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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

三つの曜変天目をみる

同時期に静嘉堂文庫、藤田美術館、大徳寺龍光院所蔵の曜変天目が展示される、ということがあろうとは誰も想像もしてなかったのではないか。

静嘉堂と藤田のはしばしば展示されて、多くのファンを魅了してきた。
藤田美術館の場合、暗いお蔵の中での展示なので、懐中電灯の貸し出しがあり、心ゆくまで楽しませてもらいもした。
静嘉堂だと朝顔のように開く油滴天目とセットで仲良く展示されるのを楽しんだ。
だが、龍光院の所蔵する曜変天目がわたしたちのような一般人の前に現れることは、これまでほぼなかった。

二年前の秋、京都国立博物館で四期にわたって日本の国宝を展示する展覧会があった。
その2期目についに龍光院の曜変天目茶碗が現れたのだ。
あの時の感動は大きかった。
ついに目の当たりに出来たのだ。
見た目はなにやら猫の肉球ぽいような愛らしさがあった。
その時の感想はこちら

今回、どういった経緯で三館でこうした企画が生まれたかは知らない。
だが、この機会を逃したくはない。
「三つの曜変天目を同時期に見る」
これはこの先もう二度とない経験かもしれないのだ。
たとえこれまでのように堪能できずとも、人ごみの中でチラ見になるかもしれずとも、やっぱり同時期に三つの曜変天目を見たい…
欲望と誘惑に打ち勝てるものは少ない。
わたしは溺れてもいい、そう思いながらでかけた。

まず静嘉堂へ行った。
新幹線の品川から乗り換えて大井町線の二子玉川でバスに乗って向かった。
丁度品川から1時間ばかりかかった。

この静嘉堂で三つの曜変天目を写したファイルを買った。
これは三館共通の商品。
イメージ (1889)


イメージ (1888)

左から龍光院・静嘉堂・藤田美術館。
こうして並べると、それぞれの違いがはっきりする。
再現不可能な曜変天目茶碗。
つまり個性も判然としているのだ。
類品というなら全て類品でもあるし、全く違うと言えば全く違うのだ。
共通するのは「曜変天目」と呼ばれる様子であること、同じ技法で同じ時代に創られたこと。

もっと深い理解を持つべきかもしれないが、それだけでもいい。
いかに貴重で、そしていかに奇跡的な誕生を見せた品かを知っていればいいのだ。
更に数百年後の今も伝世したこの事実を、次の次の世にも伝えねばならない義務を。


19042201.jpg
静嘉堂では自然光の入る空間で展示されていた。
わたしの見たのは午前の明るい光が入り込んだ時間帯だった。
光が強く、惜しいことに見込みの青が映えなかった。
これはタイミングがまずかったらしい。もっと遅い時間に見ればよかったかもしれない。

静嘉堂では曜変天目と共に日本刀、それも備前の古い刀を並べていた。
研ぎ澄まされた鋼鉄の美、煌めく刃がそこに多数並んでいた。
こちらは白い煌めき。
白と青の競演を楽しめるよう考えられていたようだった。


イメージ (1892)
藤田美術館は現在閉館中である。
理由はそれまでの展示空間を全面的に新しいものにするために、大規模な工事に取り掛かっているからだ。
その機会を逃さず先年はサントリー美術館で、そして今は奈良国立博物館で名品を展示している。
奈良博での曜変天目の展示は新館の東館に別室を拵え、暗い空間で照明を当てての展示だった。
間近で見たい者、遠望する者、それぞれのための設えがある。
実のところ、藤田美術館の曜変天目は、あの仄暗い空間で眺めるのがいちばん楽しい。
設置された懐中電灯を任意の場所に当ててじっくりと煌めきを堪能する。
そうするうちにこれまで気づかなかった何かを見つけ出しもする。
こうした「遊び」をしているので、妙に親近感を懐いている。
なので大勢の人があの美しさを少しでも味わおうとする様子を見て、改めてあの曜変天目の稀少性について思い知らされたのだった。

新しい藤田美術館がオープンした後はもう今までのような愉しみ方は出来ない可能性が高い。
過去の喜びを胸に秘めつつ、新しい気持ちで向き合おうと思う。


最後に大徳寺龍光院の曜変天目について。
前述のように二年前の「国宝」展で初めて見たときの感動は大きかった。
今回はまさかの再会である。
イメージ (1890)

MIHO MUSEUMは遠い。バスで小一時間かかる。行くのに非常に根性がいる。
行けば名品が多いことを知っているし、企画展の良さも知っている。
しかし遠さに負けて、少しばかり行くのを躊躇した。
したがやはり奇跡のコラボを失いたくはない。
がんばって見に行ったのだが、行った甲斐のある状況がそこにあった。

枝垂桜の群れである。



臨時バスに乗った後、間近で鑑賞するために中で1時間ばかり待ち続けた。
ああ、梅鉢のようで藍が輝く。

二度とないだろうこの機会を逃さずにいて、本当に良かった。
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