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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

「フィリップス・コレクション」を愉しむ その1

三菱一号館美術館の「フィリップス・コレクション」展は煽り文句が「全員巨匠」だった。
「それを言うか」と思いながら中に入り、チラシとリストを見ると、「あっホンマやん」としか言えなくなった。
そう、皆さん巨匠。これを見るわけです。
イメージ (1626)

そもそもフィリップス・コレクションのフィリップスさんというのはどういう方かということすら知らないので、ちょとだけ調べておく
ああ、そうなのですか。
経歴の中で興味をひかれたのが
1956年 岡田謙三と会う
1959年 マーク・ロスコ展を開く
この二つ。
なんだかときめく。

展示は面白いことに蒐集年代の順になっていた。

第1章 1910年代後半から1920年代
第2章 1928年の蒐集
第3章 1930年代
第4章 1940年 前後の蒐集
第5章 第二次世界大戦後
第6章 ドライヤー・コレクションの受け入れと晩年の蒐集
第7章 ダンカン・フィリップスの遺志

つまりここにいる観客は、絵そのものを楽しむだけでなく、フィリップスさんの道のりをも追体験することになる。
例によって例のごとく、好き勝手なことしか書かない。

ジャン・シメオン・シャルダン プラムを盛った鉢と桃、水差し 1728年頃 油彩/カンヴァス 1920
イメージ (1625)
描かれたプラムだが、どうも傷んでいるようで、なんとなく残念に思うのは、わたしが果物を食べたいからだと思う。
絵としては多分メメントモリなあれかもしれないが、やっぱり果物と野菜は東アジアのイキイキしたのが好きだなあ。
白地に蝶柄の水差しが明るいのがいい。

フランシスコ・デ・ゴヤ 聖ペテロの悔恨 1820-24年頃 油彩/カンヴァス 1936
「主よごめんなさい、ごめんなさい」と謝っているところ。そばには例の大きい鍵がある。
イメージ (1620)
どうもペテロと言えば最近は「聖☆おにいさん」のペテロが思い浮かぶので、「サーセン、イエス様、パネェっすね」くらい言うていそうに思えてならない。

ドミニク・アングル 水浴の女(小) 1826年 油彩/カンヴァス 1948
背中の綺麗な女が全てを占める。だがよくみれば他に女がいる。寝そべるものや少女の肩を抱くのもいるしで、けっこう和やか。
だがやはりこの背中が何よりも目立つ。
イメージ (1622)

ウジェーヌ・ドラクロワ パガニーニ 1831年 油彩/厚紙(板に貼付)1922
ドラクロワはパガニーニのパリデビューを聴いたそうな。その時の印象らしい。熱狂したようだが、やはりどう見てもパガニーニは変なオジサンである。この立ち居姿はわるくはないが。
ところでパガニーニといえばクラウス・キンスキーが自らプロデュースした映画があり、本人がパガニーニを演じているが、キンスキーvsパガニーニはどちらが厄介だろうか。

ウジェーヌ・ドラクロワ 海からあがる馬 1860年 油彩/カンヴァス 1945
アラブ人が捕まえているところ。いい馬やな。馬の血統についてあまり詳しくはないけど、アラブ馬の良さというものはよく聞いている。かっこいいわ。
ところで海と馬といえば「海馬」というものもあるが、その中でもギリシャ神話の海の馬はなかなかかっこいいわ。

エドゥアール・マネ スペイン舞踊 1862年 油彩/カンヴァス
室内でのベラスカ。よくわからないが、迫力がある。

カミーユ・コロー ローマのファルネーゼ庭園からの眺め 1826年 油彩/紙(カンヴァスに貼付)1942
確かに良い眺め。素敵な景色をこうして描けるのは画家の特権だ。絵を描けないものは見ているしかない。

カミーユ・コロー ジェンツァーノの眺め 1843年 油彩/カンヴァス 1955
少年とヤギがいるが、このヤギの種類もしかすると「アルプスの少女ハイジ」のアトリと同じ種類かな。あまり大きくならないそう。

ギュスターヴ・クールベ ムーティエの岩山 1855年頃 油彩/カンヴァス 1925
緑濃い岩間。泉もある。しかしたとえば妖精がいるといった雰囲気はない。

ギュスターヴ・クールベ 地中海 1857年 油彩/カンヴァス 1924
三色に分かれた風景。上から薄い鶸色のような空、もくもくとした白雲、重い緑の海。容赦なく分かれている。

