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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

グラフィックデザイナー土方重巳の世界

西宮大谷記念美術館で12/9まで開催中の土方重巳展はとても見ごたえのある展覧会だった。
何も思わずに出かけ、その多面的な活躍にときめいた。

土方重巳という名を聞いてもピンと来なくてもゾウのキャラ「サトちゃん」、人形劇のブーフーウー、ヤンボウニンボウトンボウの姿を見れば「あー知ってる」となる。
何十年経っても愛されるサトちゃん、レトロで可愛い人形たち、そのデザインをしたのが土方重巳なのだ。

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チラシ表は黒猫とそのしっぽが目立つが、裏面にはずらりと様々な仕事の様子が。
映画ポスターも手掛けていたようで、野口久光とはまた違う描き手だったことをこの展覧会で知った。

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最初に油彩画がある。
踊り子 1941 この綺麗な人は当時の東宝の女優・御船京子のちの加藤治子だった。
道理で綺麗なはずである。
頭上に薔薇のリング、チュチュの肩紐には赤薔薇、裾の何重にもなった様子。
優雅でとても綺麗。

絵とは関係ないが、加藤治子は晩年まで美しい女優だった。
久世光彦は自身の演出するドラマに彼女を「昭和のお母さん」役として出演させ続けたが、久世の随筆の中で「三四郎」を演出したいという話があった。しかしそれは叶わないし叶えない。
美禰子を加藤治子で見たいというのが久世の願いだったのだ。だが、悲しいことに演劇でならともかくTVでそれはもう出来ない。
それを読んで以来、わたしの中では美禰子は加藤治子になっている。

土方は岡田三郎助の勧めで東京美学校ではなく後の多摩美術大学に進み、そこで新井泉らに学んだ。
学科長は杉浦非水なので、それを考えると後の活躍も頷ける。

やがて東宝に入社した土方はポスターのいいのを次々に拵える。
当時のドル箱タレント・エノケンが主演するシリーズものなどもある。
輸入洋画の名品も多く手掛けているのを今回初めて知ったが、あれもこれもとたくさん現れて、それにもびっくりした。
野口久光だけが描き手ではなかったわけだ。
野口久光の展覧会の感想はこちら。
野口久光 シネマ・グラフィックス 黄金期のヨーロッパ映画ポスター
野口久光の世界

土方の洋画ポスターも気品がありすばらしい。
イメージ (1564)


イメージ (1563)
かっこいいなあ。
ちょっとタイトルを羅列する。
海の牙、石の花、シベリア物語、北ホテル、大いなる幻影、二つの顔、乙女の星、田園交響楽、のんき大将、パルムの僧院、ヨーロッパの何処かで ・・・
みんな彼の仕事だったのだ。



また、文化映画なども多く担当した。綴り方とか色々。国策映画も変わりなく。

バレエと演劇との関係もとても深い。
エリアナ・パプロワの内弟子にもなっている。蘆原英了の本の挿絵も担当したのはそうしたところからか。
そして「伝説の舞姫」と謳われた崔承喜の帝劇での公演ポスターも担当した。
これは昔伝記映画を見たときに使われていたように思う。

それにしても実に守備範囲が広い。

飯沢匡と組んでブーフーウー、ヤンボウニンボウトンボウの仕事も素敵だ。
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絵本「ねずみの王様」もいい。
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可愛いな。
いぬいとみこ「北極のムーシカミーシカ」も彼の絵だったか。

人形の行う様子を撮影したのを絵本にしたものも少なくない。
これらはわたしも大好きで、手間暇はかかるが、ファンは少なくないものだった。
トッパン絵本。ステキだ。

土方はキャラグッズでも活躍した。
こちらは撮影コーナー
佐藤製薬のサトちゃん









他のメーカーの仕事も多い。












ああ、みんなとても可愛かった。

この展覧会は土方重巳と言う多彩・多才なデザイナーを再評価させる良い機会になったと思う。
とても楽しめた。

またいつか見たいと思う。

12/9まで。
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