着物の柄。色の鮮やかさは、百年の眠りのおかげなのか。

『三代目中村歌右衛門』豊国 この役者の存在を知ったのはもうかなり以前になる。’92正月『京の歌舞伎』展で数々の錦絵を見たのだ。「兼ネル役者」歌舞伎役者として最上の称号を持つ男。上方から江戸へ出るや、当時大人気の永木の三津五郎のライバルと見做された芸達者な役者。わたしは豊国のでなく上方の浮世絵師たちがこぞって描いた三世歌右衛門の絵が好きで、見る機会を探しては熱心に見て歩いた。近いところでは昨秋の『大坂の歌舞伎』展で見たところで、スルッと関西のカードにも扱われたので、今も保存している。
江戸から上方へ帰る前にお名残で描かれたものだろう。祇園守の紋がうれしい。

最後のコンセプトへ。

『雑画巻』懐月堂安度 浮世絵と言うより風俗画の趣の方が濃いように思う懐月堂。好きです。着物の柄もセンスいいし。鍾馗がスイカを切っているが、昔のスイカは縞々がないのかしら。スイカを待つ鬼たちが可愛い。わたしもほしいよー。 羅生門の絵もあるが、えらい風雨なので綱は傘をすっぽり、鬼は爆睡中。これじゃ事件起こりませんわ。

『草紙洗小町』政信 小町伝説も色々あるが、草紙洗は花のうちですね。江戸の人はこの画題が好きらしく方々で見た。どれもこれもよろしいですね。色鮮やかできれいだった。 花の色は移りにけり、か・・・

『見立・羅生門、見立・小倉山図屏風』政信 見立絵はパロディなのだが、そこに江戸人の教養が垣間見えて楽しくて仕方ない。蜘蛛の巣にいる遊女と傘をその手でとめられた若者と。

『見立・江口・石橋図』竹田春信 江口の方は舟に乗っているがそれは実は象なのである。対の石橋は獅子が殆どにゃんこか巨大テリア犬かのようにお姉さんにすりすりしている。変にかわいい。

『見立・和漢故事人物図』川又常正 そうと気づかぬような見立てもある。鏡を見る美人からほかの事を連想するのはちょっと難しいし、これが王昭君の見立だと言われても、何故なのかがわからない。

『玉巵弾琴図』祐信 龍の頭に載って琴を手にしている中国風美人。西王母の娘だというが、これだけでそれを判断するのは至難の業ではなかろうか。

『 文机の遊女(見立・関羽図)』磯田湖龍斎 これはすごく納得。関羽は美髯公とも呼ばれるほどの長く黒い髭の持ち主だが、この文机に寄りかかり文を読む遊女の髪は黒々と長く、艶かしいような美しさがある。

『福禄寿と遊女・芸妓図』狩野周卜・湖龍斎・北尾重政 三人それぞれが描いているわけです。
ちょっとおじいさん・・・という感じの絵です。

『見立・江口の君図』春章 これは普通に象に載っている。象の目は優しく、耳は蓮の葉っぱのように見える。この画題も愛された画題だった。

『見立・松風・村雨図』春章 見立にしなくとも、美女二人の汐汲み姿はたいへんにきれいである。昔の塩の製法についてはたばこと塩の博物館が詳しい。海水からの塩なのです。

『見立・三酸図』鳥文斎栄之 三酸図と言えば実は『八つ墓村』を思い出す。主人公の枕屏風がその絵なのだが、そこから和尚が出て来たと言う怪談があるのだ。実際には違うのだが。
ここで描かれているのは楊貴妃・小野小町・江戸の花魁なのである。瓶の周りでみんなほんのり酔うたようにも見える。そして蜀山人の賛がある。
なめてみる あまいからいハ すいぞしる からもやまとも あれ三聖
・・・巧いなあ、これが73翁の狂歌なのである。

『玄宗・楊貴妃遊楽図』窪 俊満 らぶらぶカップルだけ中国風で、他の人物は全員和風美人なのだ。牡丹は咲いているが、なにかまるで吉原の中でのショータイムみたいに見えて仕方がない。こういうのも面白い。

『見立・高砂図』窪 俊満 姥と翁ではなく若いカップル。

『砧打ち美人図』窪 俊満 二人の女がいるのだが、顔と手だけ白くて、後は殆どが背景も着物もセピア色に塗り込められている。二人の女はなにを見ているのだろうか。
実はそうしたことが一番深いものなのかもしれない。

『李白観瀑図』北斎 まーーーっすぐな滝。飛沫がきれい。マイナスイオンが飛んでくる。
昔、萬野にあった瀑布図はこんなまっすぐな滝ではなかった。
仕覆の太子間道のようにも見える滝の絵。

