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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

建国1100年 高麗 金属工芸の輝きと信仰 その1

大和文華館で「建国1100年 高麗 金属工芸の輝きと信仰」展が開催されている。
イメージ (1436)

丁度いま東洋陶磁美術館でも「高麗青磁」展が開催されているので、高麗で生まれた名品を特別展示する展覧会がこの秋を彩っている。
既に東洋陶磁美術館「高麗青磁」の美に溺れ、その顛末はここに記している。
感想 その1  その2

「高麗」と書いて「こうりょう」と読ませる「高麗美術館」、奈良の「寧楽美術館」もまた高麗時代の文物を中心にした展示をしている。
いずれも魅力的な内容である。

もともと関西は戦前から中国、朝鮮の美品を愛してきたので、名品がこのように他の地より多くあるようだ。
そしてこの大和文華館の展示には徳川美術館、東京国立博物館、奈良国立博物館、根津美術館、京都国立博物館、大阪歴史博物館といった名だたる美術館が協力して、素晴らしい作品を貸し出してくれて、大和文華館では1100年前の華麗な文化の華が咲きこぼれているのだった。

個人的なことを言えば、わたしはやきものはやはり高麗青磁が最高峰だと思っている。
昭和の末頃、オジが数年間技術提携で向こうに行っていたが、帰国の度に素晴らしい土産をもたらしてくれた。
その中には今出来の高麗青磁の模本がいくつもあり、これは今みても本当に見事な出来栄えで、惚れ惚れする。
千数百年前の技能の美を後世の者が愛で、往時の華やかな世を想う。
良い展覧会が開かれてとても嬉しい。

展示室に入るとⅩ形の何か掛物らしきものがあった。前掲のチラシの下部のそれである。
鉄地金銀象嵌鏡架 愛知県美術館(木村定三コレクション)  ところどころ廃れているが、しかしかつての美は多くとどまり、往時の豪奢な様子を思わせた。
だからこそあの木村コレクションのひとつなのだろう。
金属製品の劣化は不思議な面白さを見せることが多い。
これは鉄に金銀を象嵌しているが、銀製鍍金も施されているので錆などはない。

金属製品の変容は「経年劣化」の一言では表現できないと思う。
たとえば釜である。
釜は底が朽ちると新しく一回り小さな底に付け替える。
その処置を受けて復活し、愛らしい「尾垂」となる。可愛くてならない。
そうはせず腐食したまま置いたとする。
すると赤黒く朽ち始める。その壊れが目を惹く。
釜がゆっくり滅びてゆく姿を見るとき、九相図をみるような無常感と、ある種のときめきとを覚える。
それだけではない。
青銅が本来の色を失い、緑青に全身を覆われたとき、新たな美を獲得する。
輝きを捨てたことで静謐な美が生ずる。

カナモノは死なない。
業火により死と再生とを見せもする。

1. 花開く高麗の文化
大方広仏華厳経 10/24迄に行けば徳川美術館所蔵の巻4を見れたが、あいにく行けなかった。
今回は大和文華館所蔵のなじみの35と36である。
イメージ (1444)
紺紙金泥着色。
二年前、白に金の物凄く綺麗なものをみた。同時に褐紙金字の橡色のもみた。
高麗仏画-香りたつ装飾美
当時の感想はこちら

しかし普通に見てきたのはここの紺紙に金の絵の華厳経の見返し絵なのだ。
丁度十年前にわたしはこう書いている。
「各帖31.0×11.0の連なり。表紙絵は仏楽土。釈迦だけ肉身を彩色されている。多くの仏たちは金の線描。文字は肉太で雄渾ながら、まとまっている。なかなか迫力があった。前田家旧蔵というが、なんとなく納得する。」
宋元と高麗 東洋古典美の誕生 2
当時の感想はこちら

今回は描かれた絵の意味を追った。
…何故か水に流される人。冶金シーンもあるそう。これらは教わらないとわからないままだった。
イメージ (1438)
そうか、冶金か。びっくりした。
なるほど、今回の展覧会が金属工芸メインなのとリンクするな。

この章ではほかに青磁象嵌の可愛い器、数年前に大和文華館に仲間入りした菊唐草文小箱などがあった。
12080101.jpg 小さくて可愛い。

2.信仰の美―舎利容器の系譜
統一新羅の金堂舎利容器一式がある。
鍛造である。中には鍍金されたものもある。塔がずらりと並ぶ文様のものもある。

塔型の舎利容器だけでなく、どうもミニチュアの家に見えるものもあった。明器とは違うがこうしたミニチュア風な形のものはどういった考えで選ばれたのだろう。

金銅八角舎利容器 1323 元と関係が深かったころの容器だとある。年号の刻みが「至治三年」1323銘。そこからわかること。

イメージ (1442)

3.信仰の美―高麗の荘厳具
鍛造、鍍金、鋳造といった金属工芸の技術オンパレード。たのしい。

高麗は観音信仰の国だった。それは前述の「高麗仏画」展でも示されている。
だから金属工芸も観音にゆかりの品々が少なくない。

銀製鍍金観音菩薩・毘沙門天像小仏龕 東京国立博物館
イメージ (1445)
二人仲良く並んでこの中にいる。実はサイズはとても小さい。5.6x4.3x0.85というミニサイズ。それでこの濃やかな表現。
東アジアの精密さにはいつも感心する。ガワは銀製、鍛造、中は鍍金。

観音と毘沙門のコンビは人気だったのか、他にもいくつかあった。どういう信仰の流れの中でのことなのだろう。

五鈷鈴が二点。銅製と金銅製。どちらも鈴の部分に四天王図がある。
観音のみならず四天王もとても好かれたらしいな…

水月観音図 大和文華館  ここのは善財童子がとくに愛らしい。

水月観音とゆかりの浄瓶が並ぶ。
銅製銀象嵌柳水禽文浄瓶 zen638.jpg

zen638-1.jpg

線描がとても素晴らしい。

仙盞形水瓶  注ぎ口に蓋がついている物。…潔癖症の泉鏡花もこれなら喜んだかもしれないなあ。。。

志貴形水瓶  そう、信貴山にこの形のがあったことからの命名。文化遺産オンラインの説明ではこうある。
「頸部が鼓を立てたような形を呈し、胴部はふっくらとした円筒形で、底に低い高台を設けた水瓶。長い注ぎ口と把手を有し、蓋には獅子形の鈕を据えている。」

よいものが次々と現れるので、続きは次回。
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