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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

「女・おんな・オンナ 浮世絵に見る女のくらし」展をみる その1

松濤美術館「女・おんな・オンナ 浮世絵に見る女のくらし」展をみた。
ここはリニューアルオープンの時に「猫・ねこ・ネコ」や「犬・いぬ・イヌ」展もしたから、なるほどこのタイトルかと納得。
次は「男・おとこ・オトコ」が来るに違いない。

江戸時代は長崎を除いて鎖国していたので、平安時代同様ドメスティックな文化発展があり、それが面白くもある。
イメージ (1879)

紫縮緬地鷹狩模様染縫振袖 19世紀  意外に江戸後期らしい。
とはいえ化政期なのかそれ以後なのかにより、また色々違いが出たかもしれない。
滝あり、紅梅に雪松あり、鋭い目をした鷹があちこち飛んだり獲物を追ったり。
鶴もいれば山鳥も、雀に雉も逃げる。三羽の鷹は鋭い目を獲物に向けている。
地には犬もいて落ちる獲物を待ち構えている。
図様がこうしたものだから武家の奥方向けの着物だろう。

今回の展示の章立てがなかなか面白い。
それはやはり展示の狙いがこうしたものだからだろう
「江戸時代に生きた女性の「くらし」の様相を、描かれたもの、記録されたものから考えます。現代と異なる身分制社会の中で、公家・武家・農民・町人・商人・遊女など多様な階層の女性たちが何を身にまとい、働き、学び、楽しみ、どのように家族をつくったのか。女性のくらしが描かれた美人画や春画、着物や化粧道具などから、その様子をみていきます。」

イメージ (1880)

1.階層―身分とくらし
江戸時代は厳然とした階級社会であり、士農工商とそれ以外との差異の非常にはっきりした構造を保ち続けた。
髪型・着物・はきものなど多岐にわたり、よくそこまで執拗にと呆れるほど、強い差別化をしてきた。

渓斎英泉 風俗士農工商 大判錦絵 三枚続 文政  見立て絵で、女達の風俗でそれらを表現。
英泉自身は元々池田氏という武家の出であり、侍をやめて町民になった男である。
時代が爛熟化するとこうした逸脱も増えてゆく。

西川祐信 『百人女郎品定』上之巻 墨摺大本 2冊の内 享保8(1723) 26.4x19.0 早稲田大学図書館  こういう本を見るのも面白い。これは百種類の女性風俗を描いたもので、タイトルから想像できるようなリアルな便覧ものではない。
これは早稲田本だが京都国会図書館にも収蔵されている。

歌川豊国(二代) 今様姿 流行狂画 だんまり 大判錦絵 1枚 天保(1831~45)初期 38.8x26.0 神奈川県立歴史博物館  コマ絵に三羽のコウモリによる「だんまり」図がある。だんまりとは歌舞伎の舞台での登場人物たちが闇の中でそれぞれの思惑によって動くことで新たな展開が開いたりする状況。暗闘と書く。大南北や黙阿弥の芝居によくこれが出るが、今のように一歩先も見えないということにならない時代、「だんまり」は理解しにくい。
メインの絵は糸を巻こうと苦心する娘。

古山師胤 太夫と禿 紙本着色 1幅 享保(1716~36)頃 100.5x48.6 江戸文物研究所  太線で描かれた美しい遊女がかむろを見返る。


2.芸事―たしなむ
ここでは和宮遺愛の香道具が目を惹いた。素晴らしいお道具。桜唐草文が和宮のお印になるのか、丁寧なつくりものだった。
そういえば長らく京都の宝鏡寺にも行っていない。このお寺は「百百御所」ともいい、和宮も晩年はここで過ごしたのだ。

古山師政 踊りの稽古図 紙本着色 1幅 延享期(1744~48) 43.8x48.8 東京国立博物館  綺麗な二人は実は陰子。よくよく見ればあごの線が男性と同じ。白梅の頃、三味線を弾く者と舞う者と。羽織の柄が菊だというのも…

歌川国安 閨中道具八景 台子乃夜雨 大判錦絵 1枚 文政(1818~30)初期 38.5x26.3 神奈川県立歴史博物館  てっきり春画かと思ったが違ったみたい。この娘の着る変わり市松模様の着物がカッコいいわ。目がチカチカする。こういうパターニング好きだな。
ヒトコマが四分割されてその四分割が互い違いに濃淡の色をみせ、次のコマは更に前のより色が濃い。そしてその次はまた戻る。
それが縦横に無限に続く。

3.観られる女―愛でる
寛文美人絵を始め人気の茶屋娘の見立て番付などがあった。
そう、鑑賞用の女たちの姿。

寛文美人、あごがやや丸めの長い顔。ポーズがカッコいい。すっと立つその姿の良さ。モデル風。それもフランス映画「夜よ、さようなら」のミウミウを思い出す。
今ちょっと調べたらいつの間にやらミュウ=ミュウ表記になっている。
当時はミウミウだったがいつからか変わったのかな。
ちなみにこれが証拠。

懐月堂安度 黒地歌留多散らし衣裳の遊女 紙本着色 1幅 宝永~正徳(1704~16) 100.0x44.5 神奈川県立歴史博物館  これはまたいい着物だなあ。黒地に白の文字が。
これ、色が逆なら白土三平的な感じがあるけどね。

茶屋娘見立番付 間倍判色摺 1枚 寛政5(1793)頃 31.5x44.5 千葉市美術館  まあ人気者が多いので。

「かせんむすめはなくらべ」『一枚刷他貼交帖』より 折帖仕立 2帖の内 安永(1772~81)頃 31.5x18.6 国文学研究資料館   京都版の。

4.きもの―まとう
意外とこの章は展示が少なかったね。

歌川豊国(三代)・歌川国久(二代) 江戸名所百人美女 尾張町 大判錦絵 1枚 安政5(1858) 36.3x25.3 東京都江戸東京博物館  さすが国貞だけにすっきりしたいい女。

紫縮緬地桜鼓模様染縫帯 絹地 1条 19世紀 23.0x410.0 国立歴史民俗博物館  これはまた綺麗で。「掛下帯」と言うそう。

続く。
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