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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

八犬伝で発見

八犬伝と言えばわたしには『新八犬伝』だ。
♪仁義礼智忠信孝悌 いざとなったら珠を出せ 力の溢れる武士になる珠を…
これですがな。
幸せなことにNHKの小説本は以前から所有しているし、去年ついにDVDも買えたし。
また偶然と言うより『お導き』のように、いつもはもらわない京急の宣伝紙『なぎさ』をわざわざもらったら、寿三郎師のアトリエ写真が---♪
こういう展開ですもの、やっぱり縁がありますのさ。

とはいえ、文京ふるさと歴史館での『八犬伝で発見』はNHKのそれの展覧会ではない(残念)。
文京区とその周辺での馬琴と八犬伝のシーンなどを集めたものなのだった。

高田衛氏の『八犬伝の世界』完本が出ていたとは知らなかった。ちくま文庫。私はその前身たる岩波版しか持っていない。
今回の展覧会は図録がないので、どういうコンセプトなのかどういう企画の流れだったのかもわからない憾みがあるものの、解説プレートを読むと、多くを高田氏の研究成果などから示唆を得たようである。

地図がある。現代の大まかな地図。馬琴の暮した足跡と、八犬士の彷徨の名残。
例えば不忍池。本の挿絵にはこう書かれている。
「不忍池の畔に孝嗣(信乃)、親兵衛と闘う」 (カッコ内あたしの注)
不忍池の蓮の葉が見えるが、そこで二人が闘っているのだ。
フィクションであってもそう読むと、「ほう、ここで」と親しみが湧いてくる。
戯作者馬琴の面目躍如たるのが猫股橋。
ここで信乃の飼い犬与四郎が憎たらしい伯母亀笹の飼い猫を追っかけたためにこの地名がついたと、戯言を本当らしく書き込んでいる。
うまいよなあ。

なにしろ大人気・大長編小説だからたいへん。
版元も替わって連載・刊行を続けたから本の表紙も色々。
それがまた可愛いのだ。
わんこわんこしている。
目次ページの周囲には(バイヤステープ場所)わんこの行進がある。
まるでアニメのハイジEDの山羊たちののんびり行進のようだ。かと思えば狗張子の行列もある。
犬の掌、肉球も・・・か・わ・い・いーーーっ 絶叫しそうだ。
以前にも天理大学図書館で、八犬伝資料を見ているが、本当に可愛い。
例えばここに上げている絵(拡大化します)は「犬のお伊勢参り」図なのである。
あれです、笠には「同行八人」。八犬士だからなあ。
実際、犬がお伊勢参りすることもあったようだ。理由はともかく、人の手で支度をされて。
h18_0429chirashi.jpg


こちらは国貞ゑがく(by鏡花)ところの伏姫。
h18_0429fusehime.jpg

展示されている本の挿絵の中では、すべての発端たる玉梓の処刑シーンがある。なんとも艶かしい女である。
(わたしなどはすぐに「我こそはー玉梓が怨霊ーーー」という声が耳に蘇るが)
他にもここに出ることはないが、尼妙椿の絵も国貞は描いている。

馬琴のこの大長編小説には『名前』が深い意味を持つのは、夙に知られているが、改めてここでもそのことが示されている。
八犬士は元より、ほぼ全てのキャラにそれは行き渡っている。
悪い奴はとことん悪い名前である。
いきなり思い出したが、鰐崎悪四郎猛虎というのもいた。
「猛虎」といえば阪神タイガースであるが、江戸時代すでにこういう言葉があったんやなーと感心している。

面白いのは、植木のことだ。特に江戸の市井の人々は植木を愛した。
明治初期にも万年青が爆発的にブームになったが、江戸時代にも万年青は人気だったようだ。
馬琴本人も植木を愛していたが、それが作品にも投影されている。
信乃と現八をかくまうのは道節の恋人・重戸(オモト)で温室?に二人を隠すエピソードもある。
名前と植物と。
知れば知るほど楽しめる。

挿絵は北斎の娘婿・柳川重信が多くを描いている。
首打ち落としたり、スプラッタしまくり。
対牛楼の毛野の暴れ方は激しく、一階二階と異時同時に暴れてますわ。血、しぶいてます。
勧善懲悪にはスプラッタは必需品なのだった。
第一篇というのか、とにかく最初の巻で、ヽ大法師が子とろ遊びをする絵がある。子等は八犬士の幼な姿。
女装で育てられた信乃と毛野は当然女の子スタイル、道節は振袖の坊ちゃん、小文吾は町人の子スタイルなどなど・・・
魂の父たるヽ大法師。

遅ればせながらここにコンセプトタイトルを挙げる。

1八犬伝と文京
江戸を描く
2ベストセラー八犬伝
見返しと目録
3八犬伝で発見
江戸名所図会に見る犬
4八犬伝その後

しかし解説の中で絵に表れるわんこのことを狆と犬と分けて色々書いていたが、(当時狆と犬とは別生物だという認識があったのだが)狆は高級愛玩動物で、野良はありえないはずだ。
これはどう考えるべきなのだろうか。
野良もいたのだろうか。応挙の絵にも良くあるブチ柄のわんこだと思っていたのだが。

展覧会はもう終わってしまったが、本当に楽しかった。来た甲斐のある展覧会だった。
こういうときに本が欲しいのですよ、文京ふるさと歴史館さん・・・
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