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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

芹沢銈介のイラストレーション

型染作家として文化勲章を受章し、フランスでも大きな人気を得た芹沢銈介。
以前に高島屋で展覧会を見て、その染物の良さのみならず、燈籠や行灯にも大いに惹かれた。
以前から静岡県の登呂遺跡の近くに彼の美術館があるとは知っていた。
チラシが案外手に入ったのである。
またどういうわけかそのコレクションの一端を示す絵はがきの良いのも幾葉か手元にある。
しかしなかなか遠くて行く気にならなかった。

ではこのまま無縁でいたか。
いや、そうはならなかった。
イメージ (1449)
こんなチラシを手に入れたら、やっぱり出かけずにはいられない。

しかもこんな情報まである。
芹沢銈介自宅公開
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挿絵と建物と。
二つも好きなものが揃っていて会期末が近いと言うので、急遽静岡へ向かった。
建物や登呂遺跡については別項にまとめて、ここでは芹沢銈介の挿絵仕事に絞りたい。

イメージ (1450)

何という愛らしさか。
しかもこれはフランスのエスプリと言うものを感じさせる作品群。
この二枚分は芹沢を民藝の世界へ招きよせた柳宗悦が出す雑誌の為の仕事だった。

芹沢の装幀いろいろ
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絵はがきセットの袋おもて
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「絵本どんきほおて」は以前から見ていた。
絵本はもともと受注制作で、外人のドン・キホーテコレクターが希望したものだった。そして作品の出来栄えは非常に良く、コレクターは大喜びしたそう。
実際巧い翻案だと思う。後世のわたしなどでも「こう来たか…!」とくる。

そうこうするうち小説の挿絵を始めた。
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佐藤春夫「極楽が来た」である。朝日新聞に連載の法然上人が主要人物のドラマで、今回その挿絵がたくさん出ていた。
とても愛らしい。これらは連載当時モノクロで制作されたが、後に画集として刊行する際に彩色されたようだ。
このあたりの事情についてはこちらのレポートが詳しい。

本の表紙は蓮池(睡蓮池というべきか)で、カラーがよりその愛らしさを引き立てている。
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次いで好評を得たのがこの挿絵。
武田泰淳の武侠小説「十三妹」である。
わたしも「児女英雄伝」は好きで平凡社のを読み、同時期に山川惣治の絵物語「十三妹」を読んだ。
泰淳の原作は当時手に入らなかった。
なので今この挿絵を見てドキドキしている。
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既に刊行されている作品を集めた文学全集が出たときも芹沢銈介は参加した。
泰淳「風漂花」、芥川「鼻」などにいい挿絵を創った。

挿絵はまず読者の目と心を一目で掴む必要がある。
現代は作品の本質と無関係な絵も出てくるようになったが、少なくとも昭和の頃までは確実に挿絵でまず人の心を掴む必要があったので、ある意味扇情的・挑発的・ドキドキハラハラ、「なんだろう、どうしたのだろう」、などと絵の中に物語性が求められていた。
なので、昭和までの本職の挿絵画家、日本画家の挿絵、洋画家の挿絵、版画家の挿絵も型染作家の挿絵も、それぞれ違う味わいがあり、とても好ましい。

それにしても手の込んだ挿絵・カットである。芹沢は決して手を抜かず、この小さな作品世界を大事にして名品を生み出し続けた。

大きい作品と小さい作品とでは構成も異なり制作の方法も変わる。
あまり小さい画面にごちゃごちゃ詰め込むより、簡潔にしないと印象が薄れる。
大きな作品は余白の味わいを考えねば間が抜ける。
芹沢銈介はそのあたりがまた絶妙で、どれを見てもよかった。
これまで何度か展覧会を見ているが、いずれも技能が完成した後の作品しか見ていないことに改めて気づいた。若描きというものを見ていない。なぜだろう。
随分早い段階から自己のスタイルを確立していたからそうしたものはないのだろうか。
年表を見ながら少しばかり考えた。

芹沢は若い人向けの仕事もしている。
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「少女の友」などでも可愛い挿絵を描いているし、読み物の挿絵では珍しくガラス絵で表現もしている。
戦後すぐの作品である。とてもいい。
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他に「アリババ」もよかった。賢い女奴隷の様子がとてもいい。

ところで芹沢銈介は偉大なコレクターでもある。
民藝の人だからか元からなのかは知らないが、日本のみならず世界各国の庶民の間で大事にされた品々を数えきれないほど蒐集した。
わたしなどは昔々ここの美術館のチラシをもらった時、「なぜ自分の作品でなくコレクションの展示なのだ」と思ったりもした。
今回は絵馬などが大量に出ていた。
すごい…
宗教的な作品がたくさんあったが他にも布や面なども多い。

今回はこの李朝の民画の絵ハガキを購入したので挙げておく。
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またここへ行こうと思っている。
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