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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

「大和文華館の中国朝鮮絵画」をみる

大和文華館は10/6から「高麗」展という大掛かりな展覧会を予定している。
高麗建国1100年という区切りからの特別展で、東洋陶磁美術館も既に「高麗青磁」展を開催している。
なお高麗美術館は30周年記念特別展「鄭詔文と高麗美術館」を開催しているが、これとても名品が揃っているので、三館を回るのもよいと思う。

さてその「高麗」展の前に「大和文華館の中国・朝鮮絵画」展が開催されており、こちらはこちらで名画が集まり、見るのが楽しい展示なのだった。
例によって行くのも書くのも遅いので、こんな終焉間際に感想を挙げるが、台風も近づいているとはいえ、行ける方はぜひとも、と思う。←いや、もうだめかな。
イメージ (1341)


・山水を描く
正直なところこの分野は「風景に人がいない、いてもぽつんぽつん、さみしい、こわいよー」というキモチがある。
北摂育ちのわたしにはあまり好みくないものなのだが、やはり長年多く見るうちに少しはその良さというものがわかるようにはなってきた、と思う。
大和文華館ほまれの名品が並ぶ。

秋塘図 伝趙令穣 中国・北宋時代
イメージ (221)
いつみても晩秋から初冬の良さがある。
これを見ると因幡晃「わかってください」のアルバムにある「あの唄」という歌を必ず思い出すのだった。

そして修復も済んだ国宝の名品。
雪中帰牧図(双幅) 李迪 中国・南宋時代



明皇幸蜀図 明  玄宗皇帝が安禄山の乱で蜀まで逃げたときの様子。元本は故宮にあるそう。その模写。

物語絵が好きなのでこういうのを見るのは楽しい。

文姫帰漢図巻 明  今回18拍のうちから最初の4拍が出ていた。
1.匈奴が押し寄せて蔡家の家財を奪うだけでなく、令嬢の文姫を見出す。
2.ベールつきの帽子をかぶった文姫が馬に乗せられ一群と共に都を去る。
3.既に匈奴の地にあり、天蓋の中、隣に匈奴の王がいて、彼女をみつめ話しかけるが、無論言葉は通じず、文姫は打ち沈むまま。
4.侍女と共に天蓋の外で月を見上げる。侍女の手には都から何とか持ち出してきた彼女の琴がある。

1と3で文姫の髪型が違っていることに初めて気づいた。漢民族の髪型から胡人のお下げに変わっているのだ。
それをみて、マリア=アントニアがウィーンからパリへ輿入れにきたとき、髪型から衣裳まで全てフランス式に変更させられる様子を想った。彼女はその地点からマリー=アントワネットになったのだ。

この絵は明代のものだが、風俗は北宋と遼のものらしい。
異民族との関係は色々と難しい。

イメージ (1342)

望気図 張路 明  「龍袞」をつけた天子、芭蕉を持つ少年、そばには木に絡む垂れた植物、どこかの山の上から気を見ている。
ここでは「龍袞」と説明があるが、コトバンクでは「こん りょうの ぎょい 【袞龍の御衣】」とある。
要するに龍マークのアップリケのついた礼服。王様の印。

ここから暫く墨絵の山水画が続くのだが、どうもじーっと見れば見るほど違うものが見えてくる。
錯覚・錯視の類なのだが、もともと空目は多いし、すぐ妄想するのでなかなか修整が利かない。

越中真景図冊 張宏 中国・明時代  久しぶり。中でもこの絵が好き。
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ほかにも遊園地の急流すべりのような絵もある。細かい作画で、ヒトの姿も小さいが賑やかでいい。

太平山水図集 蕭雲従原画 劉栄・湯尚版刻 中国・清時代1648年  元の絵と模本とが並ぶ。非常に細密。

山水図冊 楊晋 1700年  この画集も墨絵、モノクロなのでわたしは元とは違うものを見ているかもしれない。
果てのない山道を延々と行く人々の群れ。天国への道か。山中他界?
不意に現れたような岩山。背景がないので、突如という感じが強い。
どこかシュールだ。

煙寺暮鍾図 伝安堅 朝鮮・朝鮮王朝時代  「峨峨たる」と言うべき山々の様子。八景図の一つなのだが、趣は違うように思えた。

台湾征討図 1765年  乾隆帝の時代か、台湾を責める清軍の様子が4シーン。…加油台湾!!!

冠岳夕嵐図 鄭敾 朝鮮・朝鮮王朝時代  薄い青の画面にジャンクが浮かぶ。ああ、綺麗だな。
作者は粛宗2年から英祖35年まで生きた人らしい。
おおおおお、「トンイ」だーーーっと一人吼える。


・植物を描く

墨竹図 詹景鳳 中国・明時代  白いなあ…

墨菜図 栖巌鳳臣 中国・清時代  白菜が出ている。

梅花牡丹小禽図 孫億 1710年  みんな白い花。小鳥は青い羽根に赤い足首。
  
葡萄図 李継祜 朝鮮・朝鮮王朝時代  よく茂る。これはそのまま工芸品の図様になりそう。

・人の姿を描く

仕女図巻 伝仇英・文徴明詞書 中国・明時代  だいすきですよーブランコしたり蓮採りしたりいろいろ。
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なかなか態度も…
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楽しいわ。

閻相師像 伝郎世寧 中国・清時代  イタリアに発注したんだったかな。出たーと言う感じ。

美人弾琴図 中国・清時代 蘇州版画  子供もいて女二人がにこやかに。めでたい図。 

寿老図 金明国、金義信賛 朝鮮・朝鮮王朝時代  大きいでこやなあ。

聴松図巻 王翬・楊晋合作 1700年。これは張学良旧蔵品だったそう。静かな林の中で佇む二分刈のおじさん。

明妃出塞図巻 明  ラクダの乗る車に乗せられる王昭君。細密な絵。付き従う胡人の兵が掲げる旗の文様が妙に可愛い。
雲に乗る虎が立ちあがってヤッホーな図なのだ。

六道図 元  マニ教のだと近年の研究でわかったもの。マニを中心にしたもの。下部には地獄、修羅道など。
そして処女神ダェーナとそのおつきがいる。
マニ教についてはほぼ知らないが、とても気になる。

今回も面白い展覧会だった。
しかし哀しいことに台風のために大きな松が折れているのを見た。
今度も大きい台風が来るようなので、被害が少ないことを願う…
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