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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

描かれたどうぶつたち その1 「動物たちの息吹」

毎夏恒例のホテルオークラでのチャリティーイベント「秘蔵の名品 アートコレクション」展も今年で24回、干支でいえば二回りして、とうとう一旦休止になるそうだ。
その最後の夏の楽しみは「動物たちの息吹」として、動物の出てくる絵が集まった。

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いい展覧会だった。
終わった今になってもこうして楽しい気分が蘇る。
もっと早く感想を挙げたかったが、なかなかそうもいかなかったのが無念でもある。
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表紙のこの虎たちは普段は京都の千總に暮らしている。
岸竹堂の虎。
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ロングになると虎猫のコミュニケーションのようだ。

ゲインズバラ、ライスダールらの牧歌的な風景の中にのんびりした姿をみせる動物たちに始まり、大方は日本画の動物たちが場を占めている。
東アジアは愛情や尊崇の念を込めて動物を描くことが多いので、やはりこういうラインナップになる。

虎は実際に見ないまま描く人が多く、リアルなのを描いたのはやはり竹内栖鳳からだと思う。
その前代の岸竹堂の虎はかっこいいが、「カッコいい虎」を描こうとし過ぎた感じもする。
虎だってみんながみんな別にカッコいいわけでもないのだ。
カッコいいのも、どうみてもぐーたらな虎も虎の一部なのだから。

虎絵師の大橋翠石の絵もある。勇猛果敢とでもいうのか雄々しい虎ばかりだが、この時代はそういうのが好かれたんだろうなあ。
「虎は千里を走る」とかいろいろ。

山本芳翠も虎を描くが、この虎はあれだ「山月記」の李徴ですがな。
「隴西の李徴は博学才穎、天宝の末年、若くして名を 虎榜 に連ね、ついで 江南尉に補せられた」…
虎になった男、自意識過剰なのはもう本当にシンパシー感じる。

芳翠の虎は神戸市立博物館にもいて、こないだは小磯記念館に出張し、案内ホスト役もしていた。

ところで虎と言えば奥村政信の虎はなかなか働き者。
和唐内の子分になってからはその老母を乗せたり骨惜しみせずよく働く。
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お座敷遊びで衝立から和唐内と虎とお婆さんの出てくる「虎拳」というのもあった。
そうそう、石川淳「おとしばなし 和唐内」では虎は戦争したがる和唐内と義兄の甘輝将軍に愛想を尽かし、かれらが酔っぱらったすきに、錦祥女と共に見世物でもしながら楽しく生きて行こう、と出ていくのだった。

明治座の山口華楊「黒豹」もある。
これは1991年に阪神百貨店で「明治座所蔵 近代日本画名作と傑作芝居絵」展で初見。
絵は1頭だが、2頭いるのもある。
1992年京都文化博物館「動物に魅せられた京の画家 岸竹堂・西村五雲・山口華楊」展でも彼の描いた動物たちを堪能した。
やっぱりこういう動物画展に彼の作品があるのは嬉しい。

今回は猫成分にいいのが集まったような気がする。
菱田春草の黒猫さんが二枚ある。
焼き芋屋さんのクロちゃん。
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この柿の木から降りてくるのは随分前に東京美術倶楽部でみたのが最初。
あの時こんなことを書いた。
「猫は自在なイキモノだ。生物せいぶつというより、ナマモノかもしれない。」
今もその思いは変わらない。もう12年も前の話だが。

そして今回はおかきやさんから黒猫登場。
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もうほんと…かんにんして、こんな可愛い奴…
グッズ売り場でも人気者でしたわ。けっこうなことです。

どちらも黒猫にドキドキしたが、実はその上の丸々とした柿がまたおいしそうなのですよ…

藤田や関雪の猫もいて、豪勢なネコ科コーナーでしたな。
そして猫と言えば犬もいるわけで、こちらはもう応挙と芦雪ですな。

芦雪のわんこには坊やたちも一緒。
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迷惑そうなわんこがまた可愛い。
これはMIHOさんの芦雪展で見たのが最初。同志社所蔵というのも面白い。

小倉遊亀 晴日 こちらもわんこがいるが、気持ちよさそうに眠っている。柴犬らしいな。
ここは遊亀さんの大磯の家の庭だそう。
この柴犬は他の絵でも登場していた奴と同じかと思う。
そしてなにより画像では到底再現できないほどの様々な緑が使われているのが素晴らしい。
全て異なる「みどり」色。
和のみどり色はたいへんたくさんあるのだが、そのうちのどれくらいのみどりを使ったのだろう。
その贅沢なみどりの中でわんこが気持ちよさそうに眠る。
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鳥篇へ。
石崎光遙の孔雀図がある。茶色っぽい羽根のインドクジャク。
羽を開く孔雀と飛んでくる孔雀と。
羽を開くのは大体午後三時頃。飛ぶ孔雀はセンソーサ島のバス停で見た。
シンガポールは暑いからフリーな孔雀もいるのだ。
びっくりしたなあ。

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山口蓬春は場面を同じに数を変えるというのをけっこうしていて、紅葉したところへ現れる小鳥も一羽のもあれば二羽いるのもある。二羽いる方が山種のだったかな。ここにあるのはJR東海の関連か、一羽な。

こちらは華楊の寒椿。雪持ち椿にメジロがかっこよく滑空。
所蔵はあいおい保険。
随分前にどこでだったか、あいおい所蔵の絵と工芸を見たが、見事なほど「椿」ばかりだった。
椿好きなわたしとしては嬉しくて仕方なかった。乾山の椿の器もたくさん持っていた。
絵もこのように一輪でもいい椿が咲いていれば。
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今回もとても魅力的なラインナップだった。
今回で一旦停止とは淋しいものだ。
だが、いつかまた必ずどこかで再会できるはずだ。
待とう。
全てのスタッフの皆さん、作品を貸し出してくださった企業・団体の皆さん、本当にありがとうございました。
また会う日までお待ちしています。

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