オノレ・ドーミエ 蜂起 1848年以降 油彩/カンヴァス 1925
1848年の二月革命の様子。腕を挙げてまっすぐに立つ人々。

オノレ・ドーミエ 三人の法律家 1855-57年 油彩/カンヴァス1920
三人の連帯意識、見え見え。悪い遊び仲間。にんまりしやがって。
一方暗い所にいる貧民には目を向けようとさえしない。

オノレ・ドーミエ 力持ち 1865年頃 油彩/板 1928
芸人。よく肥えたおっさんが腕組みしてみせる。
「さあさあお立合い」と口上の声で誘う。
フェリーニ「道」のザンパノもこの芸人。藤田もメキシコ、中国を回っていた頃にこの芸人を描いている。
どうもこの芸は洋の東西を問わず存在し、今に至るまで客を呼べるようだ、形は変わっても。

ジョン・コンスタブル スタウア河畔にて 1834-37年頃 油彩/カンヴァス 1925
塗に塗を重ねる。わかりにくい風景。農家はあるが、他が何かわからない。

アルフレッド・シスレー ルーヴシエンヌの雪 1874年 油彩/カンヴァス 1923
屋根も道も何もかも雪まみれ。傘を差して行く女。風はこちらに来る。強い雪が。
申し訳ない、巴水や深水の女の絵が見たくなった。
情緒がほしい…

クロード・モネ ヴェトゥイユへの道 1879年 油彩/カンヴァス 1920
ピンクと水灰色の混ざり合う空気。日が当たり、道も山も染まる。夕方なのかも。

クロード・モネ ヴァル=サン=ニコラ、ディエップ近傍(朝) 1897年 油彩/カンヴァス  1959
淡い海の色が綺麗。

フィンセント・ファン・ゴッホ アルルの公園の入り口 1888年 油彩/カンヴァス 1930
遠目からでもすぐわかる。色が、きっとそうなのだ。
ゴーギャンを待っていた日々。ときめきの日々。
その時に描かれたのか。
左右に人々がいる。杉も並ぶ。
描かれた当時、誰からも見返られなかった絵がこうして愛されてゆく。

ジョルジュ・スーラ 石割り人夫 1882年 油彩/板1940
働く、働く、働く。
この絵を見ていると、はるき悦巳「日の出食堂の青春」のエピソードにある「働きバチ」という映画を思い出す。延々と働き続ける男の話。傍らで微笑む妻とその母。

フィンセント・ファン・ゴッホ 道路工夫 1889年 油彩/カンヴァス 1949
これは絵としてもいいが、当時の道路工事の様子を知る資料としても興味深い。
手作業で道路を掘り進めているが、保全工事なのか埋設工事なのか。
そばには銀杏がある。なんだかおもしろい。

ポール・セザンヌ ベルヴュの野 1892-95年 油彩/カンヴァス 1940
家に日が当たる様子を分割した色彩で表現する。

ポール・ゴーガン ハム 1889年 油彩/カンヴァス 1951
そらハムやがなとしかいいようがないくらい、ハム。周りに玉ねぎも控えている。
イメージ (1628)

ポール・セザンヌ 自画像 1878-80年 油彩/カンヴァス 1928
3/4は頭頂部という感じですなあ。横を向いた姿…
イメージ (1624)

ポール・セザンヌ ザクロと洋梨のあるショウガ壺 1893年 油彩/カンヴァス 1939
モネの旧蔵品だそう。壺とくしゃっとした布と。いかにもセザンヌ先生。
生姜壺は何に使うのだろう。ジンジャラーのわたしとしては気にかかる。

エドゥアール・ヴュイヤール 新聞 1896-98年 油彩/厚紙 1929
家の中で母親が新聞を読んでいる。壁紙、机、椅子、窓の外の木々、日常のヒトこま。おばさん。
この時代の新聞の読まれ具合はどうなのだろう。