『月下猪図』北斎 宴席で描かされたらしい絵。酔っ払いは何を言うか知れたものではない。
しかしそうであっても北斎はやはり巧い。猪の存在感が大きい。ぶひぶひ言いそう。

『変化画巻』師宣と菱川派 オバケ屋敷です。巨大な入道がにゅうっと出てきてる。
なんじゃこりゃーな人々。もう、楽しいわ。

『百鬼夜行図巻』鳥山石燕 おおーウレシイ!ナマで石燕の妖怪絵を見る日が来ようとは!
イヤモウ実にいっぱいおってね。楽しくて仕方ない。←オバケ好き。
獺の目つきが可愛い。萩の花に巻き込まれた牛鬼とか。おとどしの夏、こういう展覧会を城陽まで見に出かけたことを思い出した。

提灯絵『龍虎』と提灯絵『龍蛇』北斎
これもオバケ絵かと思いましたよ。偉いのはボストン美術館の人々。提灯を修復するまでの過程がすごい。皆さん偉い。その根気がここにある。いくらアジア美術に精通している修復のプロとはいえ、提灯作りなんて空前でしたろう。(これで自信がついて次からはお手の物?)
面白かったですよ。

雨の中やってきた甲斐はあった。三人とも本を購入している。
ヨカッタヨカッタ。
ボストン美術館さん、ありがとう。
また見せてくださいね。

関連記事
スポンサーサイト



コメント
ボストン美術館というと名古屋にボストン美術館がありますね、それと関係するのでしょうか?
当時の江戸は知識欲も高くネットワーク社会であちこちでつながっていましたからネー僕も今日若冲とか応挙とか観てきて知識人の切磋琢磨を考えていました。
実はこの展覧会の図録は朝日のネットショッピングで申し込み中なのです。
いよいよ期待膨らむぞ。
2006/05/13(土) 23:09 | URL | oki #-[ 編集]
名古屋のボストン美術館は、正式にアメリカのボストン美術館の分館として運営されています。
かなりよいですよ~~
機会があれば是非おススメしたいです。
ですからこの展覧会も来月から八月末まで名古屋ボストン美術館で開催され、秋には江戸東博に行くようです。
本の出来もかなりよろしいです。
2006/05/14(日) 00:01 | URL | 遊行 #-[ 編集]
はじめまして。
江戸の誘惑、本当によかったですね。
全点コメントされてるのを読みながら、もう一回思い出してました。
図録売り切れてて、後日郵送になりました。残念です。
2006/05/15(月) 00:48 | URL | 響喜 #-[ 編集]
売り切れ!
こんにちは 響喜さん 
はじめまして いらっしゃいませ

良い展覧会でしたね。
え゛っ 図録売り切れとは凄いですね!
しかしあの図録は買う価値のある内容でした。
会場内の人物看板・・・というのかしら、あれも面白かったですね。知らないお客さん同士和気藹々な展覧会でした。
2006/05/15(月) 13:23 | URL | 遊行 #-[ 編集]
遊行さま、お久しゅう。

いつもいつも圧倒的なお話に感心しまくっております。

こちら、お江戸方面に秋になって、ビゲローさんの労苦の優品達が回ってくれることを、今から楽しみにしています。
朝日新聞がタダでボストン美術館の作品集を12枚下さるそうなので、注文しました!せこい??

天心、フェノロサ、ビゲロー様達の奇跡を堪能できるシアワセをしっかり感じたいと思っています。

テンプレートが瑞々しく、爽やかになりましたね。
2006/05/16(火) 17:25 | URL | あべまつ #-[ 編集]
新聞読者さまご愛顧プレゼント♪ですね。
A紙もY紙もがんばってるのにM紙はだめだなぁ。
ところでわたし、関西のASA友の会に入ってまして展覧会が年間40回無料というカードを所持していますが、あべまつさんはこのカードをご存知ですか。
すごく重宝していますが。
2006/05/16(火) 23:13 | URL | 遊行 #-[ 編集]
遊行さま、え!!!っていう情報ですね。
知りませんでした。関西限定??
あなどれませんね。
ちょっと、これから、調べてきますっ!!
2006/05/17(水) 16:01 | URL | あべまつ #-[ 編集]
また教えてください。関東でもあるのなら、わたしも入りたいです。
2006/05/17(水) 18:24 | URL | 遊行 #-[ 編集]
こんにちは!
行って来ました!!なんて素敵!なんて素敵!!!
もっと早くに行っておけばリピートできたのに。。
「石橋」綺麗でしたね~凛としてて華やかで。
「三曲合奏」はわたしも阿古屋を思い出しながら観てました!
玉三郎さんの阿古屋を4,5年前の南座で見逃したのがいまだに悔やまれます。。。
着物の柄は綺麗だし、観ていて楽しい絵も多いし。
あれだけの混雑ぶりも納得です。
あーー楽しかった☆大満足、でした。
先に観にいってた母が図録を買ってきていたのである程度は予習してたんですけど、
やっぱり実際目にした感動は大きかったです。
2006/05/30(火) 08:51 | URL | はな #-[ 編集]
こんにちは!
行かれてよかったです。この展覧会は本当に逸品揃いでしたね♪
版画も良いですが肉筆の良さをこれほど堪能したのは初めてです。

