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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ルーベンス展 ―バロックの誕生 その2

ルーベンス展の続きの感想。

・英雄としての聖人たち ― 宗教画とバロック
ルーベンスだけでなくほかの画家の宗教画も並ぶ。
宗教画の元々は民衆教化のためのものだったが、画家の表現の場として成立すると、異教徒のわたしなどもときめく仕儀となる。

ローマの二世紀前半の女性胸像の綺麗なのがある。
これまたどうやらルーベンスの勉強になったようで、その面影を宿した絵があった。
聖ドミティラ 1607年 ベルガモ、アカデミア・カッラーラ  実際にはこの聖女はいないというか未確認らしい。ただ手に棕櫚を持つので、これで殉教者(という決まりがあるので)確定だという。
像に似た綺麗な女性。

全然関係ないが、今の言い回しで思い出したことがある。
宝塚歌劇出身の女優・有馬稲子さんは若い頃「宝塚三大美人」の一人だった。それがあるとき、某劇作家から「君はインドゾウに似てるねえ」と言われ「あらわたしギリシャ像に似てると言われてますよ」と返したところ、「ギリシャにゾウはいたかなあ」…話が全然かみ合わない。

天使に治療される聖セバスティアヌス 1601-03年頃 ローマ国立古典美術館、コルシーニ宮  そう、矢を射かけられて血まみれのセバスティアン。彼の本当の死因はここで死ななかったので撲殺なのだが、死ななかった原因は天使に治療されたから。
天使たちみんなで医療チーム組んでせっせと働く。

シモン・ヴーエ 聖イレネに治療される聖セバスティアヌス 1622 年頃 ミラノ、 ジャンルイージ・コンドレッリ・コレクション こちらは美人な聖女に治療されているところ。
デレク・ジャーマンの映画ではありえない情景となる。

アベルの死 1617 年 グリーンヴィル、ボブ・ジョーンズ大学美術館  丸まって死んでるのだが、構図が面白い。ところでこれは「アベルの死」となっているが、以前はヨハネだったのがアベルになったそう。後世の人の手が変身させたそう。
あ、犬来た。これで哀しげにクゥンとか鳴いたらこちらもきゅんとくるが、「うまそう」になると「九相図」だ…

二枚のキリスト哀悼図。
1601 - 02 年 ローマ、ボルゲーゼ美術館  皆嘆いている。キリストはもう殆ど全裸に近い。石棺の彫刻はちび天子と炎か。茨冠はそこに落ちている。
1612 年頃 ファドゥーツ/ウィーン、リヒテンシュタイン侯爵家コレクション  ベッドに横たえられる遺体。母マリアがその瞼を閉ざしてやろうとする。右端の女の絶望感が深い。

これらの作品に影響を与えたらしい彫像があった。
フランチェスコ・フェッルッチ(通称デル・タッダ) 瀕死のアレクサンドロス大王(ウフィツィ美術館作品の模作) 16 世紀後半(1585 年以前) フィレンツェ、貴石研究所  かなり大きい首。茶赤い斑岩で白大理石の白布つき。
しかしこの像は造形の美より石としての貴重さでここに収蔵されてるのかしら…

そして復活の日。
死と罪に勝利するキリスト 1615 - 22 年 ファドゥーツ/ウィーン、リヒテンシュタイン侯爵コレクション  後世の補修が激しすぎるらしい。確かに雰囲気が違いますわ。骸骨や蛇を踏んで復活のイエス。

それにしてもルーベンスのマッチョ好き。いい肉体ばかり。ときめくなあ。
わたしは安彦良和さんの描く太腿が最高なんだが、きちんとした観察眼があっての描写はやはりいいなあと思う。

聖アンデレの殉教 1638 - 39 年 マドリード、カルロス・デ・アンベレス財団  X十字の磔刑か。そういえば聖アンデレの十字っていうのはこれか。最近使徒たちがどうしても「聖☆おにいさん」の彼らのヴィジュアルで浮かんでくるのだよな。
だからついつい「えっアンデレってこんなお爺さんだった??」と思ったり。
イメージ (1487)

さてヘラクレスとヴィーナス特集がありまして、どちらも肉体美がよかった。
ブットーたちが甲斐甲斐しかったり。
この辺りはもう楽しく眺めるばかりでしたわ。
とはいえスザンナに挑む爺どもは粉砕してやりたいな…

パエトンの墜落 1604 - 05年頃、おそらく1606 - 08年頃に再制作 ワシントン、ナショナル・ギャラリー
群れをたいへんうまく配置し、決してうるさくならないところが凄い。
イメージ (1488)
バロックの良さと言うのはやっぱりこういうところかもしれない。

二枚のサムソン。
ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ 獅子を引き裂くサムソン 1631年頃 
ジョヴァンニ・ランフランコ 獅子を引き裂くサムソン 1633 - 38年頃 ボローニャ国立絵画館
前者は成人サムソン。後者は少年サムソン。獅子もサイズが小さくなる。

マルスとレア・シルウィア 1616 - 17年 ファドゥーツ/ウィーン、リヒテンシュタイン侯爵家コレクション  巨大。タピストリーの下絵らしい。ヴェスパの火を守る巫女。そこへ彼女に恋したマルスがやってくる。二人の間に生まれたのがローマ建国のロムルスとレムス。火はスフィンクスの台の上で燃える。
イメージ (1485)
小さいサイズの絵もあるどちらもファドゥーツ。

スフィンクスの表情がいい。イメージ (1491)

ヴィーナス、マルスとキューピッド 1630年代初めから半ば ロンドン、ダリッチ絵画館  こちらのマルスはヴィーナスの恋人。そのヴィーナスがキューピッドに授乳中。優しく見守る。でもまあ色々変な疑いが浮かぶよね・・・

ローマの慈愛(キモンとペロ) 1610 - 12年 サンクトペテルブルク、エルミタージュ美術館  これはあれだな、ローマ版二十四孝ですなあ。

エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち 1615 - 16年 ファドゥーツ/ウィーン、リヒテンシュタイン侯爵家コレクション  これも大作。女たちの肌の綺麗さに引き寄せられる。
イメージ (1489)

豊穣 1630年頃 東京、国立西洋美術館  太陽にも顔がある。ブットーたちが可愛い。

肉付きの良さに親しみを懐いているのだが、そこへもう一人肉付きよしの画家も登場。
ルノワール ルーベンス作《神々の会議》 の模写 1861年 国立西洋美術館(梅原龍三郎氏より寄贈)  すごいなあ。ルーベンスの絵を模写するルノワールとそれを貰った梅原というつながり。
本当に豊饒。

ルーベンスの工房、改めてこのシステムもいいなと思った。
さいとう・たかをさんみたいだし。
とても実業家としても外交官としてもよく働いているのも好ましい。

肉体美をとても楽しめた。
イタリアとのかかわりを全面に押し出したこの企画は素晴らしいと思う。
とてもよかった。

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