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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

どうぶつ俳句の森

こういうチラシを見てスルー出来るとは到底思っていないが、それにしては行くのが遅すぎた。
イメージ (1533)
応挙、芦雪、若冲、芳中、芋銭らの描く愛らしいどうぶつと、どうぶつの入った句とが紹介されていた。
可愛くてならない。

伊丹市立美術館内にある柿衛文庫は俳句を専門とした文学館で、これまでにもよい企画展をいくつも開催してきた。
今回の展覧会についてはサイトにこうある。
「私たちはさまざまな動物たちとともに生きています。季題・季語を四季別に分類整理した「歳時記」においても動物に関することばがたくさん見られ、それだけ私たちの生活に深く関わっていることを示しています。蕉風開眼の句として知られる「古池や蛙飛び込む水の音」を詠んだ芭蕉、犬や鹿など多くの動物を描き、俳画の大成者として知られる蕪村、雑誌「ホトトギス」に発表した『吾輩は猫である』が好評を博し、小説家の道を歩んだ夏目漱石。このように俳諧・俳句を中心とする文学作品において、さまざまな動物たちがどのように詠まれ描かれてきたのか、私たちの身近な存在である動物たちにスポットをあてた展覧会を開催します。」

展示と章立てとは実はあまり合致してなかった。
なんでかはしらないが、そのためにリストを見ててもどれがどれに該当するのか探す羽目になった。
こういうのはやっぱり面倒でもある。

第一部 十二支のどうぶつ
まずは集合。
立甫 十二類歌合  それぞれの特性に合わせた文様の狩衣と言うのが結構好きだ。なんだかんだと話し合う干支たち。

公長 芭蕉涅槃図  タコ、フグ、ウサギ、カエルなど芭蕉が詠んだり関連した句に登場する者たちが集まってみんなで芭蕉翁を嘆く。
これでは「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」というわけにもいかなさそうである。
ところで俳句にそれほど詳しくないのだが、芭蕉は目に見えるもののほか、観念的なものを形にするのがうまいなあとつくづく思うようになった。
・蛸壺やはかなき夢を夏の月 「明石夜泊」

こちらは戯れというかなんというか実感だわな。
・あら何ともなや きのふは過ぎて ふくの汁 
・河豚汁や 鯛もあるのに 無分別
いやいや、芭蕉さんタイはタイ、フグはフグ、蟹は蟹でんがな。
面白いブログをみつけたので紹介する。フグにおける芭蕉と一茶の違いについての話。
松尾芭蕉と小林一茶の俳句でわかるふぐへの思い

・猫の恋やむとき閨の朧月
・初雪に兎の皮の髭作れ
けっこうどうぶつ多いね。ところで上田公長といえば逸翁美術館に白猫のいい絵がある。
そんな人が描く図なので、どうぶつたちは皆なかなか可愛い。

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いよいよ個別に干支。
子年
昔の暦がある。鼠の万歳図。正月には万歳と才蔵が訪ねてくる。
鼠の婚礼行列図も可愛い。

丑年
桃を持った仙人風の者がいる。
梅で牛なら菅公か。

寅年
蕪村 四睡図  岩にもたれる豊干禅師、みんなグーグー 虎の身体が実にいい筋肉のつき方なので、みんな気持ちよさそう。

虎と言えば応挙先生。ここにも可愛いアタマの丸々した愛らしい虎やんがいる。

重厚自画賛 酔虎図  へべれけの虎。ベロ出してる。どうもメスらしい。メスで大虎。
飲みすぎはいかんよ。

卯年
蕪村 涼しさに麦を月夜の卯兵衛哉 自画賛 兎図  これは蕪村「月夜の卯兵衛」。これについて詳しくはこちら
ウサギの卯兵衛が杵つき。法被かなんか着てるのもいい。ちょっと面白い顔つき。

「うの春」歳旦一枚摺 季全画 兎図  このウサギは紋付裃姿。紋は何だろう。

何故か辰年、巳年、未年が欠けている。

午年
蕪村 鳥羽殿へ五六騎急ぐ 野分かな  横向きの武者数騎を勢いよく描く。けっこうこれは今のマンガの表現に近い感じもする。カッコいい。

月渓 千金の 句自画賛 馬図  呉春か。

明治になり、体の大きい馬が西洋から入ってきた。
日清、日露戦争に馬が駆り出される。

幸田露伴 斥候の 句色紙  もう「これアオよ、よく聞けよ」ではないのである。

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申年
職人尽句合  右に猿回し、左に調理人が鶴をさばこうとしていた。

