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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

四季探訪 研ぎ澄まされる四季絵の伝統

大和文華館で江戸絵画を中心とした四季を描いた絵を見た。
イメージ (1470)
岡田為恭の春秋鷹狩茸狩図屏風である。
モノクロだが全長があるので挙げる。
右隻 鷹狩
イメージ (1502)
左隻 茸狩り
イメージ (1547)
キジが飛んでいるのがみえる。

この屏風ともう一点伊勢物語図屏風が季節を二つ描いたもので、四季折々よく遊ぶのがわかる。
八ッ橋で初夏、布引で秋。
平安貴族どころか奈良の昔から四季を愉しむ感性が活きている。

・春の花を愛でる
寝覚物語絵巻  久しぶりに全巻が出ていた。これは5年ぶりかな。
以前はこちら
物語の展開についてもそのまま転用するか。

平安後期の国宝である。今回は物語の展開が詳しく紹介されていた。
作者は孝標女だというが、物語は千年前に大半を失ってしまい、熟成されるのをまたずに世に残されたものがでた。
絵は四枚のこり、文章もそれに沿うている。
描かれているシーンの解説は紫色で写す。

1.姉の夫と冷泉院の二人から愛された寝覚めの上は都をでて行く。世間からは亡くなったと思われたが、実は叔母の斎院のもとで過ごしていた。そんな姿を残してきた息子「まさこ」に見られてしまう。
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屋根を省略し、室内の有様を描く「吹抜屋体」、その空間表現が生み出されたのはすごいことだと思う。
そしてその室内では顔を伏せる女がいて、これが寝覚の上。一方、桜咲く庭では子供らが三人ばかり楽しそうに遊ぶ。一人は笛を吹き、一人は後ろ姿を見せ、一人はこちらを向く。みんな尼そぎ、すなわちやや長めのおかっぱである。

2.藤花と箏の琴の音に惹かれて「まさこ」が冷泉院の女二宮を見初める。
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庭には丸い曲線を描く松の木が見える。室内には箏とその弦にかかる手の先が見える。もう一人女がいて、こちらは欄干にもたれている。そして外には烏帽子姿の若者が佇んでいた。

3.女三宮と恋仲でありながら姉の二宮にも惹かれていることが知られ、「まさこ」は冷泉院から勘当を受け、女三宮との仲も裂かれる。
「まさこ」は初夏の夜に女三宮付けの女房であった中納言の君の里を訪ね、心情を語る。

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庭には細幹に青葉。室内には数人の姿がある。

4.「まさこ」の勘当を解いてくれまいかと冷泉院に手紙を送る寝覚の上。山の座主を介してその手紙を受け取った院は、亡くなったと思っていた寝覚の上からの手紙に涙する。nec744.jpg
丸く剃りこぼった可愛い頭の二人。うつむく座主と泣く院と。小さな動きだが心情がよく伝わってくる。



花卉図扇面  柳、八重桜の取り合わせだけでなく足元には大きなタンポポも菫も咲いている。

玄宗皇帝と楊貴妃が侍女たちにさせた花合戦、光琳が描いたと言われる白梅図の小袖なども加わり、春の華やかで陽気なところがよく出ていた。

・夏の光の中で
草花図屏風 伊年印  巨大な芋の葉、茎が赤い。トウモロコシもある。茄子もイキイキ。

瓶花図 酒井抱一 1815  200余年前とはいえこの時代の感性を好ましく思う人々は多い。
立葵と紫陽花がいい具合に立花。いつみてもいい。前にここで見たのは2014年だったか。

花鳥図 松村景文  牡丹に雀・不要に小禽。いいなあこの和やかさ。
やっぱりわたしなどは上方の人間なので、座敷にかけるのなら景文のあっさりした花鳥画などがいいと思うのだ。

谷文晁 神奈川風景図  広重も描いたあの急カーブに家々が立ち並ぶところ。これは当時の風景だが、神奈川あたりの現在の居住空間を見ると、案外変わっていない気がする。いや進化したというべきか。上に上に家が重なって伸びてゆく。

・四季を揃えて
久しぶりに稲富流鉄砲伝書がたくさんが出ている。金銀泥下絵墨書 綺麗わ…
柳、銀杏に木賊、雪に松、風に吹かれて揺れる秋草もいい。

四季花鳥図押絵貼屏風 渡辺始興  これも好きな屏風で、月次のエントリーされた植物も鳥もほかのいきものも愛しくてならない。
今回は11月のモズが気に入った。

四季山水図屏風 円山応挙  こちらも本当にいい。写生修行による秀でた描写力のもとで、抒情性が活きる。

・秋から冬へ
新古今集和歌色紙 本阿弥光悦 1606  金銀泥に墨で桔梗と薄を描く。とても優雅。

観世流謡本 藍染川 観世黒雪奥書 1606  こちらも上記同様の宗達風な贅沢な作り。薄や蔦が金泥、銀泥で描かれている。
 
武蔵野隅田川図乱箱 尾形乾山 zen973-1
これもいつもの可愛い箱。波が猫の手のように暴れる。そして箱の底には数色で描かれた薄野の様子。

僧正遍昭落馬図 英一蝶筆  秋のある日の一景。こけてはりますがな。

東山三絶図 円山応挙 1786  東山の料亭で遊ぶ三人のいる部屋を捉える。好きな一枚。

鱈図 円山応挙  ああ、この絵を見ると年の瀬が近づいているのだと実感する。
どーんと横倒し。
この絵を見て発句とかすれば楽しそう。
ところで弟子の芦雪にも鱈図がある。串本に収蔵されているが、あっちは縦書きのようだ。

大和文華館もクリスマスまで続くこの展覧会で今年は終わり。
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