お芝居好きなはなさんだから、必ず『三曲』をみて阿古屋を思い出してくれはるやろな、と期待しておりました♪
わたし、玉さまの阿古屋みました。綺麗でしたよ、凛として。
三味線は当然ながら(ふるあめりかに・・・などでその良さは知られていますね)琴もよく(盲目物語での勘九郎との合奏がよかった)そして胡弓を弾かれるときのドキドキ感は言葉では伝えられません。
歌舞伎と浮世絵の関係、大好きです。
ああ、楽しい展覧会でした。
はなさんのレポが楽しみです。
2006/05/30(火) 09:53 | URL | 遊行 #-[ 編集]
こんにちは☆
ようやくTBできました。
livedoorのシステム障害でえらい時間がかかってしもて。。
単純に たのしーーい!!! とウキウキできる展覧会でした。
遊行さんのblogでまたあの楽しさを思い出してます。
あの北斎の提灯、修復なさった方に脱帽です。。
御曹司のビゲローさんに感謝、でした。

この展覧会、もたもたしていたのが悔やまれます。

週末に京都に行きました。
藤田さん、早速行ってきました☆
遊行さんもそのうちいらっしゃると思いますが、また
こちらで感想を読ませていただくのを楽しみにしております。うふ。

そして悩んでらした7月の鏡花さんは行かれるのでしょうか?
2006/06/05(月) 20:10 | URL | はな #-[ 編集]
先日ライブドアブログの方々が全く見れなかったので、ちょっとさびしかった遊行です。
おお~~入場制限まで・・・
しかし本当に見れてよかったです。

玉様、行く気ですがチケットがちょっと苦しいところです。飛行機がまだ取れていない。
しかしせめて『山吹』か『海神別荘』は見たいです!
2006/06/05(月) 22:14 | URL | 遊行 #-[ 編集]
東京でもようやく
こんばんは。
東京でもようやく10月21日から公開されています。待ちに待った展覧会、期待は裏切られませんでした。
花鳥画とはまた違った世界が堪能できて幸せです。
2006/10/29(日) 02:14 | URL | キリル #zAcXvGCQ[ 編集]
キリルさん こんにちは
こんな綺麗な肉筆画の展覧会、本当に初めてです。
すばらしいですよね。
好きな世界だから余計に嬉しかった。
またこうした百年の眠りから醒める浮世絵が見たいものです。
2006/10/30(月) 09:16 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
今日行きます
朝日のアスパラクラブの招待で休館日の今日行ってまいります。
ホームページには音声ガイドのご案内がありましたが遊行さん借りられましたか?
オルセーといい、神戸でやって東京が後回しになる展覧会多いですね。
というわけでほかの方の感想をじっくり拝見してから観に行けるからラッキー。
2006/10/30(月) 11:18 | URL | oki #-[ 編集]
okiさん こんにちは
東京と関西とではシステムが違うようですね。
休館日のご招待というのもいいですねー。
チケットのこと色々お気遣いありがとうございます♪
楽しんでください。
それからそのご感想を楽しみにしています。
2006/10/30(月) 14:02 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
行ってきました
遊行さん、社員旅行お疲れ様です。
行ってきました面白いのなんのってー。
国立博物館の大北斎展にも出品されていないものがねむっているんですね、海外に。驚き桃の木なんとかー。
肉筆浮世絵とは何たるか、つまりは「絵画」のことなんですね、カタログを読んでああそうかと。
今週の木曜に出光でネットの友達というか先輩とお会いします、ネットは出会いの機会でもありますよね。
2006/10/30(月) 21:59 | URL | oki #-[ 編集]
okiさん こんばんは
出光よいですねー。
今年は40周年記念でめちゃ良い企画が目白押しで、連日ホクホクモードに入ってるんだろうな、その分石油を安くして・・・くれませんわね、とかなんとか。