ベルト・モリゾ 二人の少女 1894年頃 油彩/カンヴァス 1925
一見ルノワール風な二人。青い部屋で室内履きの靴を履いて寝転ぶ。

アリスティード・マイヨール 女の頭部 1898年 ブロンズ 1927
鋳造されたのがいつかは知らないが、どうもこの像を見ていると世紀末と言うよりモダンな1920年代風に見える。
後ろに髪を丸めてはいるが、チャールストンくらい踊れそうな女。

エドガー・ドガ 稽古する踊り子 1880年代はじめ – 1900年頃 油彩/カンヴァス1944
柿色と水色が目に残る。バーレッスンする二人。

オーギュスト・ロダン 姉と弟 1890年 ブロンズ 38.1×17.8×15.9cm 1953
年の離れた姉さんと甘える弟。だっこされる。
イメージ (1627)
どうもロダンで「姉と弟」とくると、カミーユとポールの姉弟を連想する…
更にはコクトーの映画「恐るべき子供たち」にも連想がゆく。
フランスで上映されたのは1949年だった。
フィリップス氏が1953年にこの彫像を手に入れたとき、何を想っていたろうか…

オーギュスト・ロダン 身体をねじって跪く裸婦 制作年不詳/1984年鋳造 ブロンズ 2009
またまたこれだ、首がないですがな、腰も絶対痛めるよ。静岡県立美術館で「ロダン体操」して体のゆがみをとりましょう。

エドガー・ドガ リハーサル室での踊りの稽古 1870-72年頃 油彩/カンヴァス 2006
こうした静謐さはいい…

パブロ・ピカソ 道化師 1905年 ブロンズ 1938
ブリヂストンのところの親戚かな。

アンリ・ルソー ノートル・ダム 1909年 油彩/カンヴァス1930
船を見る後姿を少し離れて。赤旗がヒラヒラ。パリの船着き場。
フィリップス・コレクションにこの絵が入った四年後1934年にジャン・ヴィゴが「アタラント号」を発表した。
船着き場の様子は当時からどれくらい変化していたのだろう。

モーリス・ユトリロ テルトル広場 1911年 油彩/厚紙1953
たいへん静か。

ピエール・ボナール 犬を抱く女 1922年 油彩/カンヴァス 1925
赤のシマシマの女が茶色いわんこを抱っこ。
イメージ (1621)
ほぼ同時期にボナール展をみて、晩年のボナールは猫派から犬派になったなあと思っていたのだが、ここにもそれがいた。

ピエール・ボナール 開かれた窓 1921年 油彩/カンヴァス 1930
室内。椅子の女は黒猫をからかう。

ピエール・ボナール リヴィエラ 1923年頃 油彩/カンヴァス 1928
遠近法が浮世絵風。手前に木々、奥に山や家々。暖かそうなところ。避寒地だったかな。

ピエール・ボナール 棕櫚の木 1926年 油彩/カンヴァス  
大きな葉と女と向こうに町が見える。これはあれだ、1990年代くらいの日本画にある構図。稗田一穂にもこんな絵があった。源流はこれかもね。

ラウル・デュフィ 画家のアトリエ 1935年 油彩/カンヴァス 1944
描きかけの裸婦、船の絵もある。青色の部屋、向こうは花柄の壁紙。窓の外には建物も見える。和やかなアトリエ。

アンリ・マティス サン=ミシェル河岸のアトリエ 1916年 油彩/カンヴァス 1940
裸婦は欠かせません。黄色の肌、黄色の机、黄色の置物、黄色の何か。
イメージ (1623)

アメデオ・モディリアーニ エレナ・パヴォロスキー 1917年 油彩/カンヴァス 1949
灰緑色の両目には黒目が描かれている。おでこを出している。これはお礼心に描いた一枚だそう。

ジョルジュ・ブラック レモンとナプキン 1928年 油彩・黒鉛/カンヴァス 1931
妙な存在感があるなあ。しかしわたしはそれをうまく表現できない。

ジョルジュ・ブラック 円いテーブル 1929年 油彩・砂・木炭/カンヴァス 1934
どうもこれもわたしの目には人の顔が見えるので、錯視だな。

ロジェ・ド・ラ・フレネ エンブレム(地球全図) 1913年 油彩/カンヴァス 1939
地球儀があり、本もある。絵そのものより、描かれている内容に関心がわく。

まだまだ続くので一旦ここまで。
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