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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

大阪市立美術館 コレクション展 2018年12月 辻愛造を歩く 昭和風景アンティーク

大阪市立美術館のコレクション展に行った。
ここは非常に素晴らしい名品を所蔵しているが、それを大々的に宣伝しないのが、とてもはがゆい。
今回は鍋島焼、中国の拓本などと共に洋画家・辻愛造の昭和風景を描いた作品群をみた。

京阪神を描くのにこんな分け方をすることもある。
神戸=版画、京都=日本画、そして大阪=洋画、という分類である。
神戸には川西英を中心として版画の三紅会があり、京都の日本画壇は言わでも、そして大阪には信濃橋洋画研究所などがあり、多くの洋画家が出た。
三都それぞれの違いが面白くもある。

辻は中村不らの太平洋洋画研究所、劉生の草土社を経て帰阪し、重厚な塗と色合わせで、大阪を中心にした関西各地の名所を多く描いた。
わたしなども1990年代にここでたまたま辻の描いたビアガーデンの絵を見て、大正から昭和初期の大阪の一番良かった時代を描いていることを知った。
これまで辻の特集展示には会えなかったので、この機会がたいへん嬉しい。

国画会に絵を出していたのを今回初めて知る。
観たいと思いつつ、殆ど知らないままできたので、こうしたことを知れたのもいい。

風景 1面 油彩・キャンバス 1925(大正14)  いかにも草土社風の風景で間隔を置いて電信柱が並ぶ様子や赤土がいい。

ここからが特定の場所である。
池畔雪景 1面 油彩・キャンバス 1930(昭和5) 第5回国画会展  西宮戎の中だそう。

北野神社観楓図 1面 油彩・キャンバス 1929(昭和4) 第4回国画会展  紅葉狩りの人々を四頭身くらいのサイズで描く。皆さんニコニコ。この当時はお土居の中の紅葉苑に入るのにいくらくらい払ったのだろう。
こちらは初夏の紅葉苑の様子

清水寺の新緑 1面 油彩・キャンバス 1930(昭和5) 第5回国画会展  段下の辺りを描く。カップルが機嫌よく歩く。もうこの頃は「風俗壊乱」なんてこともないわけですな。

京祇園祭所見 1面 油彩・キャンバス 1928(昭和3) 第2回大調和展  いちばんええ宵宵山くらいの夜を描く。何鉾かちょっとわからないがええ感じに灯も入り、お客も楽しそう。
そうそう、この年は村上もとか「龍 RON」でも祇園祭が登場してくるのだ。

金熊寺観梅 1面 油彩・キャンバス 1932(昭和7) 第7回国画会展  なんでも泉南の梅の名所だそう。白梅がもあああと広がる。細部を細かく描くことはなく、筆を寝かせて描く。

黄檗境内秋景 1面 油彩・キャンバス 1932(昭和7) 第7回国画会展  ああ、いい具合の。お寺の周囲の白壁と木々が。それこそ黄檗かな。この時期、いいなあ。

三笠山麓雪景 1面 油彩・キャンバス 1931(昭和6) 第6回国画会展  冬やし木々が淋しい。人々が上ってゆくのをロングで捉える。

稲荷山風景 1面 油彩・キャンバス 1928(昭和3) 第7回国画創作協会展  お稲荷さん。藍色・朱色・白黄色がうまいこと場面を立たせる。鳥居もあるが千本やない。エプロンに帽子と言う洋装の少女も参拝に来ている。

浪花家笠松之図 1面 油彩・キャンバス 1929(昭和4) 第4回国画会展  なんでも住吉っさんの有名なお茶屋さんのぐるっとした松。たまに松もこないにぐるっとなるもんですなあ。

堺萩寺境内 1面 油彩・キャンバス 1930(昭和5) 第5回国画会展  臨江寺というお寺の萩を見に来ている人々。四人ほどが緋毛氈の敷かれた床几に座る。ちょっと「細雪」のような人々。近くには少女が遊んでいる。

千里山菊花壇図 1面 油彩・キャンバス 1930(昭和5) 第5回国画会展  関西大学が出来るまでは千里山の一帯は菊人形も出来たりしたそうな。市松模様の屋根を張った菊見世小屋が点在する場所。菊は確かにこんな感じで見るねえ。