今年はちょっと目処が立たないのですが来年当たりご一緒に回れたらよいのですがね。

提灯の再現にも「おおお~~」でしたよ。至宝という感じの肉筆画でした。
2006/10/30(月) 22:33 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
こんばんは
江戸東京博物館で観てきました。
これは楽しい展覧会でしたね。
> 『百鬼夜行図巻』鳥山石燕
ろくろ首の首が普通にひょろ長いのがおかしかったです。
# あたり前なことなのに...
2006/11/02(木) 23:57 | URL | lysander #f8kCkkcg[ 編集]
lysander さん こんにちは
本当に良い展覧会でした。

ろくろ首の首・・・いいですよねー。
なんかオバケたちがさりげなく「オバケ」なのが楽しかったです。

女の着物の柄もそれぞれ見ていて感心しきりでした。
こういう初見の肉筆画に出会えて本当に嬉しいです。
2006/11/03(金) 22:59 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
遊行さん、こんばんは
凄いレポート、しかと読みましたぞ!!!
私も展覧会を見た後なので、遊行さんの言葉がリアルに響いています。

>「鳳翼天翔―っ!」

一輝兄さんですか?(笑)

北斎の「鳳凰図屏風」はもう実際に見ないとその良さがわかりませんよね。
いやはや良いものを見ました。

ビゲローさんは確か三井寺で得度したんですよね。
日本人より、深く日本を愛した人なんでしょうね~
2006/11/10(金) 23:29 | URL | アイレ #-[ 編集]
アイレさん こんばんは
わはは、バレましたね。
そうです一輝にいさんです。
ビゲローさんは肉筆浮世絵の他にもなにわの四条派の作品も手に入れていたようです。
本当にお好きだったのですね。
2006/11/13(月) 00:24 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
江戸の誘惑の出展目録(時代別・絵師別)
こんばんは、そちらの記事の絵師名とタイトルをエクセルに貼って時代別・絵師別の出展目録を作ってみました。
http://cardiacsurgery.hp.infoseek.co.jp/Bigelow.htm#1
画像のあるサイトにリンクを張ってみたところ、皆さんの興味が向いている方向が分かったような気がします。
そろそろ2回目をみにいってこようかと思っています。
2006/11/28(火) 23:33 | URL | とら #8WYMted2[ 編集]
とらさん こんにちは
さすが!
感嘆の声が上がりました。
とらさんのこまめな作業のお役に立ててホントに嬉しいです。
眺めましたら、見たときのわくわく感が蘇ってきましたよ♪
2006/11/29(水) 11:04 | URL | 遊行 #-[ 編集]
こんばんは。期待通りの良い展覧会でしたよね。

また名古屋のボストン美術館にも、
このような良質の浮世絵が展示されているのでしょうか。
もしあれば名古屋へいった際にでも、少し寄りたいですね。
さすがに世界最高峰のコレクションと言われているだけありました。
こればかりは東博も真っ青と言ったところかもしれません。
2006/12/12(火) 22:10 | URL | はろるど #GMs.CvUw[ 編集]
はろるどさん こんばんは
肉筆ですからねえ。こんなに質の高い肉筆を大量に仕舞っていたところに、アメリカの大きさを感じますね。
是非名古屋に行かれてください。
JRと直結してますから行きやすいですよ。
2006/12/12(火) 22:37 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
遊行さんのこの圧倒的感想文が鑑賞後又一層濃く、深く感じられました。
ボストン美術館もこんなファンがいてくれて、大喜びです。
お勉強させてもらいました★
関東エリアのAクラブに、美術館めぐりチケットは、ないようでした。残念!無料チケットを頑張ってゲットすることに血道をあげることといたします。
2006/12/18(月) 12:34 | URL | あべまつ #-[ 編集]
あべまつさん こんにちは
あらら新聞社も東西により異なりますね。
そう言えば記事の内容でもM新聞は圧倒的に関西の記事が面白いですが、関東のは「あれれ」なのでした。

この展覧会は良い展覧会でした。
皆さんでコメント出し合い、TB送りあうことで画像やタイトルやそのときの感情なども思い出されてシアワセになります。機能が巧く行かないこともいろいろありましたが。
2006/12/18(月) 12:49 | URL | 遊行 #-[ 編集]
やっと
記事書きました。

でも、遊行さんの感想凄いな~
これ翻訳してボストンへ!
マツザカ君頼むよ!

2006/12/22(金) 23:04 | URL | Tak #JalddpaA[ 編集]
Takさん こんにちは
マツザカ君は機嫌よくokしてくれそうですが、バンパイヤのような代理人が間に入りそうで・・・(笑)
今からお邪魔しに行きます。
2006/12/23(土) 17:52 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

ボストン美蔵 肉筆浮世絵展

期待のボストン美術館所蔵の肉筆浮世絵展(12/10まで、江戸東博)がようやく東
最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア