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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

「遊びの流儀 遊楽図の系譜」を愉しむ その1

さすがサントリー美術館、と思うのはこういう展覧会の時だ。
久しぶりに遊楽図を堪能した。
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やはり何が楽しいというても近世風俗画での遊楽図、月次図、洛中洛外図がいい。
「浮き世」ならぬ「憂き世」が背後にあるからこその楽しさだ。
「浮世絵」での遊びとはまた違う。
にじむ憂いとそれを払おうと頽廃的な歓びに耽る人々が溢れているのが面白さの根源にある。

前期、中期、後期といつものように細かく区分割りされているが、作品の出品状況を考えて何が何でも前期に行かねばならないと思った。
理由:相応寺屏風、蓬春記念館の十二ヵ月風俗図、渦巻く貝合わせのでる遊楽図、本多平八郎姿絵屏風などなど…この辺りの展示が前期にある。
後期に出る松浦屏風は秋に大和文華館で彦根屏風と共演するので、それを待てばいい。
関西の一得ということだ。

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入るといきなり白い蹴鞠がある。
きちんと鞠挟みに挟まれて鎮座している。
蹴鞠と言えば、平安貴族の楽しい和風サッカーであり(無論それだけではないが)、「源氏物語」では重要なシークエンスの小道具となり、蹴鞠命の貴族の前に鞠の精が現れる話もある。
もっと古いことを言えば大化の改新の立役者・中大兄皇子と中臣鎌足が謀議を凝らすようになるのも、皇子のキックで沓が飛んだのを鎌足が持ってきたことからだという。
あとずっと年代を過ぎて幕末、埼玉の血洗島で澁澤家の当主がその地に蹴鞠を教えて世過ぎする公家を招いて、粗雑な者たちに京の遊び・蹴鞠を学ばせようとしたそうだ。
田舎わたらいで埼玉まで行った一行が、その地で蹴鞠を教えるというのも、その手配をした澁澤家の当主も、傍目には酔狂だが、まぁ遊びの本質を衝いているのかもしれない。
「狂気の沙汰ほど面白い」と福本伸行が「アカギ」でキャラに言わせている。
遊戯が命がけの娯楽になって、身体を損傷して後の言葉なのである。
なお澁澤の本家の逸話は子孫の澁澤龍彦が著書「玩物草紙」に記している。
あの随筆もまた「遊び」の本質を突いたものだった。

蹴鞠の現物を見るのは何度かあったが、改めて「遊びの流儀」での冒頭展示の意味を想った。

さて「遊楽図」には「月次風俗図」も含まれる。
げつじではなくツキナミである。
毎月毎月何かしら行事があり、それを実行する人々を描いた絵がいい。
山口蓬春記念館所蔵の桃山時代の絢爛な作品である。
パネル展示もあり、全体の様子もわかる。
絵はそんなに大きいものではなく、人々の様子をトリミングしたような構図で人物の表情もはっきりしている。

歳旦、鶯合、蹴合、花売、菖蒲飾りに印地打ち、衣替、祇園会…
金地に華やかな彩色で月次の行事が続く。1シーンにいくつかの行事が取り込まれており、軒先に花菖蒲がある五月には街中で少年らが印地打ち、その斜め下では女たちが衣替え。
それぞれの様子がよくわかるのも楽しい。
こちらは正月の様子である。
イメージ (2080)
羽根つきで遊ぶ女達、ぶりぶりぎっちょうを引きずる少年たち、向こうの路地からは万歳と才蔵も来た。そしてあちこちに若松が飾られている。

第2章 遊戯の源流―五感で楽しむ雅な遊び
ここでは様々な遊びの姿を捉える。

源氏物語画帖 住吉如慶 画 園基福 詞書  わたしが見たときは「若菜上」が二点。例の蹴鞠シーンと管弦の様子と。
平安貴族の遊びはセッションが大事なのだね。

源氏物語図屛風 須磨・橋姫 土佐派 六曲一隻 江戸時代  左が須磨、雲の隙間に月が見える。5,6では光君が笛などを吹いている。
右の橋姫では琴を演奏する姫君たちをのぞく薫君の姿がある。

浄瑠璃物語絵巻 三巻のうち上巻 室町時代  姫君の琴と御曹司の笛のセッション。
女房達は篳篥、笙、琵琶、太鼓などを演奏している。
この時代は和歌と楽器演奏の上手さが非常に重要なモテ要素になっていた。
紅梅の垣根らしきものがあるが、ちょっと唐突な感じがある。

草花蒔絵双六盤 一具 江戸時代  台の横に蒔絵でスミレなどがみえる。白と黒のコマがいい。
実際にどのように遊ぶのかよく知らないが、大河ドラマ「平清盛」で清盛の松山ケンイチくんと後白河の松田翔太くんが双六で真剣勝負をするシーンを見たことがある。

徒然草絵巻 海北友雪 二十巻のうち第九巻 江戸時代  あっさりした絵である。110段の双六の名人についての話。

ところで展示の章ごとにいい配置に細見美術館の遊楽図扇面がある。
ばらで置いて、そこでは何の遊びなのかを伝えるナビゲーターの役目を果たしている。

邸内遊楽図 一帖(十二図) 江戸時代  主役は若い男たちで、彼らが楽しそうに遊ぶ姿を捉える。
カルタをしたり蹴合をしたり…

雀小弓 一具  これは子供用につくられた弓遊びの一式。ちいさいので「雀」なのだ。
他に羽子板などがある。

菊折枝蒔絵十種香箱 一具 江戸時代  これは綺麗なものばかり。幕末に近衛家の福君と言う姫が尾張徳川家に嫁いだときの婚礼道具の一種。可哀想に随分と若く亡くなっている。

第3章 琴棋書画の伝統―君子のたしなみ
高士というのはニートなのか「人生の楽園」なのかはしらないが、大抵騒動を起こしてしまったりする…

琴棋書画図 伝 趙子昂 四幅対 中国・明時代  奇岩のあるベランダて゛くつろぐ人々。
優雅な退屈という感じもある。

三星囲碁図 朱氏 一幅 中国・元時代  碁盤を囲む三聖人。

琴棋書画図屛風 遮莫 六曲一双 室町時代  じいさんたちを世話する侍童たち。まあ色々と…
チラシの下のあれ。まつぼっくりがけっこうたくさんある。
 
面白いものを見た。
三人将棋盤 一面 中国・漢時代以降 紀元前2世紀以降   どうやって遊ぶのか想像もつかない。

遊女図巻 宮川長春 一巻 江戸時代  ずらーっ いろんな様子を描く。双六をするのは店に来た色子かな。

続く。


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