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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

大正・昭和のモダンを愉しむ その1 「大正ロマン昭和モダン 竹久夢二・高畠華宵とその時代」

大正から昭和のレトロモダンな美を味わう展覧会を5つばかり愉しんだ。
印刷・版画作品が主体なので、重複するところがとても多い。
それでシリーズものとして挙げることにした。
わたしが見たのは以下5つ。

大正ロマン昭和モダン 夢二・華宵とその時代  神戸ファッション美術館
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浮世絵モダーン  町田市国際版画美術館
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モボ・モガが見たトーキョー モノでたどる日本の生活文化  たばこと塩の博物館
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大正モダーンズ 大正イマジュリィと東京モダンデザイン  日比谷図書文化館
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夢二繚乱 龍星閣コレクション  東京STギャラリー
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とにかくわたし好みで、わたしの嗜好品だけで構成されているかのようだった。
チラシもみんな魅力的。
それであれだ、あまりに好み過ぎると全然書けなくなるという状況になった。
…とかなんとかズルズルと日延べするうちにいくつかの展覧会が終わってしまった。
宣伝は出来ないが、記憶と記録の為にもなんだかんだと書いていきたい。
これらの展覧会、重複するものがたいへん多いのも特徴だが、印刷文化があればこそ、各地でこうして保存され伝えられたのだ。その行為自体がとても尊い。


「大正ロマン昭和モダン 竹久夢二・高畠華宵とその時代」@神戸ファッション美術館
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中右瑛コレクションの優品が集まる。
これまで中右コレクションはこれらのほかに浮世絵も楽しませてもらってきた。
いつもいつもありがたいことだ。お礼を述べたい。
印刷物が多いのは確かだか、肉筆画もけっこうあるのも特徴。
華宵、蕗谷虹児、中原淳一の華麗で繊細な抒情画がやはり心に残る。
このタイトルの中右コレクションを最初に見たのは今はなき高麗橋の三越百貨店でのことだった。
2004年。それ以前はこのタイトルとは違うが挿絵などを含めたものを2000年に三宮のさんちかホールや大丸心斎橋で見ている。

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わたしは中原の仕事は戦前の「少女の友」時代のものがいちばん好きで、戦後の八面六臂の活躍は素晴らしいと思うものの、ちょっと興味から外れるのだった。
とはいえ物語絵は好きだ。
なのでここにある「ジュニアそれいゆ」での「あしながおじさん」「最後の一葉」「イノックアーデン」の挿絵は好ましい。
戦前の木版画のシリーズ「娘十二か月」などは特にいい。

橘小夢も近年に再認識されるようになり、とても嬉しい。
妖艶で秘かに怪異の匂いが立ち上るようなところがたまらない。
肉筆画の「お姫様」も頭に吹輪などつけた赤姫だが、彼女もなんとなくあぶない。
版画では谷崎の「刺青」をモチーフにしたもの、発禁を食らい、ドイツの心理学の本にも紹介された「水魔」、白人の男により運命を狂わされた「唐人お吉」「蝶々夫人」があった。
これらはわたしも随分大昔に絵ハガキを手に入れている。

戦争前の厳しい時代になると、こうした耽美・退廃的な絵は排除された。
軍部が政権を握るとそんなことをする。
日本もドイツもその点は変わらない。
あやうい美を表す文化を殺すことから戦争は始まるのだ。

小夢は戦時中「タカラジェンヌ」を描いて過ごしている。
今、お孫さんの橘明さんが祖父とは表現は異なるものの、耽美的な人形を製作しておられ、それが丁度いま弥生美術館の企画展に展示されている。

夢二作品は数が多いだけにどんな作品を集めているかが気になる。
中右コレクションは「黒猫を抱く女」にセノオ楽譜、「婦人グラフ」などの素敵な作品のほかに手帳の素描まで持っている。
肉筆画もいろいろと。

これは中右コレクションではないが、セノオ楽譜を集めたチラシがあるので参考に挙げる。
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嬉しいのは岩田専太郎・志村立美ら主に大人向けの挿絵画家の作品もいいのを持っていること。
わたしは大正期の専太郎のアールヌーヴォーの影響を受けた作品が特に好きだが、なにしろ画業50年を超し何万枚も描きまくった人だけに、描けないものは何もないほどだ。
だからこれは好き・あれはどうもと自分の好むものを探し、中右コレクションにもついついそれを求めてしまうのだった。

松本かつぢの可愛い絵もある。クルミちゃんではなく、はつらつとした少女たち。中でも戦後の「少女の友」の西城八十「アリゾナの緋薔薇」の挿絵。西部劇。女ガンマン。いいねえ。
かっこいいのよ。

川西英の肉筆画があるのも中右コレクションの特性。
ビアズリー「サロメ」の写し。黒字に金で描く。
あとは美人画と短冊など。

新版画のいいのが並ぶ。
五葉、戸張孤雁、鳥居言人、高橋弘明の旅先でのわけありそうな女たちの姿態、清方、深水、小早川清の艶麗な女たち、雪岱「お傳地獄」などなど。
創作版画でも恩地孝四郎の洋画風ヌードも出ている。

肉筆画の名品も惜しみなく現れる。
池田輝方、蕉園の大正ロマンあふれる美人画。彼らは江戸の美人を主に描いたが、しかし大正時代のロマンがそこには横溢している。
伊藤晴雨、木谷千種、北野恒富…

見ごたえのあるコレクションをありがとう。
7/1終了。
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