布引夏景 1面 油彩・キャンバス 1932(昭和7) 第7回国画会展  「昔男」の昔から神戸の布引の滝は有名で、見るからにもう山やー滝やーという感じがある。

京都インクライン風景 1面 油彩・板 1927(昭和2)  釣りする人々がいることに「おお」と個人的な記憶とリンクしたり。

夏日釣魚図 1幅 紙本着色 1927(昭和2)  どこぞの池で。さらりと南画風なのがいい。
 
大相撲大阪春場所打出し図 1面 油彩・キャンバス 1929(昭和4) 第4回国画会展  ぞろぞろ行列している人々。

造幣局春景 1面 油彩・キャンバス 1932(昭和7) 第7回国画会展  わたしも毎年の楽しみの「通り抜け」です。それで丁度正門の前のところ。桜を見上げるベンチに座る人がいてなかなかのにぎわい。

汐干狩 1面 油彩・キャンバス 1932(昭和7) 第7回国画会展  芦屋浜らしい。この頃まではそれこそ芦屋名物「手手かむイワシいらんかえ」の時代。この絵はスケッチも残っている。

道頓堀夜景 1面 油彩・キャンバス 1929(昭和4) 第5回国画会展  角座の前が物凄い行列。何を見に来てはるのかは知らんけど、凄い混みよう。
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ラ・パポニー(ラ・パボーニ) 1面 油彩・キャンバス 1931(昭和6) 第6回国画会展  大石輝一という洋画家が継いだ店で、チェーン店として海の店も開いたそう。だからおしゃれなところがある。お客もモガ。カルピスに似た「レッキス」というのを飲んでいるみたい。

スケート 1面 油彩・キャンバス 1933(昭和8) 第8回国画会展  山の中、氷張ってるところでスイスイ。ちょっとばかり関大の高槻のスケート場を思い出した。

菊人形 1面 油彩・キャンバス 1932(昭和7)頃   この当時は枚方・千里山・甲子園で菊人形が開催されていた。
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夕霧伊左衛門やな。こういう構図も珍しい。

海辺 1面 油彩・キャンバス 1932(昭和7) 第7回国画会展  西宮らしい。そう、むかしは香櫨園も海水浴場だったし。

動物園水禽舎 1面 油彩・キャンバス 1931(昭和6) 第6回国画会展  ただ、水鳥関係がいるのかどうかはわからない。

大阪風景版画集 6枚 木版色刷 1930(昭和5)頃   洋画と違いこの版画は線が結構はっきりしている。自刻自摺。
梅田駅(実際には当時の大阪駅)、道頓堀夜景、東横堀川、年の市、千日前…いい感じの風景版画。

酒場 素描 1枚 木炭・紙 1932(昭和7)頃  これがなかなか洒脱で。油彩画と違う洒脱さ…いや、スマートさがある。
モダンなカウンターだけの店でバーテンと女給が一人、客はそれぞれ好き勝手に。
この絵は後にこのような本画にもなる。
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それでこの本画は西宮大谷にあるそうな。

丸万階上 素描 1枚 木炭・紙 1932(昭和7)  戎橋南詰にあったそう。そして屋上ではビアガーデン。
これに近い絵をかつて見たわけです。

スケッチブック 大阪風景ほか 8冊 鉛筆ほか・紙 大正~昭和時代  クラブハミガキの広告が描きこまれていたり、羽衣の奥の伽羅橋あたりの住宅地などなど。

それでここから先は和歌山から三重辺りの海の風景が続く。
あんまり好みではないが、海と漁村のつながりを目の当たりにするような

絵の割に立派な額の付いた絵がある。
風景豆絵(城跡・夜桜) 2面 油彩・紙 不詳(昭和時代)  円山公園の夜桜。

バラ 1面 ガラス絵 1963-64(昭和38-39)頃  ポットにいけたバラ。ガラス絵と言う感じはしなかった。

絵日記 1枚 墨・紙 1964(昭和39)  けっこう毎日書いていたよう。これも晩年のもの

こういう小さい企画展が大好き。ああ、いいものを見たなあ。


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