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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

人麿影供900年 歌仙と古筆

出光美術館は典雅な世界を開いていた。
「歌仙と古筆」展である。
「人麿影供900年」によせた展覧会らしい。
イメージ (1154)

その「人麿影供900年」のわかりやすい解説がある。
「慕帰絵」のそのシーンをパネル展示して、当時の「影供」の様子を教えてくれた。
読み方は「ひとまろ・えいぐ」である。
要するに、神様として崇められるようになった人麿の肖像画をかけ、それにお供え物をして参加者が和歌を献ずるようである。
そして供え物は立花、模型の食べ物だそう。
本物の食べ物は絵には供えないようである。
すぐ下げて「神仏のおさがり」として参加者で食べたりはしないのね。

佐竹本三十六歌仙絵が数点出ていた。
人麿、住吉大明神、僧正遍照である。前期は山邊赤人があったようだが、今は住吉大明神に交代。
人麿はこのポーズがキメとなり、後世の肖像画も範をこれに取っている。
イメージ (1156)
よくよく見れば硯の水滴は家型か。

住吉大明神は人の形ではなく浜、松などが描かれている。
「縹渺」という言葉が絵から現れているようだ。
坊さんは金茶色に輝く。

土佐光起の人麿絵が二点。歳月の隔たりがあり、
そして描かれた人麿も壮年と老年とに描き分けされている。
ポーズも少しずつ違う。硯箱の様子も。こうした違いをチェックするのも楽しい。

和歌三神像 住吉広行  左から人麿・住吉・玉津島でそれぞれ趣向が凝らしてある。
人麿の背後には白帆の襖絵、住吉は松の衝立、玉津島は衣通姫からコノハナサクヤヒメということで桜の屏風。

岩佐又兵衛の三十六歌仙図が四点。 柿本人麿、山辺赤人、藤原高光、源宗于。表具もそれぞれ違う。元々の所有者の趣味嗜好がこうしてみてとれる。

伝・又兵衛の三十六歌仙図+和漢故事説話図屏風が面白かった。上段は歌仙で下段が様々な故事絵。
上の歌仙たちは素知らぬ顔で下のエピソードを楽しんでいるように見える。
文琳型の中に大舜がゾウさんたちと一緒に働いてたり、伊勢絵・源氏絵、やたら巨大な頭の寿老人がいたりとか鬼と首っ引きもあれば、橋ではなく浜辺な感じのところで弁慶と牛若が戦っていたりする。若衆四人をはべらせたツルピカさんのお花見とかも。
それらを見てから改めて上段の歌仙たちを見ると、「Dragon Ball」や「ごくせん」の縦表紙の連続画のように見えてきて、なんだか楽しい。

扇面散図屏風  伝・宗達  こちらは大きい扇に主に植物画。かなり大きい扇子。それらが乱調の美を見せる。いい植物。琳派な植物。それらを鏤める屏風。

他の歌人たちの肖像もたくさん集まっていた。
大江千里観月図、時代不同歌合絵などなど。

西行物語絵も久しぶりに見た。
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細部まで丁寧な作画。

四巻もあって、小さい娘を蹴落とすシーンも出ていた。それで焦る乳母がいる。奥方はそうしたことから夫の出家の意志の固さを知る、そうですがあれだ、中世の男と言うとすぐに嫁さんや子供ほっぽいて己だけ出家しやがるな。
それを思うと非常に腹立たしい。

書もよいのが出ている。王朝継紙の綺麗なところに繊細な仮名が走ったり。
伊予切、石山切、久松切などなど。

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松花堂、光悦らの綺麗なものもある。宗達描く家持の飄々とした感じもいいなあ。

乾山の和歌やきものもいい。
14x11とハガキサイズの角皿に上の句を書き、シンプルな情景図を描く。
鵲三羽が飛んだり、三笠山の月もいいし、華やかな中にも侘びた良さがある。
ほんのりした味わいにこちらもほっとする。

其一の歌仙図は描き表装でそれ自体が楽しい。
イメージ (1155)
クリックしてください。

古筆の名品を集めて綴った「見努世友」が長くその身を開いてくれていた。
久しぶりの再会。いいものを見たなあ。これを集めた人は古人を想い「見努世友」と名付けたが、更にその後世を生きるわたしたちには、その人もまた「見努世友」なのだった。

7/22まで。
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