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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

「江戸の戯画」 をたのしむ その1

大阪市立美術館で「江戸の戯画」展を大いに楽しんだ。
江戸時代の戯画ということで、江戸の浮世絵だけでなく大坂の耳鳥斎のゆるくてシビアな地獄シリーズ、幕末から明治の転換期にも強烈な笑いの精神を忘れなかった暁斎などなど面白い作品ばかり集めている.
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人間、泰平の世の中にあると退屈する。
退屈し続けるとダメになる。そこでお上がつまらん規制をかけてくる。
泰平の世に棲む日々に強い枷。
その枷を壊しはしないが、うまいこと骨抜きにする方法を庶民は見つけ出した。
その方法の一つに笑いがある。
どうもそんな気がしてならない。

まずはゆるい鳥羽絵から始まる。
第一章 鳥羽絵
鳥羽絵の由来については「鳥獣人物戯画」の筆者と伝えられる鳥羽僧正からとったというのが定説らしい。
全然違うが、奈良絵本という名称のことも考えると、日本人はこういうネーミングがうまいような気がする。
現代に至っても某小▲製薬の製品ネーミングなどにその名残が見受けられる。
…小林▲薬も大阪の企業だしなあ。
なにも気負わずに楽しむ。

第一章 鳥羽絵
大岡春卜の本が色々と出ていた。
『画本手鑑』 大阪府立中之島図書館/ 関西大学図書館
『軽筆鳥羽車』 大阪府立中之島図書館/ 千葉市美術館
『鳥羽絵三国志』  上 千葉市美術館
どれもこれもあほらしいヒトコマ漫画で、こういうのがまた面白い。
地獄の釜へジャンプ!とかシイタケが現れたり、変な浄瑠璃とか、意外にシュールなのもあったりで、にんまり。
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竹原春朝斎、長谷川光信といった作者らの「鳥羽絵」も楽しい。
ほぼラクガキぽいような絵柄なのも好ましい。

そしてこの章のラストには模写も出てくる。
安達真速 鳥獣人物戯画 甲巻(模本) 京都府(京都文化博物館管理) ウサギとカエルの相撲のシーン。
いい配置や。これで「鳥羽絵」の意味が通じる。

第二章 耳鳥斎
伊丹市立美術館でかれの展覧会が開催されたのはいいが、あほなわたしはよりによって最終日にしか行けず、図録は売り切れ、楽しいチケットは下半分切るから絵が切れてしまう、ということで何やら泣きたくなってしまった。
あまりに面白すぎたのでこれ以降はもう決してかれを忘れなくなり、ちょっとでも展示があれば行くようになった。
耳鳥斎。人生の半分以上は冗談だ、というのを見せてくれた作者。
「世界ハコレ一大戯場ナリ」
2005年の出会いについてはちょっとだけ書いている。
耳鳥斎!にヤラレタ
ところでこの人の呼び方は「にちょうさい」です。


出ました地獄シリーズ。
大阪歴博「幽霊・妖怪画大全集」にも耳鳥斎の「地獄」が出ていた。
「なにわユーモア画譜展 関西大学所蔵大坂画壇コレクションを中心に」にも関大所蔵の「別世界」の地獄が出ていた。
当時の感想はこちら

ほかにこの展覧会でも。当時の感想はこちら
三都画家くらべ 京、大坂をみて江戸を知る 2

そうそう「地獄絵ワンダーランド」展にも出ていたな。
みんなやっぱり耳鳥斎が好きなのだ。

地獄というてもすべては人の世の仕事・あり方に関係したもの。
亡者は責め苦を受けるというよりその道具となり、妙に楽しそう。
役者の地獄 「大根役者」は役者への侮辱語だが、亡者たちはニコニコと大根を咥えている。
揚弓屋の地獄は自分らが弓屋にされる亡者。
トントントンと切り刻まれるが楽しそうな亡者もいる。
イメージ (1000)
一事が万事こんな感じ。
そして責め苦を与えているはずの鬼たちはみんな至って淡々と作業をする。
まるで手作業のパートで働くおばさんたちのようでもある。
今回は全巻が開かれているので、普段はめったに見れない「地獄」もあった。予想以上にオヤオヤという感じで楽しい。
そしてこれまで耳鳥斎の作品だと認められてこなかった佐倉の歴博の地獄も彼のだと認定され、展示されていた。

耳鳥斎 四醒之図 高麗橋吉兆  寒山拾得と豊干禅師と虎と。縦長画面でみんな起きがけの様子。虎が特にかわいい。
本当は「四睡」だが、めざめたところ、というのがいい。

耳鳥斎版仮名手本忠臣蔵のはじまりはじまりーっ
ここはやはり芝居らしく「とーざい」で始めるべきかもしれないな。
キャラ分けがなかなか面白い。シンプルながら特性が出ている。
勘平も定九郎もそれぞれよくわかる。みんなやっぱり忠臣蔵好きだよなあ。わたしも大好き。

耳鳥斎 練物図 太田記念美術館  もの見んとタイトルだけ見てたら「…てんぷら?」と思うのが関西人。
練り物は関西では「てんぷら」ともいうのよ。
これはそうではない。練り歩く行列のこと。そしてその様子を眺める群衆。
練り歩きということさ。

耳鳥斎 梨園書画(下) 大阪歴史博物館/  『絵本水や空』上 大屋書房  これらはどちらもその当時の役者たちの似せ絵を耳鳥斎流に描いたものが集められている。シンプルな線ながら特徴が出ていて楽しい。
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耳鳥斎 『あらし小六過去物語』上・下 大阪府立中之島図書館  これは嵐小六という役者の追善物で、死んだ彼が地獄めぐりをするというもので、見てゆくと「おっどろきー」な閻魔さまとか、ふにゃふにゃの鬼などで、あくまでも楽しい。

耳鳥斎 『画本古鳥図賀比』中 大屋書房  オバケが出てきてコンニチハ。挙句は皆で百万遍の数珠繰りをする。効果があるかは知らない。
百万遍の数珠繰りをこんなに明るく描いているのを見るのは初めて。

この章の最後にはしとみ・かんげつの登場。
蔀関月 妖怪十二月絵巻 京都府(京都文化博物館管理)  よく練れた絵でカラフル。それで12ヶ月の月次ものを妖怪で行う。
楽しいなあ。

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長くなるのでここまで。
次はお江戸。





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