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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

「琉球 美の宝庫」  その2

先般わたしはツイッターでこう書いた。




その尚王家の栄光と苦難を踏まえつつ、この章をみる。

イメージ (1262)

第3章 琉球国王尚家の美
尚家について最初に知ったのは前述のとおり「新八犬伝」に挿入された「椿説弓張月」の話からだが、マンガでは原哲夫「花の慶次」からだった。尚寧王が作中に登場するのだ。
そしてその尚寧王のことを思うと、インカ帝国の最後の皇帝アタワルパがスペインによって殺害された事件とどうしても自分の中では絡んでしまう。
無論この場合、スペインは島津家ということになる。

タイミング的に本物の王冠は見れなかったが、復元品を見た。これも本当に素晴らしいもので、やはり中国の影響が強いものだと思う。

黄色地石畳模様衣裳 一領 第二尚氏時代 18~19世紀 那覇市歴史博物館  綺麗な装束で、この黄色は王妃、王女のみ着用が許されているそうだ。
黄色は貴色即ち尊い色なのだ。これは中国から渡ってきた思想で、古代日本でも白鳳時代などでは活きていた。
この装束は夏向けのものだそう。

さてここから食器が現れるが、全てが国宝の食器であり、あまりに豪奢な装飾に満ちていて、ただただ呆然と眺めるだけになってしまった。
見た限りは中国の工芸の影響が強いように思うが、あまりの優美繊細さに見惚れるばかりになった。
凄すぎる…
美御前御揃 一具 第二尚氏時代 15~18世紀 那覇市歴史博物館 このセットは7点あるが、何もかもが廃れることなく美麗なまま。
伝世品として大切に守られてきたことを改めて思い知る。少しずつ違う時代のものもあるが、三百年ばかりの間に使われてきた数々にふるえる。
目の前にあるものと文字情報とがアタマの中で分離して、とうとう一緒にならなかった。

金杯
銀杯洗
托付銀鋺
銀脚杯 大:二口 中:二口 小:二口
御玉貫
朱漆巴紋牡丹七宝繋沈金御籠飯
朱漆巴紋牡丹七宝繋沈金足付盆 大:三基 小:一基

御玉貫はビーズがみっしり。とてもきれい。
朱漆巴紋牡丹七宝繋沈金  最高水準の技巧の塊でもある。どこまでも繊細で丁寧で凄い技術の賜物。
赤に金のキラキラがいつまでも目に残る。

セットではないが、同じ技法で作られたものが他にもある。
朱漆巴紋牡丹沈金馬上盃  台もあるが孔付きでけん玉を半円にしたような形。

黒漆雲龍螺鈿東道盆  龍の爪は5つなので位が高い。いろんな色の夜光貝を使用している。なんだかもうよくわからないくらい凄い。

黒漆葡萄螺鈿箱 一合  形が面白い。そうなのか。そして隙間なく美で満たされている。

最も位の高い神女たる聞得大君ゆかりの簪がある。
聞得大君御殿雲龍黄金簪  非常に重たそうな黄金の簪で龍が刻まれている。身分の高さがそこからも読み取れる。

御絵図帳 七冊のうち二冊 第二尚氏時代 18~19世紀 那覇市歴史博物館  これは衣裳の意匠ノート。織物。絣に間道など。

尚王家の栄華の一端をここで見たように思う。

第4章 琉球漆芸の煌き
ここでも前章童謡の素晴らしい工芸品を目の当たりにするのだが、しまいにもう何が何だか分からなくなってきた。
東アジアの美の粋を目の当たりにした、というのがいちばん近いかもしれない。
後日三菱で「ショーメ」展を見るのだが、西洋の美も東アジアの美も、極限に行くと表現は違っても同じく「綺麗」という言葉に尽きてしまうのを実感した。
言葉を尽くして表現しても、現物を前にしてしまうと、まだ不足しているように思い、常に不安になる。

黒塗菊花鳥虫沈金丸外櫃及び緑塗鳳凰雲沈金丸内櫃 二合 第二尚氏時代  このお櫃こそが実は展覧会の最初に現れるものだった。
西暦1500年、八重山の反乱に神女・君南風が従軍し、その褒美として賜ったもの。
内櫃は状態のよくない個所もあり、見ようによっては銅色に見えもするが、それがまた魅力的でもある。
外櫃は蝶、トンボが可愛らしい。
 
潤塗花鳥箔絵密陀絵丸形食籠 一合 第二尚氏時代 16~17世紀 浦添市美術館  これもとても綺麗。赤地の漆に油の絵。
椿が可愛らしい。

黒漆葡萄栗鼠螺鈿箔絵箱 第二尚氏時代 16~17世紀 浦添市美術館  二つあるがどちらも可愛い。小さいリスたちの活躍。

朱漆椿密陀絵沈金椀 一口 第二尚氏時代 16~17世紀 サントリー美術館  椿の質感が、いや花のではなく椿油の質感をここから感じた。

朱漆竹虎連珠沈金螺鈿座屏 一基 第二尚氏時代 17~18世紀 浦添市美術館  雀に虎に…竹はへだたりにはならない。

螺鈿のあまりの煌めきに、見るわたしの目までがきらめいた。

黒漆花円文螺鈿合子
黒漆騎馬人物螺鈿箱
黒漆葵紋螺鈿箱
黒漆山水螺鈿印籠
黒漆樹下人物葡萄螺鈿沈金八角食籠
黒漆花鳥螺鈿料紙硯箱

あまりに綺麗なものを見つめ過ぎると麻痺してしまうので、いつものように少しの時間目を閉じ、それから不意に眼をあけた。
すると目の前には新しい美が待ち構えていた。

黒漆花鳥螺鈿料紙硯箱 一具 第二尚氏時代 18~19世紀 浦添市美術館  闇の中の煌めき。閉じられた庭園。
鶯らしき鳥が来る・行くという様子を見せている。
ふと「十九の春」の歌詞が蘇る。

黒漆山水楼閣人物箔絵革箱 三合 第二尚氏時代 17~19世紀 サントリー美術館  ベースが木なのを思い出せない。銅色に輝く黒漆。どうやったらこうなるのだろう。

エピローグ:琉球王国の記憶
フィールドノートだ。
琉球芸術調査記録(鎌倉ノート) 鎌倉芳太郎 八一冊のうち四冊 大正時代末~昭和時代初期 20世紀 沖縄県立芸術大学附属図書・ 芸術資料館  手の刺青を写している。アイヌの人々と琉球の人々とは近代までこうして人生の中で刺青を入れてきている。
鎌倉芳太郎の熱心な仕事ぶりをみた。

琉球の神道が美の側面を支えているのを感じた。
芹沢けい介、前田藤四郎らの琉球に魅せられた人々の仕事はなかったが、いつか彼らの憧れの根源となった琉球の美を紹介するような形での「琉球 美の宝庫」の続編を見たいとも思う。
よい展覧会だった。9/2まで。
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