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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

小松左京展

あべのハルカス24階に大芸大スカイキャンパスがあるということを今回初めて知った。
小松左京展が7/22まで開催だという。こちら
飛んで行ったら無料公開。写真撮影可能。ただし撮影禁止資料もある。
なんで大芸大が?と思ったら、小松左京はここの大学の先生もしていたそうだ。

大芸大といえば近年は島本和彦「アオイホノオ」の舞台ともなった大学。
作中では大阪芸大ならぬ「大作家芸大」でしたな。おおさか=おおさっか。
わたしは一度だけ行ったことがある。清志郎のライブを聴きに行ったのだったが…
確か小野妹子生誕地とか言う碑が立っていた駅から更にバスに乗った気がする。
あまりに昔なので駅名が思い出せない。←調べろよ。
まああべのでイベントがあるのはありがたい。

チラシを貰った。
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わたしは小松左京のマンガが見たくてここへ来たのだった。

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こういうのが。

内部は撮影可能なのでパチパチ。禁止は一カ所だけ。
撮るうちにひしひしと思い知らされることがあった。
「よくこんな…」
だれも当時していないようなことをしているのだ。
改めて小松左京と言う知の巨人、その偉大さに驚いた。

イメージ (1173)

生頼範義えがく肖像画が出迎えてくれる。
小松左京はこの絵をとても気に入っていたそうだ。
去年の生頼範義展でもそのエピソードが紹介されていた。


場内はこんな風に展示されている。
マンガだと原画や当時の本をケースに、壁面パネルはその拡大版を挙げる。
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時系列で紹介する。
少年小松実くんの読んできたものである。
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右はダンテ「神曲」の構造図である。
七つの大罪が記されている。
かれは「神曲」にのめり込んでいたようだ。

さすがその世代でぼんぼんだけに「少年倶楽部」を愛読していたようで、山中峯太郎「亜細亜の曙」がある。
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わたしも好き。本郷義明…おっと、それは「南京路に花吹雪」か。「亜細亜の曙」では「義昭」でしたかな。
このブログを読んでくれてる方はご存じだろうけど、わたしは「少年倶楽部」「少女倶楽部」大好きなのですよ。
絵も巧い。


埴谷雄高「死霊」が開かれていた。
丁度夏の今の季節。この物語での夏は今のような暑さではない…
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他にも野間宏「暗い絵」などがあった。


「日本沈没」コーナーには貴重な係数表があった。
つまり「リアルに」小松左京という人は、日本が沈没する場合・した後のことを計算していたのである。
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当時大変貴重というか珍しい電卓である。計算尺や算盤では不可能な計算式を駆使して答えを出している。
日本列島の重さが45兆トンとか、難民が70万人とか、具体性のある数値が非常に怖い。
なお、最近になり「日本沈没」第二部などの構想ノートが発見され、日本人の脱出方法や分散先といった非常に具体的な数字や地名が挙げられていた。これまたかなり怖い。

実はわたし…いまだに「日本沈没」は未読で映画ですらほぼ見てないのです。
しかし「日本沈没」は知っている。これは今の子でも同じだと思う。
そうそう、筒井康隆「日本以外全部沈没」っていいタイトルだよなあw

SF界の巨人であり、ホラーも凄いのを出している。
「くだんのはは」「穴」は二大トラウマもので、思い出すのも怖い。
今回はホラーは措かれている。

戦後、京大生になった彼は父の経営する工場がイマイチなので自分で稼がなくてはならなくなった。
そこで赤本漫画に進出する。
わたしが今回いちばん見たかったのが実にこのマンガ群なのだ。
漫画家モリ・ミノル。
モリ・ミノルが小松左京と知ったのはかなり後だが、モリ・ミノルの名前は中1から知っていた。
松本零士の「四次元世界」の中にタイトルが紹介されていたからだ。
「古本屋古本堂」である。
そこには手塚の初期作品「ロストワールド」もあればモリ・ミノル「大地底海」もある。
わたしはこの作品からこれら古いマンガの存在を知り、いつか読みたいと思っていた。
手塚作品の場合は比較的早い目に手に入れられたが、他は山川惣治「少年王者」を弥生美術館の回顧展まで待ち、あとは未読ばかり。
今回ようやくモリ・ミノル作品に出会えたのだ。とてもとても嬉しい。

前掲の「亜細亜の曙」などもそうだ。あれは高校の時に森川久美「南京路に花吹雪」から知ったのだ。
高垣眸「豹の眼」も小学生の時読んだ「少年時代」から。
それもやっぱり時間がかかったが手に入れられた。
一つの作品から他の作品を知り、時間がかかっても必ず読む日が来る。
良い意味での執心が本を引き寄せてくれる。

「イワンの馬鹿」
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地獄の門か…
こういうのを見るとやはりわくわくする。
絵自体は現代の眼で見れはやはりレトロすぎるものだが、不思議な味わいがある。


「第五実験室」
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三次元の壁を越えてしまい、往復すると三次元体では死んでしまうという設定。
四次元体になることを選択する主人公。愛した人にはその姿は見えない。死ぬことなく永遠にそこにいる主人公…
せつない。
わたしはSFが好きだが、そこにいつもある種のせつなさをもとめてしまう。
だからこの作品がとても好ましく思えるのだった。


「怪人スケレトン博士」
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目次と人物紹介。自動地震装置をこしらえ、地震を繰り返す博士。迷惑すぎるよな。


「大宇宙の恐怖」
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けっこうキャラがかぶっているようにみえる。
こういう色彩設計、今は逆に出来ないそうだ。


ああ嬉しかった。
ところでモリ・ミノル=小松左京と知ったのは松本零士が何かで明らかにしたからだった。
旧いマンガコレクターでもある松本零士にはその意味でもとても感謝している。

さて色々とプロデューサーとして活躍する中で、NHKのジュブナイルものに参加している。
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作品は資料としては知っているが、これまた現物を見たのは初めて。


映画「復活の日」
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世評は良くないが、中学生のわたしは当時大変感動した。
若い頃の草刈さんの美貌にもときめいたし、この映画に関するいろんなエピソードを今も忘れない。
英語の習得の苦労話、南極へ行く船が事故に遭ったことなどなど…



予告編が三本も流れてくれたのも嬉しい。

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このシーン、好きでしたわー


「日本アパッチ族」のコーナーがある。
これはやっぱり大阪的と言うかなんというか。
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開高健「日本三文オペラ」
開高健作品のパロディとしての位置付けらしい。
戦後この地で鉄を盗むヒトをアパッチと呼んだ。
二人は戦中戦後少年の大阪人なのでやっぱりリアルにこのアパッチを見ている。

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今も時折ここらから不発弾が出て処理する話もある。
わたしがここらに行くと言うと「アパッチに行くんやろ~」とふざけたことを言うヒトもいる。
みんな古い奴ら。


1989年に小松左京原作のアニメ化があった。キャラ設定はいしかわじゅん。その映像が流れている。全然知らなかった。
それから万博の総合プロデューサーとしての仕事も紹介されている。
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こちらは遺愛の品々。
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小松左京の予言がいくつもあたる現代。
もう今の日本にも地球にも先はないのかもしれないが、それでも小松左京がたとえば「日本沈没」で日本人になんとか希望を持たせようとしたことを忘れてはいけない。

興味深い展覧会だった。
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