中村不折筆・正岡子規「朝寒や」句賛・下村観山 猿の三番叟  これも猿回しの一種か。

白隠禅師 団扇に猿とホトトギス図  けっこう可愛い。

芦雪 樹上の猿  こちらは賢そう。

岡田柿衛「月雪花」句賛 麗画 三猿図  郷土玩具風なエテたちが可愛い。

戌年 このコーナーが素晴らしく充実している。
坪内稔典 老犬を 句色紙  ネンテンさんだ。

蕪村、芦雪、応挙、わんころの大家たちの競演である。
蕪村 狗子図小襖  これ、以前にも見ているが本当に可愛い。鼻白、茶、白の三匹がころころ。

蕪村 己が身の 句賛 応挙画 黒犬図  目鼻はわからず、子犬でもなさそうだが、いい動きを見せているのがいい。

応挙 雪中寒菊狗子図  わんこー!元気そうで何より。

月樵・芦雪 犬図双幅  犬一家をコラボ。のどかく姿とか可愛い。

芦雪 仔犬図屏風  おおおおおっ7対2で左右に分かれるわんこたち。好き勝手なポーズとって…目を閉じる奴もいるし、笑うのもいる。可愛い喃。
本当にこういうわんこ絵って見てるだけで幸せやわぁ。

巣兆 雪明り 句自画賛 人物と犬図  雪道を犬に先導されて人がゆく。

犬コーナーにはめろめろでしたわ。猫派であっても負けます。

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第二部 十二支のほかのどうぶつ
昔の説話ものなどでは歌会のことから戦が始まったりしてたな。

・カワウソ
小川芋銭一択。三種の獺祭。一匹だけ柳を頭上に担ぐのがいた。これはこれでいいポーズだ。可愛い。「ホトトギス」第三十巻第四号に使われたらしい。

・猫
これまたいいのが集まる。
「石なとり」秋色著 英一蝶画  虎猫とぶち猫がくんずほぐれつ。蝶々も飛ぶ。可愛いなあ。線描でにゃあとした奴らを描く。

蕪村 妖怪画巻 猫また  複製だが、これは出ないとね。
例の鍋釜かぶり「おれが腹の皮を にゃんにゃん」と嘲るドヤ顔の猫又さん。いいなあ。

漱石「吾輩は猫である」関連もある。
壁画風なのは「ホトトギス」第八巻第四号。

河竹碧梧桐 猫図  これこそ彼の「我が家の猫」で、鼻黒さん。愛ネコ家。

リボン付きのぶち猫もいる。

山口八九子 温泉図  猫の温泉。気持ちよさそう。別役実と佐野洋子で「ねこの温泉」というシニカルホラー絵本があるが、この猫はそこにも「猫岳の猫」とも無縁そうである。

近藤浩一路 黒猫図  精悍な黒猫でパーツが分かれている。しなやかな黒というのでなく、筋骨隆々。

・鹿
現代の橋本多佳子、加藤楸邨、金子兜太らの句がある。

若冲 鹿図  面白い構図や。

蕪村の句に紀楳亭が絵をつけて「嫁入手」にしたのもあった。
これは鹿のおしりが可愛い。
イメージ (1593)

不白「黄葉ミをちて」句画賛 芳中画 鹿図  ゆるいところがさすが芳中の鹿。


芳中の白蔵主はチラシにあるあれ。
もう一つ別な白蔵主は草中に座り込んでいる。「釣狐」の何とも言えない味わいがだんだんと染みるようになってきた…


パネルで近世風俗画の四条河原図から熊の見世物の紹介。どこのかな、これ。


若冲の目つきが面白い蛙の大きいのがいた。

第三部 さまざまな鳥

イメージ (1598)

鶴、鴬、燕、杜鵑、鵲、鷹、千鳥、白鳥、烏、雀…
一句ずつくらいで集まっていたりした。
そして最後の章をみて納得した。

第四部 岡田利兵衛(柿衛)の洋鳥趣味
なんでも自宅に「岡田洋鳥研究所胡錦園」を開設し、洋鳥を飼育していたそう。
それで後にフランスで叙勲している。
山階鳥類研究所の山階、鷹司(!)と「鳥の会」を結成していたのもいい。
蜂須賀、柳沢、鷹司らと並んだ写真もある。蜂須賀の博物趣味のことを想った。
ここは時折一般公開もしていたそう。
今の「唳禽荘」みたいな感じなのかもしれない。

とても楽しい展覧会だった。
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